表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/169

狩り人31

討伐予定地へとハンターと共に移動を行う。

簡単な整備などは既に行われていた。

これには村人達の協力もあり進められた事だ。

だが人数を作業へそれほど割ける訳でも無い。

現在は春先。

農繁期と言えよう。

その忙しい時期に大人数の村人を充てる訳にはいかない。

とは言え、獣竜の問題は村の問題でもある。

獣竜の歩みが村まで至れば、村は只では済むまい。

農作物も壊滅状態になるやもしれない。

なればこそ、無理して人を割き討伐予定地までの道を整備したのである。

だが近距離の整備では無い。

限られた人数にて作業を行うのであるから、行える事も限られる訳だ。

道に空いた穴や泥濘ヌカルミなどを埋めて行く。

中には陥没した箇所まである始末。

余りに酷い箇所は手が付けれなかった。

巨木の倒木なども、そうだ。

この辺りは討伐に赴く部隊の方々に対処して頂くしかない。

そう言う結論に至った様である。

っと言うか、村長の指示だ。

討伐部隊は無償で派遣されている訳では無い。

領主である村長が領の税収より支払っているのだ。

その中には行軍にて道を整備する作業も含まれている。

とは言ってもだ。

騎士の派遣費はハンター達のそれとは異なる。

この村より先に獣竜が至る事により被害を受ける可能性がある村や町、それに国からの支援がある。

故に村の予算だけにて派兵費を賄っている訳では無いのだ。

逆にハンターだが…

国から多少の補助はあるが、雇うための費えは村持ちと言って良い。

その事も鑑みるにハンター達が道の整備へ従事するのは当然の事と言える。

理解しているハンターは少ない様だが…

困ったものだ。

さて、道の整備であるが…

ハンター達には力自慢の者達が揃っている。

村人達が苦労する様な作業を楽々と行っていたりするのだ。

所謂、脳筋と言うタイプであろうか?

考える事は苦手で刹那的に行動する者達だ。

文句を言うが、単純作業を行わせるには良い様だ。

ただし、自分で考えての行動に難がある。

適切に指示指導する者の存在は必須であろう。

ギルド職員は7人。

全体を指揮する古株の元ランカーギルド職員を補佐する6人となっている。

彼らが6人と古株ランカー、それに使えると判断できた数人のランカーが現場を指揮する。

指揮格から外されたランカーがゴネる場面があったが…

「宜しい。

 では、この現場をどの様に対処するかを告げてみなさい。

 その際に必要な人員と人数。

 必要資材と機材の申請も忘れずにな」

ゼパイルに告げられ、キョトンと。

そしてオドオドと辺りを見回す。

「どうした?

 現場を指揮するには最低限できてないとならない事だ。

 指揮する立場を要望するならば、当然行える筈だが?」

静かに尋ねる。

そのランカーは、赤くなったり蒼くなっりしながら脂汗を掻くばかり。

「ゼパイル殿。

 その辺にて御容赦を」

ギルド職員が執り成す。

「さて、お前達も分かったであろう。

 早々に整備を終えて討伐予定地へ向かうぞ!

 早めに討伐予定地まで整備を終わらせたならば、酒が振る舞われるとの事。

 あの火酒、フォボスだそうだが…

 作業が滞る様であれば振る舞い酒は無しとの事だ。

 どうするね?」

そう告げると…

「フ、フォ、フォボスですとぉっ!

 遣ります!

 遣りますぜぇっ!

 野郎共っ!

 気張るぞっ!」

「「おおぅっ!!」」

駄々を捏ねていたランカーだが…

脳筋ハンター達には受けが良い様だ。

ただ…

兄貴分と言うよりは、山賊の頭領と言った雰囲気であるが…

本当に大丈夫か、ハンターギルド?

その様な騒ぎはあったが、振る舞い酒の魅力に惑わされた者達の働きは各段に良くなる。

目の前に人参を吊されて走る馬の如しである。

まさに、馬車馬の如く働くのだった。

ダリルも指揮する人員として配されていた。

っと言っても、彼は指示を行った後で自ら作業員に交わり作業にも従事していた。

自分が一番若輩者と理解していた為でもあるのだが…

命じるだけで作業を行わない面々に対し、非常に受けは良くなっている様である。

そんな彼が休憩時にゼパイルへ告げる。

「しかし…

 報償を告げた途端に、彼処まで作業効率が上がるんですねぇ」

半ば呆れた様に。

彼が告げるのも無理は無い。

ギルド職員が報償を告げる前と後では倍半分以上に作業効率が上がっているのだから…

遣る気の有無にて作業の進展具合が此処まで異なる事になる。

ダリルには経験の無い事だった為、考え深かった様である。

さて、件の狩場であるが…

渓谷下には鉱石の採掘場がある。

そのため、暖かくなると鉱石の採掘も行われる場所である。

それ故に村から渓谷までの道は整備されていたのだ。

ただ冬の間は採掘が行われない。

結構な雪が積もる為でもあり、冬の間に道が荒れるのは常である。

大概は農繁期のピークが過ぎた後に道の整備が行われる。

この時期は非常に忙しく人手が足りないためだが…

ハンターにて整備が行われ、村人達に喜ばれているらしい。

そんな道の整備も早めに完了する事になる。

振る舞い酒に釣られた面々が尽力した結果と言えるが…

討伐予定地にて大宴会は如何なモノかと思うのだが…

困ったモノである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ