ありのままに
これまで小説は、フィクションとノンフィクションを混合させたり、ノンフィクションだけのものを書いたりしていたのだけれど、途中で書けなくなる。
だから今回はノンフィクションをありのままに綴る。
中学三年生の時に両親が離婚。父も母も大好きだったけれど、下の二人の弟と母へついていく。
今まで家族みんなで住んでいた家を離れる日、私は学校終わりに最後の帰宅をする。
母と弟はすでに新しい住居へ移動していて私も夕方には出なければならない。
住み慣れた家。台所にはキッチンの換気扇の下で煙草を吸う、ただただ無言の父。胸が苦しくなる。
広いリビング。みんなで寝た和室。洗面所。父の部屋。トイレ。私の部屋・・・・一室一室に心の中で「今までありがとう」と伝える。そして私は無言で家を出て、母と弟が待っている新しい家へ向かった。
中学三年生の受験シーズン真っ只中。私は23歳塾の教師に恋をする。
中学の卒業式、公立の受験発表、中学の一大行事にはいつも顔をのぞかせてくれた。
受験発表のときは合格とはいかなかったが、先生は何も言わず自販機でメロンソーダを買い笑顔で渡してくれた。
中学を卒業して、その先生に告白される。
もちろん返事はYES。そうして滑り止めで受けた私立の高校へ入学。
私の恋人は地元の塾の先生だから、みんなが外を出歩いている時間は会えないのが当たり前。
朝から学校へ行き夕方はアルバイト。そして少し仮眠をとり深夜~朝方まで先生と会う。正直しんどかった。睡眠時間がなくてよく学校も休んだり、遅刻してお昼から登校したり。たまに友人が「ちゃんと来いよ!」と怒ってくれたりもした。
けれど最愛の両親が離婚し環境がガラリと変わってしまった私には、恋人である先生が唯一の癒しだったのだ。