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狩り人20

村へ帰り2日の日が過ぎ去る。

師匠であるゼパイルは未だに戻らない。

少々心配になり始めたダリルであった。

なにせ遠征しても何時もならば帰る頃。

そして遠征するならば、深山より奥となるであろう。

つい最近に今まで余り現れなかった餓狼に襲われたばかりだ。

狼には出会った事は多々ある。

だが狩人相手であると己自身も無傷では済まない。

故に、余程飢えていなければ狩人を襲って来る事はないのだ。

しかも村里近くに現れている。

この様な事は今まで無かったと言えよう。

ましてや猟師小屋を襲ってくるなど、初耳と言って良い。

まさに異常事態である。

そんな中、長らく村を出て調査に向かっているのだ。

心配しない方がおかしいであろう。

村長も気に掛け、捜索隊の編成を検討し始めていた。

そんな中、漸くゼパイルが帰村した。

村一番の狩人であるゼパイル。

彼を失う事は村にとっても損失である。

女、子供には絶大と言える程に忌避されているゼパイルであるが、男衆からは信頼と人気は高い。

面倒見が良く気っ風も良い。

若頭的存在とでも言えば良いだろうか。

数ヶ月に一度、村の交易品を携えて町へ向かう事がある。

その際にはゼパイルと村の若い衆も同行。

荷を積んだ荷馬車と共に町へと向かう。

ダリルも数回ほど同行した事もある。

その際、ゼパイルは若い衆と共に夜の闇へと消える。

歓楽街へと繰り出している様だが…

「お前にゃぁ、まだ早ぇっ」

っと言って置いて行かれる。

いや…

酒はダリルもイケル口。

っと言う事は…

追求しないが華であろう。

そんなゼパイルであるため、若い衆からは…

逆に年頃のオナゴ衆からは、若い衆と不潔となり…

うん。

自業自得と言うのか…

ご愁傷様である。

故に若い衆はゼパイルの帰村を心から喜んでいる。

そんな若い衆の1人からゼパイルの帰村を聞き付けたダリル。

村長宅へゼパイルが向かったと聞き、直ぐに村長宅へと向かう。

村長宅にてノッカーにて来訪を伝える。

お手伝いのリッカが現れる。

貴族の館ならばメイドと言った所か。

本来はメイド服にカチューシャのいでたちであろうが、此処は田舎村領主の村長宅。

所詮は騎士爵の邸宅である。

リッカも村娘。

自宅からの通いの手伝いである。

花嫁修行、所謂、行儀見習いと言うやつだろうか。

とは言え、そんなに堅苦しいモノではない。

故に私服でのお手伝いとなる。

気楽な感じで家事手伝いを行っているのだ。

そんなリッカ故に…

「あら、ダリル君。

 ああ…

 ゼパイルさんね。

 村長と会ってるわよ」

気安く告げてくる。

貴族館のメイドでは考えられない所行である。

まぁ…

ダリルも貴族の館などを訪れた事など無い。

故にリッカの立ち居振る舞いへの違和感など、感じる事はなかった。

故に気楽に応じる。

「そうか。

 なら、上がらせて貰うか」

軽く告げ、中へと入る。

村長もダリルの師である。

故に村長宅へは気楽に訪れているダリル。

何時もの様に、気安く家へと入って行く。

勝手知ったる他人の家っと言った感じで、村長の部屋へと向かうダリル。

リッカや他のお手伝いもダリルを止めない。

最早、何時もの風景であった。

そして村長の部屋へ。

寝室ではなく執務室である。

戸口にてノックを。

「誰じゃ?」

困った様な声で応え(イラエ)が。

(はて?

 何かあったのか?)

訝しく思いながらダリルが告げる。

「ダリルです。

 ゼパイル師匠が帰村したと聞き来ました。

 師匠が帰村したら伺う様に申しつかっていたのですが…」

此方も困った様に。

どうやら予め、村長より来る様に申し付けられていた様だ。

「おお、ダリルであったかっ!

 入るが良い!」

声の質が変わる。

訝しく思いながら応じて室内へと。

そこには村長と村長の息子、村の幹部にゼパイルが揃っていた。

久し振りに見るゼパイルはヤツレていた。

大分消耗している様だ。

「師匠!

 大丈夫ですかっ!」

こんなゼパイルを見るのは初めてである。

「うむ。

 大事はない。

 少々疲れておるだけだ」

少々とは言うが、ヤツレる程に消耗するのは大概の事と言えよう。

「何があったのです?」

異常を察知し調査に向かったゼパイル。

そのゼパイルが単純な調査でヤツレる程に消耗するとは思えなかった。

「獣竜だ」

「はぁ?」

一瞬、何を言われたのか理解が…

「深山の向こうだが…

 獣竜が現れている。

 この村へ向かうルートで進んでいる。

 この侭では危険だ」

爆弾発言が飛び出すのであった。

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