何かが降りてくる
DURAN DURAN というアーチストの「PLANET Earth」を何回も聞きながら、二番の歌詞を自己流で解釈していた。
「・・・あなたが降りてくるかどうか教えて欲しい。この誰もが抜け出そうと躍起になっている地上へ。僕の目は曇ってあなたの姿が見えない」
真夜中に鏡の中の自分の目の黒目の中心を見据えて、半狂乱になりそうな気分でいた。
「降りてきてやろうか?」
暗くて冷たい声がした。
その瞬間、自分が狼狽するのを知る。
「何のために?」
「お前が呼んだ」
「僕は・・・」
もし「それ」が降りてきたら、取り返しがつかないことになると、本能が告げていた。
「断る」
鏡の中の冷徹な目はもう見たくなかった。
夜は魔物のようにあり得ない出来事を孕んでいる。
僕は、明日の朝の眩しい光を待ち遠しく思った。