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狩り人58

食事を摂りながら話していたのだが…

深皿と兎串を受け取ったカリン。

受け取った兎串を地面へと刺す。

そして深皿を受け取り皿に添えてあった木匙を取り、先がスープに浸っていた木匙を掴む。

そしてチラッチラッっとダリルを見る。

ダリルが頷くと、意を決した様に。

「頂きまぁ~すぅ」

木匙でスープを掬い口へと。

口に入れ暫く味を堪能…魅了?されつつ…飲み込む。

「ふまっ!!

 なに、これっ!

 狩場で食べれる味じゃ無いよぉっ!!

 どおなってんのぉっ!?」

驚いたカリンが、マジマジとダリルを見る。

「んっ?

 そうか?

 俺達は、これが普通なんだが?」

困った様に。

「なに言ってんだよ、ダリル兄ィ!?

 これって兎肉だよねっ!

 本来、これって納品物じゃないのさっ。

 それを自分でたべちゃってるし…

 それにさ、この味ってなんな訳?

 店や屋台にて出される料理レベルだよ、これ。

 なんで狩場で、此処まで凝った料理を食べてんのさ」

半ば呆れた様に。

「いや…

 食は生活の基本だろ。

 疲れた体や気力を癒やすには、美味い食と十分な睡眠だ。

 だがな。

 狩場で十分な睡眠は不可能だ。

 何せ、何時危険な生き物に襲われるか分からんのでな。

 そうなるとだ。

 明日への活力、1日を支える気力は食に求める事となるだろうさ。

 故に俺達猟師は食事を大事に考えるんだ。

 まぁ、本来は内臓を中心に食し、肉は納品に回すのが普通だ。

 だがな。

 今の俺はハンターギルド加入前で加入の為に移動中な訳だ。

 そうなるとだ。

 道中に余分な荷物を増やすのも困る。

 だから食す分を狩り、それを食す事で荷物を増やさぬ様に移動するのさ。

 答えになったか?」

シレッと告げる。

だがダリルが告げたそれは、容易く獲物を狩れ、かつ、食材を楽々と採取できる事を前提とした内容となる。

つまり…

「はぁっ!?

 ちょっと待ってよぉっ。

 それって…

 如何にも軽々と狩れたり採取できるって言ってる様に聞こえるんだけど…」

耳を疑う様に。

「いや。

 そんなに軽々と狩ったりは出来んぞ」

そう告げられ、カリンはホッと。

「そうだよねぇ」

安堵の呟き。

「うむ。

 先の獣竜討伐は大変だったからなぁ…

 死ぬかと思ったものだ。

 現に俺の師匠は逝ってしまったからなぁ~」

しみじみと…

目を瞑って深刻に告げるが…

「次元がチゲェっ!?」

思わず声を上げるカリンである。

その後、暫し悶着があったが、ダリルの告げた一言で一旦収まる。

「飯が冷める。

 喰えっ!」

確かに折角の料理である、冷めて味が落ちては勿体ない。

言いたい事は山ほどあるが、一旦は矛を収めて食事を再開する。

食事を進めると、徐々に無言になるカリン。

味に魅了され食が進み止まらないと言った所か。

ダリルも微笑ましそうに見ながら食べ進める。

己が調理した料理を旨そうに一心不乱に食べて貰える。

(これは…

 なかなかに良い物だな)

そう感じた。

何せ自分が作った料理は、己で食するばかり。

師匠には作ったが、元々師匠に教わった料理である。

未だに師匠の調理レベルには達していない。

故に師匠からは小言を受けるばかりであった。

そんな料理を旨そうに食べて貰える。

これはダリルにとっては、なかなかに新鮮な体験であった。

そんな感じで食事を終え、暫しの食休みを。

「ふぃ~っ。

 オイラ、大満足だよ」

弛緩した感じで呟いている。

そんなカリンを見てダリルが心配する。

「えらく食が細いな。

 そんな事では体力が付かんぞ。

 もっと食べれる様にならんとな」

カリンは結局、ダリルが粧った料理の3分の2ほどしか食べれていない。

鍋には、まだ料理は残っており、兎串も2本ほど余っていた。

ダリルは己自身と同程度は食べると考えて調理していた。

(これは明日の朝食は残りへ少し足せば十分だな)

その様に考える。

そんな事を考えていたダリルへカリンが不服そうに…

「え~っ。

 そんなん無理だよぉっ。

 オイラの様な見習いや初級のハンターは稼ぎが少ないもん。

 今日みたいに鱈腹食べれる機会なんて限られているんだい。

 だから多く食べたくてもお腹入んないや」

残した料理を残念そうに。

普段は量を食べられないのだろう。

そうなると胃が縮む。

胃が縮むと無論、少量しか食べられなくなり成長も阻害される事に。

胃と言う物は、食べる量により膨らみもし、縮みもする物だ。

フードファイターなどは胃が縮まない様に大量に食べていると言う。

逆に食わずに胃が縮んだ事で起こった例としては、幕末の会津藩は白虎隊に起こった悲劇が上げられよう。

乱戦にて散り散りになった白虎隊、飢えに苦しみながら本隊と合流したのだが…

飢えに任せて大きな結びに喰らいついた事にて悲劇が。

縮んだ胃には大量の食べ物は支え切れず に胃が破れ死に至ったとか…

この事から胃袋の状態に合った食事量は必須と分かると言うもの。

無理にカリンへ食事を進めないのは正解と言えよう。

食事と食休みを終え、ダリルがカリンへと告げる。

「戦う術は良いが…

 先ずは体力造りからだな。

 おまえの身体では筋力も体力も足りまい」

そう告げると…

「う~っ。

 ダリル兄ィっ!

 オイラ、カリンだやいっ!

 おまえじゃ無いやいっ!」

いや…そこっ!?

相変わらずズレているカリン。

ダリルも苦笑いである。

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