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狩り人25

翌明朝。

隊列を組み討伐隊が村から出立する。

輜重隊を含めた行軍となるため、その歩みは緩やかである。

本道は軍本隊と輜重隊が進む。

ダリルはゼパイルと共に本道を先行となる。

村長を含む一部の有力者は本道を避けて迂回路を行く。

騎士長やハンターランカー達だ。

無論、騎士隊を指揮する者は残して来ている。

それ以外の幹部を含めた騎士が集っている状態だ。

統率のとれた騎士と比べハンターは個人々の集まり。

ギルド職員が統率してはいるが、どちらかと言うと引率といった感じか。

騎士達に比べると烏合の衆とも言える。

こう言う団体行動を行うギルドとしては傭兵ギルドに軍配が上がるであろう。

この度は獣竜討伐と言う事もあり傭兵ギルドへのオファーは行っていない。

費用対効果から鑑みて見送ったとの事だった。

さて、本道を先行しているダリルだが…

虎が潜んでいる場所を探りながら進んでいる。

以前に目撃された場所に近い。

本来は援軍を待ち、無理をせずに狩る予定となっていたのだが…

(前回のヤツよりもデカいんだが…

 ヤれるのか、俺?)

胸中不安なダリル。

そんな彼の内情など知らぬ者達は丘上へ陣取っていた。

騎士達は無論騎乗しての移動だ。

ランカー達も同様に騎乗している者もいる。

殆どのランカーは走って同行していたが…

馬に騎乗せずとも馬での移動について来られるとは、流石はハンターと言えよう。

草食獣に及ばず肉食獣や竜種をも狩るハンター。

野山を駆け巡るのは常だ。

早駆けしている馬と言え、この程度の距離に同行するなど容易い事と言えよう。

彼らが陣取った丘の上からは本道を含むある程度の場所までが俯瞰できた。

虎の居場所もハンター達には確認できた様だが…

「して、ドムドラス卿。

 件の虎は何処ら辺に現れようぞ?」

騎士長が村長へ尋ねる。

「はてのぅ。

 流石に儂はハンターや狩人ではありませんでな。

 あの辺りに現れたとは聞いておりますが…

 潜んだ虎を識別する術などは持ち合わせておりませんからのぅ」

顎髭を扱きながら告げる。

「まぁ、騎士様方にゃぁ分かるまいな」

ランカーの1人が割り込む。

「ほぉぅ。

 卿には分かるのかね?」

騎士長が興味深げに尋ねる。

「止してくだせい。

 卿なんぞと呼ばれる身では御座いやせんや」

困った様に。

「んっ?

 これは異な事を。

 ハンターギルドのランカーともなれば騎士爵待遇と聞く。

 別に問題なかろう?」

ニマリとして。

確信犯と言った所か。

「これこれ。

 それよりじゃ。

 お主には潜んでおる虎の居場所が分かるのかぇ?」

脱線仕掛けた話を村長が戻す。

「そりゃ、この様な商売をしとりやすからねぇ。

 ほら。

 彼処の木立の下に藪があるでやしょっ」

ランカーが方角を指差す。

木々が多く茂る一角。

本道から、やや離れた場所に開けた場所がある。

その近くには小さな泉。

動物達が喉を潤す水飲み場としても機能している所である。

その水飲み場近くの樹木下に下生えとして藪が発生していた。

どうやら彼は、そこを指し示している様である。

「うむ。

 泉近くの大木下に茂っておる藪の事じゃな?」

村長が確認。

「そうでやす。

 その藪をジックリと確認してくだせい」

彼に促され確認する村長。

「ほぅ。

 あれかのぅ…」

どうやら認識した様である。

「むぅ。

 彼処に居るのですかな?」

騎士長が目を凝らしながら尋ねている。

どうやら彼には見付けられていない様だ。

「うむ。

 あの辺りの様じゃて。

 それに…

 そろそろダリルが仕掛ける様じゃぞぇ」

皆の注意が件の場所へ行く様に仕向ける。

その頃。

ダリルは討伐対象の虎を補足し、討伐に取り掛かっていた。

コンジットボウを肩から外し、矢を番えてキリキリと引き絞っている。

晶武具である槍は近くの樹木へと立て掛けてある。

矢を放つと直ぐに次矢を放つ。

以前は三本の矢を連続で射るのが限界であったが、現在は4本の矢を連続で射る事ができる様になっている。

まぁ…

1の矢程に引き絞れないため、次矢からは1の矢ほどの威力は無いのであるが…

矢は次々と潜んでいた虎を襲う。

【グガァァァァッ】

いきなり襲われた虎が驚き、怒りの雄叫びを上げる。

結構な迫力である。

矢が放たれた方向にてダリルが潜んでいる場所を察する虎。

その虎へと放った矢だが…

1の矢は虎の頬へ。

2の矢は耳を貫き、3の矢は毛皮に弾かれていた。

4の矢は胸元へと吸い込まれ、突き立っている。

甚大では無いがダメージは与えられている様である。

故に虎の初動が遅れ気味となった。

その隙に、ダリルはコンジットボウを投げ捨て槍を掴むと泉前の広場へと飛び出す。

走りながら槍の晶紋を擦る。

決まった手順にて晶紋を擦る事により正しく晶武具を起動する事ができるのである。

以前は手に取るだけで起動したのだが、今回は正しい手順にて起動する。

そして起動した槍を早く構えて虎を待ち構えるのだった。

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