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狩り人168

「そもそ晶武具遣いてぇのはさっ、貴族様方に召抱えられてんのさね。

 そんな輩てぇのは、エラク、プライドってのが高くてねぇ…

 此処いら辺では名の知れて無いアタイの依頼なんざぁ聞いてもくんないんだよねぇ。

 しかも、晶武具遣いの情報なんてぇのは普通は秘匿されててねぇ。

 此処の領主館に仕える遣い手以外の情報も皆無だわさ。

 そんな関係で、出来上がった晶武具の被験者なんてぇのを見繕うのも大変でねぇ」


困った様に告げるロゼッタ…いや、実際に困っているのであろう。

ダリル自体、獣竜討伐時に初めて村の者に晶武具遣いが居た事を知ったと言う体たらくであったのである。

なので晶武具遣いを見付け出す事自体が容易い事では無い事が分かると言うもの。

そんな状態で市井(しせい)に晶武具遣いが居るとなれば交渉に来ようと言うものであろう。


その話を聞き、暫し腕を組み思案に耽るダリル。

そして…「それはハントにて晶武具を試す…そう言う事で良いのか」っと確認を。


「う~ん…それも良いんだけどさ。

 出来たら鍛冶場で扱って貰いたいんだけどねぇ」

困惑した様に。


「いや…そうなると、俺達がハンターとして活動するのに影響がな。

 俺はハンターであり、鍛冶師補佐的な者へ成るつもりなどは無いのだ」

渋い顔で告げるダリルへとロゼッタが頬を掻きながら言い訳を。


「いやねぇ、アタイもハンター家業を廃業してまで助力願うつもりは無いわさ。

 ハントは今迄通りに続けて貰って構わないんだけど…出来たらアタイも同行して晶武具の出来を見たいからねぇ。

 ただ…(タマ)には鍛冶場で晶武具造りを手伝って貰えれば助かるんだけど…ダメかねぇ?」

(スガ)る様に告げるロゼッタを見遣りながら悩むダリル。


「俺達は拠点を持って無いから連絡も侭ならんぞ。

 それに…何れは南方へと出向くつもりなのだ。

 少なくとも俺はな。

 故に、何時までも付き合う事などは出来ないのだが?」


そうダリルが告げると…


「南方?それは逆に好都合さねぇ。

 アタイも何れは南方へと赴く予定だったからねぇ。

 彼方では此方よりも晶武具に対する技術てぇのが進んでいるって話さね。

 だから何れは南方へと向かう予定だったんだけど…肝心の晶武具遣いの当てが困りモノだったんだよ。

 アンタが南方へと赴くってぇんならさぁ、アタイも同行させて欲しいねぇ。

 それと…」

少し言い澱むロゼッタを訝しく見るダリルへ続けて彼女が告げる。

「アタイは街外れに鍛冶場兼自宅を借り受けてんのさね。

 部屋は十分に余ってんだよ、だからさぁ…アンタ達が良ければ、アタイん()に住まないかい?」っと。


そんな提案を()されたダリルは困惑顔で応える事に…

「あのな、ロゼッタ…俺は、こう見えても男なのだが?」っと。


そんなダリルを見てロゼッタがニヤリっとして告げる。

「へぇ~っ、アンタさぁ…こんな筋肉女にも食指が動くのかい」っと。


そんな軽口を叩くロゼッタへダリルが肩を竦めて告げる。

「アンタが自分を、どう評価しているかは知らん。

 だがな、俺から見たアンタの容姿は十分に女らしいと言えるぞ。

 だから不用意に己の住処へ男を分け入らせるのは如何かと思うのだがな?」


ダリルが告げると同時に…

「私も、そう思いますわ。

 殿方を無為に住まいへと招き…ましてや、ど、同居など…トンでも無い事ですわっ!」

ファマルが必死に告げ…カリンも首を何度も何度も縦に振る。


そんな2人の様子をガンレートが呆れて見、シムエルが生暖かい目で見ていたりする。

ハゲルは、様相を顎鬚を扱きながら楽しんでいるのだった。


そんな一同の反応にロゼッタが戸惑いながら告げる。

「い、いや…アタイはアンタら全員へ言ってんだけどさぁ…流石に男1人を自宅へ招くのはねぇ。

 別にアタイはダリルが好みって訳でも無いしねぇ。

 アタイはモット渋い中年辺りが好みさね」っと告げ肩を竦める。

ついでに…ファマルをニヤリっと笑いながら見たのは余談であろうが…


途端に顔が真っ赤と変わるファマル。

そんな彼女に気付いたダリルが不思議そうに首を傾げていたのはご愛嬌か?


そんな空気を躱す様にファマルが告げる。

「そ、そそそそ、そう言えば…今も宿暮らしとは言え、同じ宿で寝起きしている訳ですし…

 同じ部屋で無ければ、今と変わらないかも…」

そんな事を告げてはいるが…(ダリルと同居!?どうしましょっ!)などと内心では思っていたり。


そんなファマルの思惑には気付かないダリルではあるが…

「いや、流石に宿暮らしと一軒屋にて同居は違うと思うのだが?」っと困惑顔である。


だが、シムエルがファマルを援護する様に告げる。

「ですけど…宿暮らしよりは宿泊費は浮くのでは?

 拠点として荷を置かせて頂けるだけでも十分なメリットと思われますし…

 同居させて頂ける場合は家賃は如何程なのでしょう?」

そう尋ねるシムエルへロゼッタが提示した家賃は格安と言って良いモノであった。


「ぬっ?それは…幾ら何でも安過ぎぬか?」っとダリルが不審げに尋ねる。

そんなダリルへロゼッタが笑いながら応える。

「嫌だねぇ、アタイがアタイの都合で招くんだよ。

 本来は只でも良いくらいさね。

 ま、流石に借りている家だからねぇ、只ってぇのは勘弁かねぇ。

 けど…別に下宿宿って訳でも無いからさぁ。

 但し、家事手伝いは遣って貰うわさ。

 ダリルには晶武具に関する手伝いは必須だけど…それが最低条件だけどねぇ」


再び、そう提示するロゼッタであった。

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