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狩り人40

夕闇迫る頃…

地に背を預け転がる男達が数多アマタ

ダリルと此処へと遣わされた全ての工兵…そしてハンター達である。

ハンター達の大半は二日酔い上がりの為か、各所にて吐いたりしたり粗相を。

所々にて据えた臭いが…

困ったものだ。

無論、その後始末は粗相した本人が。

踏んだり蹴ったりである。

そんな苦行を行いながら、2台分のバリスタを高台の奥へと。

1台分も手前の高台広場へと搬入済みである。

荷馬車にてバリスタを搬入可能な広場にバリスタの姿は無い。

無いが…

此処へは本隊到着後に、予備のバリスタが設置される事だろう。

故障や不具合を考え、予備を2台ほど用意してあるとの事。

更に、組み立てれば数台分になるバリスタの部品も運ばれている。

これは補修や修理用の部材と共に、故障、不具合、破損に備えた部品交換用である。

戦闘中に素早くバリスタを稼働可能にするには、部品を交換するのが効率的。

なので金銭的に余裕のある地では、良く行われる手ではある。

そう。

あくまでも金銭的に余裕がある地ではだ。

つまり田舎ではあるが、この村の財政は豊かだと言う事である。

この地で醸造される酒も趣向品であるが…

品質の高い煙草草や茶も栽培されている。

果物や穀物、野菜などの栽培もだが、畜産も盛ん。

銅鉄などの鉱石を有する高山も領地には存在。

質の高い岩塩窟も存在はする。

完全に専売で入り口には見張りが常駐している為、塩湖の様に庶民が隠れてくすねるのは不可能であろう。

しかも王都でも貴族連中が高値で求める品質の岩塩。

幾ら人の良いと言われる村長であっても、村人へ分け与える筈も無いが…

この様に、この村は自然から得られる恩恵が多い。

故に財政は豊かだと言える。

まぁ…

鉱山開発や農地開拓、畜産や養蜂、畜蚕…

貪欲に開拓へ力を入れている為、村から町へ至るまで行っていない。

まぁ…

入植してから30年も経ていない。

町へと発展するのは、これからと言った所か。

近くの村や町が人材流出に危惧しており、人が集まり難い事と…

従来から住む地元人の歓迎宴会と言う洗礼に耐えかねた者が、心を折られて逃げ帰ったエピソードも人が集まり町とならない原因かもしれない。

一部では、これが原因と囁かれてもいる様だが…

この様に多くのバリスタを保持している事を知り、騎士達は驚いたものである。

運ばれる糧食にて饗される料理の質も高い。

田舎貴族への助勢と侮っていた面々の認識は、現在では鳴りを潜めている様だ。

閑話休題。

さて、2台のバリスタを運び終えた高台の棚では…

「ふぅ~む。

 この有り様では、今日中に先の棚上へのバリスタ搬入は無理ですかな?」

不満そうに。

そんな射手兵へゼパイルが苦笑しながら告げる。

「そうですな。

 バリスタ3台分を高台へと搬入した事で良しとするしか無いでしょうな。

 これ以上は暗く成り過ぎ、搬入には向かないでしょう。

 事故でも起こされては、元も子も無いですからなぁ~」

肩を竦め、仕方ないと言った風に。

「それはそうですが…

 これだけの人数を導入して情け無い…」

嘆く様に。

(鬼だ…

 鬼が居る)

ダリルを含め、皆の内心へと浮かんだ感想。

夕闇迫る短時間にて重く嵩張るバリスタを分解されているとは言え急ピッチで搬入したのだ。

誉められても嘆かれる謂われは無いだろう。

だが…

射手兵も先の棚へ搬入する為に、滑車の設置をゼパイルと共に行っている。

此方も重労働であり、作業も手間である。

それを行った後で、搬入を手伝ってからの言葉。

(体力バカか?)

思わず、そう思える程だが…

工兵の1人が告げる内容にて納得。

「ガリアン殿と同じにせんで下さいやぁっ!

 大体、貴方は本来は重装歩兵の突撃部隊長でしょう。

 射手兵としての技量も高い事から、獣竜討伐に向かない重装歩兵部隊から射手兵として出向しているだけじゃないですかっ!

 貴方の様な筋力やスタミナを、我ら工兵へ求めんで下さいやぁっ!」

この射手兵…ガリアンか。

なかなかに多才である様だ。

そんな工兵の悲痛な声を聞き、ウンウンと頷く他の工兵達。

ダリルやハンター達は、呆れてガリアンを見る。

ゼパイルは、困った様に苦笑い。

そんな一同を見てガリアンが呆れて告げる。

「何を言っておる?

 儂だとて、工兵として従事した事もあるのだぞ。

 それに戦場では工兵だとて敵は見逃してくれはせん。

 普通に戦い殲滅する程度できんでどうする?」

素で告げている様だ。

(いやいや…

 戦えるは良いが、殲滅って…)

ダリルが呆れていると…

「マリャザック撤退戦の話は聞き及んでおりますが…

 アレを基準にされては、おりませんよね?」

工兵の1人が困った様に。

(マリャザック撤退戦?

 なんだ?)

ダリルが不思議そうに思っていると…

「ほぉぅ。

 おぬしが、あの戦いで噂になった工兵だったねか」

ゼパイルが感心した様に。

「ほっ!

 英雄ゼパイル殿の耳へまで噂が届いておりましたか。

 これは、とんだ御耳汚しをば」

照れた様に。

そして、ゼパイルが告げた内容だが…

10年近く前の事だが、利権問題にて隣国と意見が衝突。

戦争とへ。

まぁ…

長い歴史上では小競り合いに分類される程度の諍いではあるが、数千規模の軍が争う規模ではある。

そして、敵の軍師が弄した策により打撃を受けた軍の隊列が乱れ一次撤退へと。

騎兵、歩兵は素早く逃げ去ったが、足の遅い輜重隊は、そうは行かない訳で…

遂には敵に捕捉されてしまう。

その際に物資の武具を用いて獅子奮迅の撤退戦を行いつつ、遂には追撃して来た敵部隊を殲滅してみせた鬼。

いや…工兵。

それが、ガリアンであるらしい。

(あれっ?

 工兵って…

 そんな兵だったっけか?)

首を傾げるダリル。

結局、ガリアンの奮迅にて得た時間にて、体制を整える事に成功した我が軍が敵を押し退け快勝に至ったらしい。

とんだ工兵である。

そんな話を聞いて毒気を抜かされたダリル達。

話が終わる頃には薄闇から闇が濃くなる頃合いに。

足元に気を付けながら宿営地へと戻るのだった。

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