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狩り人02

翌日。

起きたダリルは雪に埋めた鍋を掘り出す。

食べ終えた後に鍋の下半分を雪に埋め、鍋の中を凍らせて雪に埋めた物だ。

それを火に掛け溶かし煮立たせる。

朝飯として、それを胃の腑へと収めたダリル。

暫しの食休みを得た後、暖かい穴蔵を後にする。

今日は弓矢を持参しない様である。

実は樹液の回収に向かうのだ。

この山には様々な木々が存在する。

そして樹液から特殊な効果を得られる物も多々存在するのである。

その1つがメルスの樹液でなのだ。

冬の終わり。

この時期にメルス樹より得られる樹液は糖度が高く甘味として持て囃される嗜好品となる。

しかし、それを得るには冬の深山へと分け入り、更にメルス樹を目利きする必要がある。

メルス樹と似た木にザルトとギュルムと言う木々があるからだ。

これらから得られる樹液には毒性があり中毒症状が現れるとの事。

甘味もあり、一見見分けが付かないだけに質が悪いと言えよう。

木々の間の雪には未だに溶けずに雪深い場所もある。

そんな場所を苦労子ながら分け入る。

そしてメルス樹の元へと。

狩場へと辿り着いた次の日に設置した瓢箪。

その瓢箪へメルスの樹液が滴り落ち満ちていた。

その瓢箪を回収し、傷付けたメルス樹の傷跡へ村から持って来た補修材を塗り込む。

樹液を得た木が無駄に傷まなくする為の処置であった。

その様にしながら、他のメルス樹に設置した瓢箪も回収していく。

次はガソラ樹に設置した瓢箪の回収だ。

此方は可燃性の高い油分を含んだ樹液であり、灯火油として珍重される代物なのだ。

ただ年中採取可能であり、メルス樹液よりも価値は低いと言えよう。

とは言え、あくまでもメルス樹液に比べたらの話である。

ガソラ樹液も深山へ赴かねば得られない代物であり、しかも需要は高い。

それを回収し終えたダリルは、最後に瓢箪を設置した木へと赴く。

ラマユラ樹。

此方も油分を含む樹液である。

但し灯火油では無い。

食用油の方だ。

そしてタダの食用油でも無い。

何故かラマユラ樹から採取できる油は辛いのである。

調理油としても用意られるが、野菜などに掛ける調味料としても用途がある樹液なのだ。

此方も需要が高い代物だ。

しかも深山にのみ生える木でもある。

ただガソラ樹液とラマユラ樹液は通常、メルス樹液ほどに高値で売れる物では無い。

ただ冬期は別だ。

雪深い深山へ分け入るのは素人では無理。

故に冬期、特に冬が明ける今の時期には自然と品不足となる 訳で…

今の時期には高値で取引される事となるのであった。

全ての瓢箪を回収し穴蔵へと戻る事にするダリル。

全ての瓢箪には栓が刺され、それを腰帯へと下げている。

鈴生りといった感じか。

非常に歩き難そうである。

唯一の救いとして帰りの道は、来る時に雪を掻いて進んだ道を逆に辿る事であろうか。

穴蔵へと辿り着いたダリル。

帰村する為の準備を始める。

毛皮や燻した肉、瓢箪をソリへと積み込む。

冬期の移動は、このソリがある為に多少は楽と言えよう。

荷をソリへと積み込み縄にて荷を固定する。

それが終わると、雪に埋めて凍らせた臓物入りのパン粥を掘り出した。

それを火に掛け溶かし煮やす。

程良く煮立った所で椀へと注ぐ。

雪を掻き分け移動という重労働をこなした身には滋味が染み渡る様である。

残りは明日の朝食す事とし、今日は早めに床へと横たわる事にする。

その前に一度脱いだ防寒具を再度纏う。

火が絶えぬ様に気を付けはするが、誤って火が絶えた場合には命に関わる為だ。

そして寝床様に持参した毛皮に横たわり毛布を被る。

そして浅い眠りへと落ちるのであった。

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