異変
「去年の夏にあれを拾ったろ?」
「うん」
「あれさ、もう直ぐだよな?」
「そうだな…」
そう、あれは去年の夏に、僕と瞬と悠真とで、鷲尾駅を出て直ぐの商店街の
本屋に行こうとしていた時の事だ、
誰かが、悠真に何かをぶつけてきた。
それが何なのか、直ぐに分かった、
ポトリと落ちた乾いた音、拾うとかさりと音がして、悠真はそれを拾った。
悠真と瞬と僕は今高校2年生の夏真っただ中にいる、
1年の時から3年間クラス替えがない僕たちの高校は、
必然的に気の合う仲間が居たら、仲良しになり親友レベルにまで昇格する。
瞬は、目が大きくて少し茶目っ気があり、色黒で活発だが、背が一番低い事を
気にしている。
悠真は、一番背が高く、3人の中でズバ抜けて頭が良く、イケメンだが本人曰く
ガリガリなのを気にしている、185センチ50キロ 確かにちょっと痩せすぎだ。
僕はというと、身長も体重も顔も頭も普通だ、唯一彼らに勝てるとしたら、彼女がいるくらいだが、
実につまらない男だと我ながら思う。
話を戻そう、
そして去年の夏、悠真が拾ったそれには、
こう書かれていた…
『 ゆうま しぬ
いちねんご 』
何で書かれているのか、分からないが多分筆かな?
どす黒く少し掠れた文字だった。
誰かの悪戯なのは分かっているが、なんとも胸糞のわるい悪戯だ!!
そして、誰が投げたのかわからないときてる。
その場は、質の悪い悪戯だから、そんなの捨てろと言って、
悠真にそれを捨てさせたが、
…3人とも口には出さないが分かっていた事がある、
それは、
誰が投げたか分からない、つまり昼間の商店街には差ほど人が居なくて
その状況は僕たちの周りにも当てはまり、
丸めた紙をぶつけるには無理があるくらい、僕たちの周りには周囲の人との
距離があったのだ。
そして、その時に偶然見つけたものがもう一つある。