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狩り人62

背嚢より革袋を複数取り出す。

革袋へは森にて採取した素材が小分けして収められていた。

採取品には食材や治療などに使用する品の他、狩りで使用する物もある。

それは身体に害となる品もある事から、他の素材と混ざらない様に注意が必要だ。

そんな素材から必要な品を選択、今回不要となった品を背嚢の定位置へと戻した。

扱いは慎重だ。

なにせ猛毒を含む素材も有り、不用意に扱い万が一でもあれば取り返しが付かない。

一応は解毒作用のある素材も用意してはいる。

だが効能を引き出すには、複数の素材を摺り潰してから適切に配合し煎じる必要があるのだ。

素材の侭ならば日持ちもしよう。

だが、煎じた後では長時間効能を保つ事は出来ない。

故に素材にて持ち運ぶしか無いのであるが、咄嗟に窮余の事態へと陥った場合は間に合う保証など無いのだ。

故に取り扱いを慎重に成らざるを得ないのだった。

今回ダリルが取り出した品であるが、麻痺毒の部類である。

傷口より毒を与え麻痺させる形で使用する。

相手に食させても良いが、傷口より与えるより即効性が弱い。

更にピリピリとした味を好む獲物は稀。

匂いも独特である。

まず口にはしないであろう。

その辺を鑑みても、口内にて摂取させる方法を狙うのは下策と言えよう。

ダリルは慎重に素材の分量を分ける。

量りなどは無い。

故に目分量ではあるが、そこは今迄の経験にて弁えている。

取り分けた後の革袋は背嚢へと戻す。

貴重な品であり切り札とも言える品だ。

大事に扱う必要があるからだ。

そして取り出した品を丁寧に摺り潰していく。

この際は素材別に作業を行う必要がある。

ダリルは複数の木皿を背嚢の側面に吊しており、本来はコレにて行うのであるが…

現在滞在しているのは河原。

そこには大小様々な石が存在する。

扱い易い品もあり、その様な石を流用しての作業と相成った。

鉄の小皿も複数保持してはいる。

では何故、其方を使用しないのか…

それは鉄と言う材質に問題があるのだ。

鉄に反応して薬剤の品質が変化し、狙った効能が得られない。過去にあった事例らしい。

故に鉄素材にて造られた器にての調合は、師ゼパイルより固く禁ぜられていた。

この度の麻痺毒は熱を通さない調合である。

いや、熱を与えてはならないと言った方が正しいであろう。

ある一定の温度を超えると、麻痺毒の効能が飛んでしまうのである。

使用に耐えぬ品を作り出しても無意味であろう。

故に決して熱を通してはならない。

そして素材別に摺り潰した品を合わせる訳だが、この際にも留意する必要がある。

素材を混ぜ合わせる順にて調合の成否が決まるからだ。

素材Aが基本素材とした場合、素材Bは素材Aの効能を引き出すが素材Cは引き出さない。

そして素材Cは素材Aの効能を高め、素材Dは吸収率を高め即効性を促進する。

つまり、効能を引き出し、高め、吸収率を促進の順にて作業を行わないと、狙った品質の品が出来ないのだ。

例の様に単純な工程では無いが、その様な理由から順次素材を混ぜながら摺り合わせる。

状態は触感や匂いに色合いにて判断。

5つの素材を順序よく手早く合わせて行った。

なにせ狩り場では時間が無い。

予め用意しては効能が保てていない可能性がある。

故に現地で調合する訳だ。

効能に信用が置けぬ品など狩りに使用できぬ。

それにより生死が左右されるのであるから。

「ふぅ…

 出来たか」

ロアンデトロスの状態を確認しつつの作業である。

精神的にキツい作業と言えよう。

そのロアンデトロスと言えば、現在は陸へ狼を引き揚げてからのお食事中である。

水中でも食せようが、群がって来る魚が邪魔だと見える。

優雅に食す姿には、ダリル達を警戒する素振りは無い。

所詮は弱種と侮っているのだろう。

ヤツにとっては人など餌に過ぎず、十分な餌を食している今は気にする必要も無いのだ。

(ナメやがって…)

そう内心にて憤るが、本来はチームで挑む様な相手である。

ダリル1人で挑んで来るなど思っておらず、本来は1人で挑むモノでも無い。

まぁ…

ダリルとて[ルキュインの麻痺毒]と言う宛が無ければ挑まなかったであろうが…

出来上がった麻痺毒を、矢筒内全ての矢の鏃へと塗布する。

次は槍の穂先と剣の刃である。

剣は鞘から引き出し塗布した後は鞘へと戻す。

メイン武器は弓矢と槍。

剣はあくまで予備として扱う。

後はナイフなどにも。

これらは、まず使用する事はあるまい。

だが保険となる手は、成る可く打つべきであろう。

これで支度は整った。

無造作に陸へと上がり餌を貪っているロアンデトロス。

正直、川の中に居られたら厳しかったであろう。

その際は、如何に挑発して陸へと誘導するかが味噌となる。

だが陸地は此方の領域。

ヤツの領域たる水中では勝ち目は無いが、此方は違う。

しかも油断しきって餌を貪るのに夢中ときた。

隙だらけである。

最早、標的。

ダリルは弓へ矢を番え、キリキリと引き絞る。

ヒョウとばかりに放たれたる矢は、見事にロアンデトロスの眼へと突き立つのであった。

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