異変
何だかもやもやした気持ちで、僕達は取り敢えず当初の目的である商店街の本屋へ
向かうことにした。
いつもの本屋が見えてきた頃に、僕は今までに感じたことの無い違和感を覚えた
すると瞬が、
「な~蒼穹、本屋の横に道なんかあったっけ?」
と戸惑いを隠せない微かな声でいった。
「うーと、あるな…てことはあったんじゃね?」
と僕はその場を誤魔化したが、
「…なかったよ」
と冷静に悠真が言った。
良くわからない、難しい感情が僕を襲った。
僕は、いや僕達は戸惑い立ち尽くしたが、無駄な抵抗だった。
行かずにはいられない、そんな感じに思えて、三人とも無言でその横道へと進んだ。
人が一人通れる程の道だったが、歩きづらくは無かった、
15分ほど細い道を歩くと、一軒の古い洋館にたどり着いた。
門は無くなっていて、まるでご自由にお入り下さいと言わんばかりだった。
建物の中には入るつもりはないが、ふと見ると庭が左側にみえた、
「ちょっとあっち行ってみないか?」
と僕は二人に言った。
二人が傾いたので、行ってみる事にした。
すると目の前にまるで童話の中の洋風な庭が広がっていた。
僕達は一瞬にして虜になった。今考えると不思議でしょうがないが、
なぜこの古い洋館の庭に魅了されるのか分からなかった。
その日以来僕達は度々この洋館の庭に来ていた。
「蒼穹!!」
突然瞬が大声を上げた、
「なんだあれ…」
震える声で瞬が指を指す、僕は嫌な予感しかしなかったが、
振り向かずにも居られなかった。
誰か来る、嫌…人じゃない?まて、人か?
困惑した、心臓が痛いくらい早まり、頭が真っ白になり動けないでいた。
それは、人の様な影の様な、音も立てずにゆっくりと僕達の方に近づいて来る!!
頭の中で誰かが叫んだ!
「逃げて!!」
その瞬間僕は瞬の腕を掴み、逃げ出した。
混乱する状況でどこか冷静で、状況を把握し、最短で洋館の庭を抜け出す方法を僕は何故か知っていた。
全力で走った、後ろなんか振り向く事など出来なかった。
ようやく本屋が見えて少しホッとして、瞬を見たら、顔面蒼白で息を切らせて
涙目で縋る様に一言
「何だあれ、怖い…」
と言ったが、僕も返答出来るほど余裕も無く、また無言で商店街まで走った。
僕はヒーローでも勇者でもない、普通の臆病な高校生なのだと
思い知らされた瞬間だった。
商店街まで来て、人ごみに紛れてようやく少し呼吸ができた気がした。
恐る恐る、さっき来た道を本屋を振りかえった…
いつだったか、あの日感じた良くわからない、難しい感情が僕を襲った。
「道が無くなっている…」
理解が出来なかった、僕達は夢を見ていたのだろうか?
確かめたくて瞬の方を見たら、まだ顔面蒼白で涙目な瞬がいた。
夢じゃない…と同時に直感的に悠真が危ないと思った。
全身に鳥肌が立ち、僕達は逃げるように鷲尾駅に向かった。




