プロローグ
この度小説を投稿しようと思い立ちました、月岡と申します。
操作に不慣れでまだまだ未熟なわたしではありますが、読んで下さる皆様が少しでも楽しんで頂けたら幸いです。
とある世界では機械文明が著しく発達することはなかった。代わりとなる技術が既に確立し、全土を覆っていたからだ。
その技術は魔法と呼ばれ、科学が進歩した世界では機器を利用して火を扱うように、魔法を習得した者は魔力を使い、身一つで火をつける――。
立上統夜は大学生となった今でも、そんな世界の存在を願っていた。単に人類が気付いていないだけで、地球の常識では計り知れないような不思議がどこかにあることを。
彼は幼い頃から読書が好きだった。そのこと自体は別段、おかしなことでも何でもない。代り映えしない日々が突如として胸躍る冒険活劇に変わる、といったお話を読んでは目を輝かせ、自分にもこんなことが起こらないかと空想する。それは恐らく、誰にでも覚えのあることだろう。やがて時が過ぎ、自らの精神が成熟するにつれて幼い子供は現実と虚構の区別をつけ、一人、また一人とそのような幻想を笑い飛ばすようになっていくのだ。
だが、統夜は少し違った。
もちろん彼とて、魔法なんて馬鹿げた妄想だということは理解している。理解はしているがそれでも心の片隅では、あればいいのにと、あって欲しいと、あるはずだと、そう信じていた。
――そして。
彼は遂に、自分を非日常の世界へと誘う扉を見つけることとなる。
十九歳の夏、いつものように大学へと向かった、その道中で。
この物語は当然のことながらフィクションであり、登場する人物、および団体などの名称はすべて架空のものです。そこんとこヨロシク。