あきちゃん
決まって3コール。
必ずといっていいほど、あきちゃんは3コールで電話にでてくれる。
「もしもし…茜?」
落ち着く声。
あきちゃんだ。
「あきちゃんー…いま部屋についたんだけど…」
「あー新居?なんか電話かかってくるような気がしたんだよね」
そういってあきちゃんは笑った。
あきちゃんは親戚のお兄さんで私の"嫌な感じ"を唯一話してる人。そして、あきちゃん自身は見える人らしい。
「…でなに?そこ、嫌な感じするの?おかしいな
、こないだ見に行ったときそんなやつ居なかったぞ」
一人で物件を探すことが不だった私は、あきちゃんに手伝ってもらっていた。その時は、なにも感じなかったし、あきちゃんのお墨付きだったはず。そして、いい放たれた一言…
「茜……また連れてきたんじゃん」
「ちょっとやめてよ…うそでしょ」
そう、見えもしないのに何故か引き付けてしまう体質らしく、こういうことは実はよくあることなのだ。実家に居たときはあきちゃんが側にいてくれたけど…
「悪いけど、すぐそっちには行けないし…んーまぁ、部屋までは入って来てないみたいだし」
とりあえず、大丈夫だろ、がんばれよ。そういってあきちゃんは一方的に電話を切った。
「酷い…」
まぁ、確かにそうなんだけど…。