異変
鷲尾駅に着いて電車を待っている間、僕は自分の中に湧き上がる疑問に目をつぶる事が出来なかった。
あいつはいつから居た?
どこから来た?
初めからあの場所に居たのか?
どうしてこのタイミングで出てきたのか?
あいつは何だ?
そもそも僕はどうしてあいつと言っている?
人の様な影の様な…
あれは存在するのか?
そして、何故悠真が危ないと思ったのだろう?
一年前のあの紙屑の話をしていたからか?
何かを見逃している気がする、何だ?何が引っかかる?
心の底から湧き上がるこの恐怖はいったい何だ?
あの影は誰だ?いや、あれは、あれは…
「蒼穹!!!」
瞬が大声で僕の名前を呼びながら腕を引っ張った。
「蒼穹のるぞ」
大声で瞬がもう一度僕の名前を呼びながら強引に僕を電車に乗せた。
電車に乗り暫くして、二人とも一息つこうとした瞬間、僕のスマホに着信が入った。
悠真からだ!!!
僕も瞬も息を飲んだ、
「悠真今どこだ?」
悠真からの電話に出るや否や僕は悠真に聞いた。
「どこって、洋館の庭だよ」
悠真の低い冷静な声が返って来た。
僕は悠真が何を言っているのか全く理解出来なかった。
だって、だって、僕達は今まさにその洋館の庭から逃げ帰って来たのだから、
「悠真何故そこに居るんだ」
やっとの思いでそれを聞くのが精一杯だった。
そんな僕の様子を無言で顔を青ざめさせながら瞬は見ていた。
「何故って?だって、洋館の庭に居るから来いって言ったのは、蒼穹だろ?」
と悠真は怪訝そうな声で言った。
僕の頭は混乱し、全身の血が逆流しているかの様に苦しかった。
まともに息をしているのかさえ分からなかった。
間を置いて、僕は悠真に答えた
「俺そんなこと言ってないよ…」
そう答えた声は自分が聞いたこと無いくらい、震えて擦れる声だった。
何が起こっているのか分からないが、一つだけ分かる、
今僕達は決断を迫られている、
もう一度あの洋館の庭に戻って悠真を助けにいくかどうかの決断を…




