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狩り人169

ダリルとしてもロゼッタの提案に魅力を感じぬモノでは無い。

この地へと永住するつもりなどは更々ない。

それでも宿屋暮らしと言うモノは結構不便なモノ。


荷を安全に保管すると言う意味では宿暮らしでは無理であろう。

部屋を借り受けるっと言う場合も信頼できる大家と確信できてである。

実際に現代日本に於いてマンションの大家がワンルームマンションに合鍵にて侵入し空き巣を行ったケースもある。

このケースの場合、住人が防犯カメラを独自に設置して撮影した事で事が露見。

ニュースにて放映される騒ぎににもなっている。


現代日本に於いても、この体たらくであるならば…ダリル達が住まう世界では安心できよう筈もない。


ではロゼッタの住まう一軒家ならば安心なのか?っと問われれば…此方も保障の限りでは無い。

だが共に住まう者となれば、流石に迂闊な事は行えまい。

また女1人にて住まう住居であれば、それなりの備えもあると考えても良いであろう。


何よりも宿暮らしで日々発生する宿代と言うモノは存外無視できぬモノで…その点が改善できると言うのも大きいであろう。

またロゼッタが鍛冶師であり、ダリル達が装備する品のメンテナンスが頼めると言う点も大きいと言える。

装備品をメンテナンスする為に鍛冶工房を訪れるのは当たり前であるが…泊まる宿屋と鍛冶工房が近いと言う事は無い。

それは当たり前であろう。

鍛冶工房などは騒音を発する施設と言って良く、安眠を提供すべき宿屋にとっては距離を置きたい存在なのだから…


この点、ロゼッタは狩りにも同行し鍛冶にはダリルも付き合うと言うサイクルを鑑みれば、彼女の鍛冶仕事にて安眠が妨げられる恐れもあるまい。

それに一軒家と言う事を考えるならば食事は自炊となろう。

外食と言うのは金が掛かるモノであり、出来うるならば自炊で済ませたいのが本音だろう。


この様に様々な要因が相俟(アイマ)りロゼッタの提案に心が動いているのではあるが…問題は…


(う~むぅ…女所帯に男1人とは…良い、のか?)っと。


そんな事を考えるダリルへハゲルが告げる。

「おおぅ…女性に囲まれた生活けぇぃ。

 羨ましいねぇぃ」

顎鬚を扱きつつニヤケ顔で冷やかす。


そんなハゲルを一瞥したダリルがハゲルへと言い放つ。

「そうか…ならば旦那も一緒に住むかね?」


ダリルから意外な反撃を受けハゲルが肩を竦め告げる。

「いやぁよぉぃ、有り難い提案だがねぇぃ…生憎、おりゃぁ此処から離れらんねぇぃかんねぇぃ」

残念そうに告げつつ躱す。

流石、年の功っと言った所であろうか?


そんな話をしつつ、結局はロゼッタの提案に乗る事となった様である。

まぁ、このメンバーで容易く間違いも起こるとも思えぬので良いとした…良いのか?まぁ…良いのであろう、キッと。


ハゲルの部屋でロゼッタと引き合わされた後も暫し歓談しギルドを去る事に。

流石に今日の今日でロゼッタ宅へと転がり込む訳にも行かぬ。

本日の宿は既に確保しており、流石に当日にてキャンセルも侭なるまい。


故に今日は何時もの宿へと戻る事と。

ギルド前にてロゼッタと別れ、明日の朝にロゼッタが宿へ迎えに来る段となった様である。


ダリル達は街に来てからの常宿たる【モスリ肉の特盛り亭】へと向かう。

あの宿には多くのハンター達が常宿としており知り合いも随分増えている。

決して治安の良い場所とは言い切れぬ地であるため油断は出来ぬが…兎に角、料理が美味い。

この1点だけでも泊まる価値はあり、しかもベテランハンター達の常宿にて食事へ通うハンターも多いためハンター達のサロンっと言う側面もある。

下手をしたらハンターギルドよりも此処の方が得難い情報を得る事が出来たりする為に侮れない場所とも言えるであろう。


そんな【モスリ肉の特盛り亭】へと辿り着き何時もの大部屋へと収まる一行。

見習いや序級、初級などのハンタークラスである者達が個室をとるケースは珍しい。

パーティを組んでいる場合は男女混合でも1部屋で寝起きするものだ。


無論、女性に気遣う為の専用スペースが宿にて用意されており、その場所は男性立ち入り禁止となっている。

男共には部屋にて何がなされているかは伺えないが…男に知られたく無い身支度などが成されていると思われる。


故に部屋は完全に寝起きするだけの場所であり、他の用途に使用する事は禁止とされているのであった。


まぁ…時には不届き者も現れる事もあるが…強烈な制裁がなされ宿から放り出され役人へ連行される事と…

ナニが切り落とされ、袋も消え去り…男とは機能しなくなった者も居るのだとか…

そんな話は当たり前とされており、不届きな所行を行おうとする者は絶えて久しいと言える。


そんな場である為、同室の寝起きであっても同居や同棲などと言った意識はダリルには無かった様である。

まぁ…周りからは違う目で見られていたが…知らぬが仏、英雄、勇者、色を…っと。


そんなダリル達は何時もの様に食事に舌鼓を打ちつつ食事を終えた後、女将へ明日から拠点を映す事を伝える。


「おやぁ~、また長期ハントかねぇ~」っと朗らかに告げる女将へダリルが説明。

困った顔で女将が「そうかい…」っと残念そうに告げるのが印象的であった。

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