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狩り人74

昨夜遅くに眠りへと着いたダリルだが…

日が明け切らぬ内に目覚め活動し始めている。

意識を間然に落とさぬ半覚醒状態での睡眠。

熟睡とは違い、容易く疲れを取り去る事など出来ぬ筈。

筈なのだが…

全く疲れを見せずに実に元気である。

先ずは鍛練を。

それを終えると川辺にて身仕度を整える。

その後は朝食の用意へと。

流れる様に行っている。

荷の用意だが…

昼食用に干し肉を、背嚢の取り出し易い場所へと格納。

革の水筒へは川の水を汲んである。

暫くは水の心配はあるまい。

フライパンにて朝食を仕上げる。

ここ最近は贅沢をした。

これからは粗食となるであろう。

カリンがレベルが下がる食事に我慢できるか…

ちと気掛かりなダリルである。

行き掛かりとはいえ、鍛えてやると約束したのだ。

途中で放り出す気は無い。

彼もゼパイルへ無理を言い弟子に。

そして鍛え上げられた身なのだ。

それを鑑みて、カリンを中途半端にて放り出すなど考えられぬ。

持ち回りと言うヤツだ。

そんな彼がカリンを鍛えるには、先ずはカリンに体力を付けさせる必要がある。

今のカリンでは筋力とスタミナが圧倒的に足りぬ。

っと言うか、栄養不足による発育不全と告げた方が良かろうか。

つまり、多くの栄養を身に取り込まねばならぬのだ。

そんなカリンが味のレベルが下がった料理に難色を示したら…

今から身体を造らねばならぬのに、非常に拙いと言えよう。

そんな懸念を考えながらも朝食を仕上げる。

皿の代わりに草の葉を代用。

幅広の大きく肉厚な葉である。

皿の代用には十分耐えられよう。

既に皿や器は洗浄して背嚢へと吊してある。

今更荷解きなど行う気にはなれぬ。

故に葉を代用とする事に。

葉皿へと料理を盛ると、川へと向かいフライパンを洗う。

終わると背嚢へと吊し準備を終えた。

この段となってもカリンは目覚めない。

昨日と一昨日はキツい鍛練を続けたのだ。

身体が休息を求めるのだろう。

その眠りは深い。

ゆっくりと寝かせて遣りたい気も。

だが道無き森を掻き分けての移動だ。

開けた場所などあるかも分からぬ。

早めに動きなるべく進み、早めに野営場所の確保に動かねばならぬ。

時間は有限なのだ。

ゆるゆると休ませる訳にもいかぬ。

仕方なくカリンを起こす事に。

「う、う~ん…

 あっさぁ~

 ふぅ、わぁぁぁあっ」

実に気怠そう。

未だにボーっと。

そんなカリンにダリルが布を投げる。

見事顔面へと直撃。

「ぷわぁっ!?

 な、なぁにいぃ!」

慌てるカリン。

そんな彼へダリルが平然と告げる。

「サッサと顔でも洗って来い。

 飯が冷めるだろ」

「酷…」

文句を言い掛けたが…

「飯が冷める」の一言にて、「ふぁ~い」っと気の無い返事だが動き始める。

現金なものだ。

川辺にて顔を洗い戻って来たカリン。

「うぅ~

 ヤッパリ水が冷たいや」

目は覚めたが、身震いを。

焚き火に当たりながら告げる。

そんな彼へと料理を差し出しダリルが言う。

「ほら、早く食べてしまえ。

 食い終えたら、此処を発つぞ」

「えっ!?

 もう出るの!」

驚いたと言うよりは…

キョトンっといった感じか。

「うむ。

 干し肉も良い感じに仕上がったのでな。

 悪いが、おまえの背嚢へも詰めさせて貰ったからな」

その様な事を。

「良いけどさぁ…

 それって、オイラが持てる重さだよね」

不安になり尋ねるカリン。

そんな彼へ微笑みながら。

「心配ない」っと。

「そ、そうだよね。

 はははははっ」

ホッとするが。

「おまえの持てる重量は鍛練にて把握している。

 十分鍛えられる程度の重さに過ぎん。

 安心しろ」

その様に。

それを聞き…

「安心できる要素が無いんですがぁっ!?」

悲鳴を上げるカリンであった。

その後、食事はコレより貧相となって行くと告げられ落ち込んだり。

美味い料理は最後かもまと意気込んで食べ、「味わえ」と諭されたりと。

なかなかに賑やかな朝食となった様である。

そんな朝食を終え食休みを。

腹が熟れたら出発である。

焚き火へと水を撒き火を消す。

万が一、山火事にでもなったら洒落にならぬ。

森の恵みは有限で貴重な物。

それを損なう行いをして発覚すれば極刑である。

例えそれが不始末による過失や子供の悪戯や過失であろうと変わらぬ。

罪は罪。

厳しい世界に生きる者達にとり犯せない禁忌であり、これは貴賤に関係無く適応される。

過去に軍事行動にて森へと火を放った国が。

近隣各国の連合軍に袋叩きにされ国は解体。

王侯貴族と戦犯と扱われた豪商が全て処刑へと。

現党首、元党首に収まらず、親族、幼子に問わず罰せられたらしい。

ただし子供は身分剥奪の上で行儀見習いへと。

寛大な処置扱いとなるのだから堪らない。

それ程に森を焼き汚す事は禁忌。

故に念入りに火を消す事に専念したダリルであった。

さて火も消えた事でもあり、いよいよ出発である。

カリンは背負った荷物がズッシリと。

「ダリル兄ィ…

 これをオイラがずっと?」

不安そうに。

「無論だ。

 良い鍛練になりそうだろ」

うん、良い笑顔で。

カリンの顔は引き攣っているが…

変えられない事実と悟り肩を落とす。

そんな諦めたカリンを引き連れ歩き始めたのだった。

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