↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔道士なんて聞いてない!  作者: 香月千夜
魔道士として
PR
30/141

二人の魔道士(4)

チドリの体は限界寸前だった。

砕けた瓦礫に足を取られ何度も転んだせいで、膝や腕をすりむき、血が滲んでしまっている。岩人形(ゴーレム)が壁を破壊するたびに破片が飛び、体に打ちつける。走り回った足は痺れ、爪先の感覚がない。喉は痛み、肺が悲鳴を上げる。そういえば持久走は苦手だったなと、霞む頭にそんなことが浮かんだ。


痛い。

痛い。

痛い。

もう走れない。

呪文も唱えられない。

怖い。

怖い。

痛い。


嫌だ。


なんでこんな目に。


(……私が、弱いから)


地面を蹴る。足がもつれる。視界が回り、鋭い痛みが襲う。


(……嫌だ。弱いのは、嫌だ)


口の中に鉄の味が広がる。瓦礫が降る。


(死にたくない)


また転ぶ。頬が切れる。


(嫌だ。死にたくない)


喉が掠れた音を鳴らす。


(……負けたくない)


何に?


(わからない)


岩人形(ゴーレム)に?エーデルに?自分に?


(わからない、でも)


負けたくない。


走り続けるチドリの上に、影が落ちた。

見上げれば、迫る岩の拳。


「ッ……ヴェールフ・アスジオッ!!」


かざした手から放たれた光が、球形にチドリを包んだ。張られた防壁の上に、拳が叩きつけられる。

包んだ球ごと、チドリが床に沈んだ。

押しつぶすかのように、拳が迫る。

跳ね返そうと、震える腕を突き出す。

何かが砕ける音がして、体が浮いた。


「!?」



足元の床に穴があき、チドリを飲み込んだ。


「きゃああああああああッッ!!」


悲鳴を上げ、チドリは闇の中に消えた。



「チドリィッ!!」

「チドリ様ッ!!」

「魔道士殿!!」

「……っ!」


ステラとフィオーレが裂帛を上げる。

レアンの足が一歩動いた。


「あらら……流石に死んだか?」

「エーデル、おぬしいい加減に……」


乾いた音を立て、ステラがエーデルの頬を張った。

紫の宝玉から、涙が零れる。


「さいってい……!チドリが死んだら、絶対許さないんだから!あんたなんか……あんたなんか大っ嫌いっ!!」

「……ふん。勝手にしろよ」


エーデルが視線を逸らす。ステラはフィオーレの肩に顔を埋め、泣きじゃくった。


「……チドリ様は、死んでいない」


静かに、レアンが呟いた。エーデルが鼻を鳴らす。


「なんでわかるんだよ。そんなこと」

「……あの方の魔力を感じるのです」

「はあ?」

「一度、体に流したからか……同じ気配を、神殿の底から感じます」

「…………なんじゃと?」


シャイルが声を掠れさせる。エーデルの目が、初めて驚異に見開かれた。


「お前、今なんて言った……?体に、流しただと?あいつの魔力を?」

「ええ、そう言いましたが……」


二人の魔道士が、顔を見合わせた。


短いですがキリがいいので(^_^;)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。