最強の盾と最強の剣の対決
最強の盾と最強の剣、空前絶後、世紀の対決。果たして結果はいかに……!
と、剣と盾がぶつかるその前に、尖った舌戦が繰り広げられていた。
「こんな私めが打ったオリハルソードがその頑丈すぎるほどの盾を一刀両断できるとは思いませんが、やらせていただきますね」
「へっ、こんな時まで相変わらずの遜りかよ。だがその遜りも俺の盾とともにぶっ潰してやる。そして、こんな剣の性能を高めるだけに特化したこの風習もな!」
「我々は何を言われようとこの遜りと風習は変えないですよ。それが剣尊都市ヘリクダールです。ですので斬れるかは分かりませんが早く盾を斬られてお帰りくださいませ。楯突く盾職人様」
うむ。熱い男同士の戦いだ。見応えがある。
リマなんか見ながら苦しそうにはぁはぁ言って悶えているくらいだ。それもどっちが受けでどっちが攻めなのか、とかなんか言っている。
確かに、風習と遜りを守る一見温和な剣職人と、その風習と遜りを壊そうとする恐怖の盾職人。
何が何やらという状況だな。
「じゃあそろそろやるか」
「だな」
舌戦もようやく終わり、男達はそれぞれ剣と盾を手に取り、相対した。
ついに始まる。戦いの時が!
そして--
「うおりゃああああぁ!!!」
二人の魂が激しく衝突した。
ガキンッ!!!
金属音が鳴り響く。
そして、弾けて剣が真っ二つに両断。
私は初めて見た。
剣が盾をではなく、盾が剣を真っ二つに折った瞬間を。
つまりこれは--
「盾の勝ちだな」
「うおおおおぉぉ!!!!」
盾職人の勝利の雄叫び響く。
「そ、そんな、私めが打ったへっぽこオリハルソードが……」
剣職人からは謙遜かつ敗北者の言葉が綴られていく。
そんな床に手を付き項垂れていた剣職人を励ますように、
「いい戦いだった。いつでも再挑戦受けてやるぜ」
「ううう……」
盾職人は肩をぽんと一度叩いて店わ後にした。次の戦いへ向かったのだろう。
--
店主はそれからもずっと項垂れて塞ぎ込んでいた。気持ちの悪い沈黙が続く。いたたまれないな。
「さて、帰ろうか」
私はこの雰囲気から逃れたいあまり、早く店を出ることを提案。みんなも頷いたため店を出ることにしたのだが、
「ち、ちょっと待ってくれ!」
「なんだろうか、店主殿」
「君達にお願いがあるんだ」
「お願い?」
お願いとは一体何を願われるのだろうか。
五人全員であの盾職人を討つとかそんなんじゃないだろうな。
「この街を出て海を渡った先の島、その奥地に洞窟があるんだが、そこに幻と言われる鉱石があるとの噂なんだ。オリハルコンも超えるものらしいんだ」
「それで何が言いたい」
「こんな私めのために、それを取ってきてくれないでしょうか。私はその鉱石を使って新たな剣を作りたいのです」
「みんな、時間がない。他国へ行く準備を--」
「待ってきください! そこの男性はまだ武器を購入されてないでしょう? もしその鉱石を採取できましたら、その幻の鉱石でその男性特性の武器を作る、という条件ではいけませんでしょうか」
むむむ。
ナイトが武器を買ってなかったばっかりに、そこをつけこんでこの話を受けるよう誘導してきている。
確かに武器は必要だ。だが幻の鉱石なんだぞ?まず採取できるかが不明だ。それとそこまで優秀な武器でなくても--
「店主、ひとつ聞きたいことがある。幻の鉱石は幻なんだろ? 本当に見つかるのか?」
「正直に言うと、見つかるかはわかりません。あくまでも噂なんです。ダークマターという鉱石らしいのですが」
「じゃあもしそのダークマターが見つからなかったときなんだが、それでも俺に武器を作ってくれるという条件も追加できるか?」
「本当に探しに行ってくれるなら追加ましょう」
「よし、俺達が受けてやる」
「ほ、ほんとですかっ!」
「ちょっ、ナイト! 何を勝手に!」
この男……! 何を交渉しているのかと思って黙って聞いてたら、急に依頼を受けてしまったではないか。しかも雑な交渉で。
「えー、だって幻の鉱石でできた武器だよ?そんなの聞かされて黙っていられる男子がいると思う?ね、シエル君?」
「そうですね。僕もちょっといいかもとは思いました」
なんと……!
男心とはこういうものなのか?
強いものに憧れるとはよく聞くが、そんなに強い武器が欲しいというのか?
「強さは武器だけではきまらんぞ」
「それはわかってる。だが、俺は、もう一度あの店主にリベンジしてもらいたい気持ちもあるんだ。だから、俺は鉱石を取りに行く。みんなはどうするんだ?」
ナイトがみんなに問いかける。
「私はナイトさんの主人として監視しないといけないので、もちろん行きますよ」
「僕ももちろん行くよ」
「じゃあアタシも行くわよ」
一瞬で四人が行くほうに決めた。
これは決まりか……。
「しょうがない。私も行く」
こうして、幻の鉱石を採取するための準備をすることになった。
--
「まずは水着だな!」
「どうしてそうなるんですかっ!」
繁華街と思われる通りにやってきた。
そこでナイトとシエルが水着について話している。
海を渡った先にある洞窟、ということで、海に入ることを想定した私達は、水着を買うかどうかで悩んでいた。
「シエル君、よく聞きたまえ。これは千載一遇のチャンスなんだ。女性陣が布一枚でさも当然のようにうろちょろするのは海でしかありえないんだぞ? このチャンスは必ず掴まねばならん。君もそうは思わんかね」
「おっさん、アタシのシエルに変なこと吹き込まないでよ」
「サーチャ。君もよく聞きたまえ。これは変なことではない。ごくあたりまえなことだ。じゃあ聞くが、サーチャはシエルの水着姿を見たくはないのか?」
「それは、その……。み、見たい、わよ?」
「ほらシエル君、そういうことだ。サーチャが見たいと言ってるんだったら、シエルも見せないといけない。ということで水着屋に行くぞー」
「ちょっ、ナイトさん! 引っ張らないでください!」
ナイトはシエルの腕を掴んで男性専用水着屋に入っていった。
まったくあの男は……。
そしてなぜか、リマもナイト達に続けて入ろうとしていた。
「リマ、何覗こうとしてんのよ」
「……ナイトさんが攻めでシエル君が受け……はっ! あ、いや、なんでもないですよ、はははは!!」
サーチャがジトリとした目でリマを見ている。今のリマ、だいぶ怪しかったな。やはり要注意だ。
しかし、水着か。
ナイトの回復力が身体から出る能力なのか、それともまた別なのかを判断するにはいい機会なのかもしれんな。
「よし、私達も購入するぞ」
こうして私の合図とともに、女性陣も女性専用水着屋へ購入しにいくのだった。
--
「よし、みんな購入したな! 忘れ物はないな!」
「完璧よ」
「大丈夫だ、問題ない」
ナイトが全員に道具等の最終確認を行う。
リマとシエルは頷いた。
サーチャ殿も完璧とのことで、みんな忘れ物はないようだ。よし。
「では、南の島に向けてしゅっぱーつ!」
銛を手にしたナイトが天高く掲げ、出発の陣を取る。
目指すは名も無き南の島。
この島で幻の鉱石探しだ。そして私のシークレットミッション、ナイトの能力探りを行う。あとリマの動向も引き続き監視だ。頑張らなくてはな。




