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狩り人29

本隊に合流したダリルだが…

「このスピードには馴染みませんねぇ」

ゼパイルへと愚痴る。

バリスタなどの武器に工作資材や工具、糧食などを馬車にて運んでいる。

そのため本隊の移動速度は遅々として上がらない。

一般人が歩むのには適度な速度と言えよう。

だが狩り人として鍛えられたダリルにとってはストレスを感じる速度であった。

それはハンター達も同様の様だ。

元来ハンターは単独で行動するか、少人数にて動く事が多い。

集団行動に慣れていない者達だ。

ダリルもゼパイルとコンビで動くか、村猟師達と組んで狩猟する位しかした事がない。

故に大規模な団体に属して行動するのは初めてである。

自分のペースを保てない。

短時間なら良いが、長時間となると結構なストレスとなっていた。

それはハンター達も同様。

少々、殺伐とした雰囲気が漂い始めている。

(ふむ。

 良くない傾向じゃて。

 どうしたモノかのぅ)

思案を巡らす村長。

人を率いる難しさが、そこにはあった。

放置して暴発されたり本番にて問題を起こされては堪らない。

(此処は先行させて、討伐予定地周辺の索敵でも行わせておいた方が良さそうじゃて)

そう判断した村長がゼパイルへ告げる。

「ゼパイル。

 済まぬがハンター達とダリルを連れて、先に討伐予定地へと向かってはくれぬかのぅ」

村長に告げられ、苦笑いして頷く。

「まぁ、仕方ないでしょうな。

 ヤツらは血の気が多い。

 また、自分達のペースを崩されるのを好みませんからなぁ」

肩を竦めて告げる。

その言をダリルがキョトンとして聞いていたが…

この行軍に付き合わなくて良いと理解したのか、ニンマリと笑う。

(やれやれ。

 困ったヤツだ)

ゼパイルが苦笑してダリルを見る。

まぁハンターが軍事行動に参加するなどは稀。

この度の様に行軍へ参加する事は滅多にあるまい。

だが、得難い経験となるだろう。

そう考えていたゼパイルの思惑は外れる事になってしまったが…

(まぁ、それも良かろう。

 しかしだ。

 アヤツら程度でランカーを名乗れるのか。

 最近はハンターの質が落ちているのか?

 まぁ…

 北の地と言う事もあるのだろうが…

 コイツらを獣竜討伐に参加させて役に立つなら良いのだがな)

ハンター達を眺め、しみじみと思ってしまう。

それでも中にはマトモなランカーハンターも含まれている様だ。

(それだけが救いと言えようか…)

参加したハンター達の何人が分かっているか分からないが、この討伐にて死者は必ず発生するであろう。

所謂、死地へと向かっているに等しい。

無論、この討伐へ参加したと言う事は、その覚悟があると見做されている。

それが分かっているのか?

甚だ疑問である。

ダリルなどは死地に向かっている事を重々承知している。

また、晶武具を扱う者は死亡率が高い。

他の者よりも獣竜へ近寄る事になるのだ。

当然と言えよう。

なればこそ、晶武具を他の者が扱う様に画策したと言える。

生き残るために策を弄す。

それは生き残る事を第1に考えるハンターとしては正しい行動だと言えよう。

だが戦力的に晶武具を扱えるダリルを外すなど考えられないのだが…

軽く考えを巡らせた後、ゼパイルはギルド職員へと声を掛ける。

ギルド職員は一般人からの公募にて職へ就く者も居るが、大半は引退したハンターである。

特に、この度ハンター達を率いているのは元ランカーである。

苦労しながらも気性が荒いハンター達を統率している。

その彼へゼパイルが告げる。

「ドムドラス様より下知が下った。

 ハンター達と共に討伐予定地へ先に赴き、周囲を索敵せよとの仰せである」

そうゼパイルが告げるとギルド職員は察したのか済まなそうに頷く。

「承った。

 これより討伐参加ハンターを率いて、そなたの指揮下へ入ろうぞ。

 どうか、良しなにな」

ゼパイルも頷き告げる。

「では、参ろうか」

っと。

それに頷き返したギルド職員が、ハンター連中へと号令。

「我らハンターはゼパイル殿の指揮下に入り、先に討伐予定地へと赴く!

 現地にて獣竜以外の障害となる敵が存在しないか索敵。

 存在すれば、それを排除するものである。

 では出発する。

 続けっ!」

ギルド職員が号令を発する。

遅々として進まない行軍に不満を顕わにしていたハンターの面々。

号令に喜色を示し歓声を上げる。

「「おおっ!」」

それを見て村長が思わず零す。

「困ったヤツらじゃて…」

それでも獣竜を相手取るともなれば人手はいる。

苦々しく思いながら、ハンター達を見送るのであった。

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