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狩り人81

泥だらけになったカリンを見て溜め息を。

「仕方ないな。

 直ぐに洗い流せ。

 いや。

 近くに川もある事だ。

 洞窟内の気温と川から上がる(モヤ)は…

 あれは湯煙だな。

 ふむ。

 温泉でも湧いているのか?

 ならば、俺も一緒に身を清めるかな。

 湯に浸かるなど、久し振りだしな」

告げる途中で思い付いた様に告げる。

泥だらけで気持ち悪そうにしていたカリン。

彼も水浴びをする気にはなっていたが…

「へっ?

 今、何て?」

キョドった感じで。

「んっ?

 水浴びをしろと告げたのだが?」

何を言ってんだ?っとカリンを見る。

「ははっ、そうだよね…」

乾いた笑いを。

「ほら、行くぞ」

そんなカリンを訝しく見やりながら告げ、動かない彼の手首を掴む。

「へっ?

 い、いや…

 ヤッパリ?

 ま、拙いから…

 それ。

 ちょ!

 ダリル兄ィ!

 オイラぁっ、1人で入るからぁっ!」

突然慌て始めるカリン。

そんな彼を不思議そうに一瞥し。

「おかしなヤツだな。

 男同士なんだから構うまい。

 それに泥濘に嵌まったのだから、早めに清めるべきだぞ。

 あの様な泥濘には病の呪が宿る場合もあると聞く。

 放置は駄目だろう」

諭す様に。

「い、いや…

 でも拙いからぁっ!」

抵抗するカリン。

意味が分からない。

「えぇ~いっ、面倒だぁっ!」

ダリルはカリンをひっ捕まえると抱き上げる。

「へっ?」

所謂お姫様抱っこだが、ダリルは気にしない。

効率良く運ぶのに適していたからに過ぎない。

だがカリンは違った様で…

「なっ、な、ななぁ~」

慌てて暴れる。

「こら、暴れるなっ!」

ザバザバと川へと。

途中で川の水が温水へと。

(面倒だ、ここら辺で良かろう)

そう投げ遣りに考えたダリルがカリンを放る。

「へっ?」

放られたカリンは宙にてワタワタと。

ザッパァァァァンッ!

派手な水飛沫(シブキ)を上げながら川へと落下。

いきなりの事に慌てふためくカリン。

足が着く筈なのだが溺れそうに。

パニックである。

そんな彼に呆れながら…

「仕方ないヤツだ」

そう告げたダリルが回収。

ホッとし、思わず弛緩したカリンだが…

「へっ?」

ダリルが彼の衣服へ手を掛ける。

「えっ?

 ええっ!

 ちょっ、ダリル兄ィィィィっ!」

「何だ?」

いきなり大声を出し抵抗を始めたカリン。

「服はダメェェッ」

「泥だらけだから服も洗わねばなるまい。

 それに男同士で、何を恥ずかしがるのだ?」

(面倒なヤツだな)

そう思いながら…

「そうだけど、そうじぁ無くってぇぇっ!

 ダメェェッ!

 カンニィィィィンッ!」

下履きも剥ぎ取られたカリンが絶叫!

んでぇ。

カリン君がカリンちゃんと、発覚した瞬間でしたとさ。

「なっ!

 なななっ、ななっ!」

うん、ダリル君、アウトォォォゥッ!

まぁダリルはカリンを男と思っていた訳でぇ…

家では弟達や妹達の世話で水浴びをさせたりも。

その際には逃げ回る下の子達を捕まえて脱がして洗ったりもしていた。

そんなダリルである為、同じように扱ってしまったが…

そこは、それ。

カリンは身内では無い。

ましてや男で無く女の子。

それも見た目は10歳に見えても1歳下の15歳なのだ。

真っ赤になって蹲るカリン。

顔は真っ赤である。

いや、全身がか?

何時も冷静にてクールガイなダリルも、流石に動揺している。

「す、済まんっ!」

後ろを向いて頭を下げる。

いや、カリンは後ろなのだが。

誰へ頭を下げているのであろうか?

しかも上半身が水面と水平にならんばかりに。

相当テンパっている。

まぁダリルも16歳。

まだまだ若く、猟師として厳しいハンター修行に明け暮れた身。

家では下の子の面倒を見るのにも忙しく、幼なじみとの語らいなどは稀有な事象へと。

付き合いのあるのは年上の男共が大半。

そんな彼には恋愛などの経験は無い。

故に、いきなり発生した事案にパニックへと。

珍しい事とも言えよう。

一方のカリンだが…

顔半分を川へと浸け、しゃがみ込んでいる。

彼女は身内を失い村を出て町へと。

幼い身形ゆえか男の子とも見える。

それを利用して男の子としてハンターの仕事を。

女と知れただけで身内の無い者には危険が。

そんな世界故に身を守る為にも。

っと言っても男の娘と見える容姿である。

男装していても危険なシーンは実はあった。

だが、周りの大人達がさり気なく守っていたりする。

カリンは気付いてはいないが…

そして普段のカリンは警戒心が非常に高く、容易く人について行ったりはしないのだが…

カリンは気付いていないが、危急の際にてダリルに救われ惹かれた…

つまりは一目惚れ。

初恋だったりする。

そんな己の恋心に気付いてはいないカリンではあるが、流石に初恋の男性に剥かれるとは…

とんだ羞恥プレイとなったものだ。

「な、なんだ…

 その…

 俺は上がって火を焚いておくから…」

うん、逃げた。

だが、この場合は正解か?

この場に止まり気不味い状態で羞恥を抑え止まるより、少し間を開けた方が良かろう。

まぁ、テンパっている現在のダリルが、そこまで考えていたかは分からぬが…あの状態の侭よりマシであるのには間違いあるまい。


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