表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Eden ~黄昏の神話~  作者: Akuro
第一章 Return world
4/6

空はどこまでも遠く

眩しさを覚え、ゆっくりと瞳を開く。

先に広がるのは建物に挟まれて狭そうに青く染まる空。


「お前はいつも遠いな」


ゆっくりと手を伸ばす。


その時にやっと気付く。

手には重苦しい色をしたガードアーム(グローブ)がついている。

自分の異変にすかさず体中をまさぐる。


ザワザワと声が上がるので振り返るとそこには数人のPCがこちらを見ている。


「今いきなり現れなかった?」


「ログイン場所って一定じゃなかったっけ?」


「それ以前になんか様子おかしくないか?」


「あんな古臭いPCボディと防具今エディットできた?」


「チートキャラか?」


「通報した方がよくね?」


「もぅしたよ、Pixie(ピクシー) police(ポリス)すぐ来るって」


俺は、すかさず立ち上がり走り始める。

自分がここになにしにきたのか、なにをすればいぃのか、そんなこと自分でもわからないし、自分の状況すらもわからない。

だけど、状況がわからないからこそ捕まっては元も子もない。Pixie policeとは名前の通り、Pixie内を取り締まる警察である。Pixie policeはネットの話を聞く限り、親切に俺の状況を教えてくれるような奴等ではない。


「あ、逃げたよ?追う?」


「チートキャラに全うなキャラでは適わないよwww」


「でも、ちょっと楽しそうだね」


「追ってみようか?」


4人のPCは、路地裏に消え様とする俺を追い掛けてくる。チッと舌打ち。


「おーい、チートさーん?ハハハ」


「逃げないでよ~キャハハ」


「チッこれだから最近のガキ共は!!」


路地裏で、追い詰められた俺を見てウズウズする4人にイラつきすら覚えて睨みつける。


「う~、早くPixie policeこないかなぁ?」


「確かに!逮捕現場なんかそうそう観れないもんね

。写真とっちゃお」


「しかも、通報したの僕だし。なんか謝礼アイテムもらえるかも( ̄∀ ̄)」


「で、でも、寄ってたかってこれは悪い気が…」


「なぁに言ってんのさ、悪いのはコイツでしょ(゜Д゜)?www」


「おい。お前!黙ってないでなんか喋れよ」


「チッ。五月蠅いガキ共が」


俺は拳を向ける。


「なにやってんだ?コイツ」


「タウンでのバトル出来ないの知らないのかな?いつ時代の人間だよ」


「…もしかしてAI……じゃないよな?」


「Pixie police通報を取り止めろ」


「…やっぱ人か。っつか、取り止めろとか、無理でしょw」


「なら、悪いが蹴散らす。道を開けろ」


「ハハハッ。何言ってんのコイツ?勝手に通ればいいじゃねぇか」


一人の戦士の格好をした男PCが声を上げた時だった。ファンファンと音をたてて白と黒で塗り固められたPCが姿を現す。


「Pixie policeです」


「おっ!来た来た!」


「……この場にいるPC計5名を連行します」


「は?」


「サイアス、Gairu、ーワイスー、ステラ、Dezi=Kuro、以上の5名は大人しくアカウントを渡しなさい」


「ちょちょ、待て待て」


焦った様にアタフタする4人のPCの後ろからPixie policeを眺める俺。

テンパる時間もくれずにコトは次々と進んで行く。だけど、自分になにが起きているかなどをよそに、なんでこいつらまで捕まろうとしているかの方が俺は気にがかっていた。


「バトルモードがここで展開されている。これは異常である。よって5名のPCを解体してエデンへと帰す」


エデンへと帰す……か。


元々の設定と言うのも、エデンと言う楽園があった。そこから産まれたこの世界の人々は、やがてこの楽園を奪い合う様になった。いつしか、楽園を求める人々は目の前にある幸せを忘れ、混沌とした世界を作り出した。


これがPixieと一つになるまでの話だ。今のエデンは、そのシナリオの延長線上にあるのかもしれない。

エデンに帰すってのもそのシナリオに基づいてなのかもしれないな。


「待て待て待て待て!なんで俺達まで!」


「通報したのは僕たちですよ?」


「しかし、この現場は異常も異常である。システムの中で異常を起こし、更にシステムを上書きしている。よって、君達のPCも十分排除対象のチートPCになっている。潔くそのPCのアカウントを渡しなさい」


「わ、渡せと言われたって…壊されるのわかってて渡せないわよ」


「勘違いするな。無理矢理拘束して取り調べすることも出来るんだぞ。それに、帰すとは言ったが異常を取り除き、まったくの無害と分かればPCもそのまま返すつもりだ」


4人が互いに顔を見合わせて、考え込んでいるのがわかった。完璧にアイツ等は罰が当たったな。

Pixie policeに取り上げられたPCが綺麗な顔して戻ってくるはずがないだろう。

結局は、ハッカーが流したバグに感染したチートPCになっていた。っで、全部廃棄だろうな。


「ホントに異常がなかったら返してくれるんですね(^∪^;)??」


「僕達、Pixieのキャラもこのままだから消されたくないんですが…」


「おいおい?お前等4人。Pixie policeにPC預けて帰ってくるわけないだろ?普通に考えろガキが。解析なんかせずに皆、データのゴミ溜めにポイだ。消されるんだよ」


お節介のつもりもなく、ただ思慮薄いコイツ等が苛立った。


「Dezi=Kuro、私語は慎め。お前の勝手な想像で大人しく投降しようとしている人間を惑わすな」


「テメェ等がそれを言うなよな。惑わすな?お前等Pixieはそう言って以前のエデンユーザーからキャラを取り上げて破棄しやがったんじゃねぇか」


拳を握る。ガードアームが、ギュギュと皮手袋で拳を握った時の音を出す。


「バカな奴め。今の言動で、この仕業はお前だと断定できたわけだ。旧エデンユーザー?Pixieには幅広い年齢層がいるんだ。そんなクズ共がこのPixieを歩いていたら危ないだろぅ?」


「......名前だけは聞いといてやる。名乗れよ、Pixieのワンコ隊長さんよ」



そう呼ばれたPixie policeはギロリッと睨んだ。それをハンッと鼻で笑い、指で喧嘩を誘う。


「お前等は他4人を捕獲、連行転送を行え。私は、あのふざけたPCを解体する」


「お、お、お、おい!お前のせいだぞ!!どうすんだよ!?」


GairuとかかれたPCが罵声を飛ばすのを睨むと俺はそいつにも鼻で笑う。


「バカじゃねぇのか?自分がまいた種だろうが」


「な、なに!?」


「うるせぇ!何じゃねーだろぅが!責任も無く余計な事しやがったのはお前等だろ。ここにいるお前等全員相手してやってもいいんだぜ?…黙って隠れてるか戦うかしてみたらどうだ?口だけのバカ野郎なんだからよ」


罵声を飛ばし口を紡いでバトルに集中する。そして、その瞬間違和感を感じる。まるで生身の人間がこの世界に入り込んだ錯覚。

そんなわけのわからないことが起こっているのに、なんだか昔から知っている様なその感覚に混乱する。


――俺は今どこにいる?


「いくぞ、クソチートPC」


俺の問いはやはり解決されることはなくて。

ただ耳障りなノイズの様な声が俺の思考を止めた。


ワンコの手から光が走り、大剣が生成される。


「ベルセルク…新世界のジョブだな。犬ッコロのくせに大層な武器を担いでるじゃねぇか」


「そこまでコケにしてただで済むと思うなよ!!我が名はオディ・ロウ!!貴様のPCを破壊する名だ!!」


「犬のくせに名前まで大層なこった」


俺が拳を握ると、ロウは大剣を振りかざす。


「遅い…なにしてんだお前」


ロウの大剣が空を裂く。

全く的外れに剣を振るロウにDezi=Kuroの拳が突き出される。しかし、耳元で囁かれた言葉にロウはすかさす大剣の腹で身を守る。


Dezi=Kuroは口笛を吹いてみせる。


「ヒュゥ。まぁ、これくらい反応できなくちゃな」


「クッ。……なんだ貴様の動きは」


「さぁな。とりあえずわかった。お前は俺には勝てない」


……どうなってやがんだ。このPC。

昔よりも動きも感度もあがってやがる。

それに......本当にこの世界にいるみてぇな......。


「ふざけるな……ふざけるなぁ!!なにが勝てないだ!旧時代の古守護者が!」


思考を巡らせている中、大きく吠えるロウを睨む。

吠えやがって馬鹿が。


「喋るな、時間の無駄だ」


素早く間を詰めるDezi=Kuroの手が、隙だらけのロウの顔を掴み力一杯に地面に叩き付ける。


「大体、バトルフィールドが展開されてお前等も武器を出した時点で同類だろうが。例え、連行する為にPixie policeには許されている行為だとしても、無抵抗の相手攻撃するのに正義なんかありゃしないだろ」


ロウは動かずに身体が白く変わっていく。きっとプレイヤー画面も真っ暗になって、sound(サウンド) only(オンリー)となっていることだろう。旧エデンならそのままログイン画面に落とされるのだが、今はPTプレイなので回復してもらえばまた動き出すはずだ。


「た、隊長が…い、一撃!?」


「お前等のリーダーは落ちた。回復するならそいつも落とす」


「クッ、隊長」


Dezi=Kuroの一言にも負けじと一人のヒーラーが杖を掲げる。


「勇敢だが、甘い。旧時代のウィッチ&ウィザードはもっと素早く的確に回復戦闘をこなしてたぞ」


あまりに遅かった。がら空きだった。一撃がそのヒーラーの腹部にねじ込まれる。


きっと、彼等の実戦も少なくはないのだろう。


されど、エデンでのDezi=Kuroの戦闘回数には遠く及ばない。


「さぁ?どうする?」


「く、か、かかれ!!全員であのPCを落とすんだ!」


残ったPixie policeは計三名。

そのpoliceにサイアスが近づいて行く。


「Pixie policeさん!?異常なのはあのPCとわかった以上、僕達は貴方達の味方です!」


「サイアス?」


「ここで、アイツの味方だと思われると結局PC破棄されかねない!いいですか?ステラ?こんな時に酷いんじゃない?などと戯言を言わないでくださいね」


「な!」


「クククッ七人か。来いよクズデータにしてやるよ」


「サイアス、本当に大丈夫なのか?チートPCにかなわないって言ったのはお前だぞ!」


「見た感じ、あの人普通にゲームしてるみたいだよ…しかも、旧時代のゲームシステムみたいだ。MPの概念がないみたいだからね」


「じゃぁ、勝てないじゃない!MPないとか魔法撃ち放題ってことよ!?」


「MPがないってことは魔法が使えないってことなんだよ。攻め続ければアイツは落ちる」


「いい見解だ!だから昔は、PT制度が無くとも攻撃に入るキャラはウィッチかウィザードと契約してフィールドを歩いたんだ」


サイアスがニヤリと笑みを浮かべるのが画面の向こう側にわかった。

しかし…


「しかし、浅はかだな。サイアスとやら」


「なんですって?」


「その作戦は、俺にダメージを与えられる奴がいれば…の話だろ?」


俺の拳がサイアスを吹き飛ばす。

七人の真ん中をぶち抜いたことには、他六名は気付かない。

やっと気づいた刹那、GairuとーワイスーへとDezi=Kuroの足が飛ぶ。


「ハハハハハッ。誰を敵に回したかもわからずに軽口を叩くからだ。さて、Pixie police?コイツ等の片付けは終わったわけだが?まだやるかい?」


「く!俺達がここで引くと思ってるのか!?」


「じゃぁ、仕方ないな」


Dezi=Kuroの身体はふわりとジャンプする。

もはや身構える隙など与えない。

一瞬のうちに倒れていく数名のPCが白く変わっていく。動くだけで凶器、そんな称号が似合うだろうDezi=Kuro。


彼の瞳には、今、何が見えているのか。


「ここに転がるPC共の安否を調べる事と、もっと増援を呼ぶべきなのじゃないか?」


一人だけ残したpoliceへと見せたその笑みは、プレイヤーにどう写っているのか。


「さて、この一般プレイヤー…ステラ…か。policeよ。このPCは預かっていく。画面先に人間がいるかわからないが。今、この空間が旧ゲームシステムと同じになっているならログアウトは戦闘中に出来ない。俺を追ってきて見ろ?このPCは保証しない」


「くっ!今こんなに、キルしたのにそのPCだけキルせず連れて行った所で保証もなにもないではないか!するのであれば私と一緒に今しろ!」


「一緒にと言うのはいかんだろ。いいか?俺がなにも考えなくこれをしたと思うか?この子を見捨てて見ろ?Pixie policeの評価は地に落ちるぞ?」


「なっ!貴様!」


「いぃな?お前達は既に、無実のこいつ等からPCを取り上げ破壊しようとした」


「一体なにが狙いなんだ!?」


「更につけ加えようか?その無実な一般人を戦いに巻き込んでしまったあげく、守れなかった。一体何のためのPixie policeなのかね?さて、わかっただろ?そこを通して貰おうか?」


俺は、ステラを掴み抱えるとpoliceの横を素通りしていく。

その通り過ぎる中で、更にソイツに耳打ちをする。


「そして、お前等は正義をかざして吠えていたが.....果たして、この状況で武器を出していたお前等はチートPCになっていなかった!と言えるのかな?」


Dezi=Kuroは、ステラを抱えてタウンを走り抜ける。

フィールドへ抜ける為のゲートを目指して。


ゲートとは、この世界の全てへ繋がる扉。

その扉は幾つかの世界(エリア)……手っ取り早く言うと町や国に分かれて繋がっていて、そこから幾千、幾万と言うフィールドが更に分断される。

フィールドはレベルや称号など、幾つかの条件で手に入れることが出来、クエスト屋と言う店の依頼を達成させても手に入れることができる。フィールド数字が高いほどレベルに比例するわけだが、レアフィールドもあればレベルだけ高くて対して何か旨みのあるわけでもないカスフィールドもある。

PTを組んでいる場合は、そのPTのプレイヤーが所持しているフィールドを選んでフィールドに入ることが出来る。つまり、PTを組めばそれぞれプレイヤー達が所持しているフィールドを、PTを組んでいる時に限り共有出来ると言うことだ。

旧時代システムはPT制度が無かった為、勝手にクエストに行き、勝手にフィールドを勝ち取ってくるしかなかった。

こんな時に、ウィッチ&ウィザードを連れてフィールドに行くわけだ。

ウィザード達もフィールドを手に入れられるし、俺達は戦闘中助かる。

仲間内で同じフィールドに行こうとして、俺だけ持ってなかったなんて事も、仲間が持ってないから手伝って取りに行ったなんて事も今ではいぃ思い出だ。


旧エデンでの設定は…確か………そぅ、混沌の世界を作り出した人間達を見放した神が、神の世界へ人が入って来れぬようにと作った扉だった。


神は昔、人を作り、エデンを与えた。その時に神が通り現れたのがこの扉だった。


つまり、神の世界へと繋がる扉。


神は、神の世界とエデンに繋がるエリアを見つけられない様に、幾つものエリアとフィールドに分けてそれ等を隠した。



このゲーム:The last of Paradiseの元々の目的は、そのエリア、フィールドを見つけ出すことだった。


今の設定がどうなのかはわからないけど…。

結果的には人が他の世界…つまり、フィールドやエリアに入ってしまった事で、他の世界も混沌と化したってわけだ。


今考えて見れば、本当にそんなエリアやフィールドがあるのかすらわからないし、プレイヤーがそこに入れたとしたらどうなるのかってのもわならない。

ネットゲームの設定だからな。それがあったらゲーム運営も終わっちまうし、ないのかもしれない。


―「そこがナグナレクだよ。神々の運命と呼ばれるエリア」


…ナグナレク。

……神々の運命。


でも、あの時代、あの時の俺達は……。


「あの、私はどうなるんでしょぅ?」


パッと昔の会話を思い出す中、俺は素っ気なく返した。


「あるフィールドに連れて行く。そしたら、解放してやるよ」


「あるフィールド?」


「あ…。俺のはPT(パーティー)組めない仕様なのか…お前連れていけねぇじゃねぇか…チッ、仕方ないゲートで…」


「あの?な、なんてフィールドですか?」


「あ?なんで?」


「わ、私がPTR(パーティーリーダー)になればアナタを連れて私も一緒に行けるのでは?」


走り抜けていたエリアの真ん中で急ブレーキをかける。

ステラとか言うPCを放る様に降ろすと、ステラは俺のPCをぼんやりと眺めた。


「…お前なにが目的だ?」


「わ、私はフィールド収集が趣味で……えと、アナタの行くフィールドに興味があるの。チ、チートPC使って行くくらいなら…レアフィールドなんじゃないかな?って…エヘヘ」


なにか……企んでいやがるのか?

まぁ、だが……何でもいいか。さっきの感じからして、Pixie policeの奴等でも取り締まれないくらいなんだ。訳わからないが俺は今特別みたいだからな。

例え何かあってもフィールドでキルして終わりだ。


「……妙な事をしたら即キルするからな。それと、俺が今から行く所やする事も安全を確保できない。それでもついて来るんだな?」


何も考えていないのか、ステラはただ頷く。

俺はそれを横目に、ゲートがある大聖堂の扉を開いた。

大聖堂はステンドグラスや蝋燭など、何処かの国の教会などを思わせるグラフィックで作られていて、広い通路は様々なPCがガヤガヤと話をしながらいつも行き交っている。

このエリア「混沌浮世都(こんとんうきよと)」のタウンに出ていく者、エリアからフィールドに出ていく者。様々だ。

広い通路を抜けると大きなホールに出る。

そのホールの真ん中に佇む重っ苦しい扉。

その周りにPCが他のエリアやフィールドに赴く為に群がっている。フィールドやエリアを選んでは光に包まれ消え、帰って来る度に光を纏って姿を現す。

俺とその後ろにくっついてくるステラはゲートに近付いて行く。


「エリアはここ、第一のエデン「混沌浮世都(こんとんうきよと)」でフィールド名は「誓いし絆の神域」だ」


不意に振り返った俺にビクりとした後に、ステラは小さく零した。


「聞いたことないフィールド…」


ゲート前に立つとステラはステータス画面を動かしてすぐに、ポーンと頭にPTマークがつく。

すぐに、俺もステータスを開くとPTのステータスも見れるようになっている。


レベル18……。低いなコイツ。始めたばかりか?


「えぇ!?凄いフィールドの数……欄が4桁もある」


1人歓喜する異様な初心者を横目に、俺は答えが出ないであろう思考を回す。

自分が今この世界で、どんな存在になっているかはわからない。だけど、何が起きるかもわならないこの身体で負ける訳にはいかないし、捕らわれるわけにもいかない。拳を強く握る。

でも、ステータスを開いたりは出来ている。意識がこの世界に集中しすぎているから感覚が狂ってる?錯覚している?

いや、自分で自分を動かすコントローラーを感じる?

……気持ち悪ぃ。


「では、い、行きますよ?」


「あぁ」


「あの…強いモンスターとかいませんよね?」


「いいから早くいけ。お前のレベルならどこ行っても即死だろぅが」


「……はぃ。…別にそんな言い方しなくても」


ゲートと呼ばれる大きな扉。その扉の前で、ステラはフィールド名を入力する。

ギィと大きな音を立ててその扉が開くと、自分のPCとステラのPCは光に包まれてフィールドへと消えていく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ