第二章 雨の森を往く
廃墟の境内を後にした瞬間、雨はまるで天が哭いているかのように激しさを増した。
ざんざんという激しい水音が木々の葉を叩き、地面を叩き、すべてを飲み込もうとするように降り注いでいた。
黒崎零はルリアを背負う形にしていた。
少女の細い両腕が零の首にしっかりと回され、濡れた銀髪が零の肩や首筋にべったりと張り付き、冷たい雨滴が零の肌を伝う。
ルリアの体は零の背中にぴったりと密着し、雨に完全に透けたドレス越しに、柔らかく膨らんだ胸の感触が直接押しつけられるように感じられた。
歩くたびにその柔肉が零の背中で形を変え、薄い布地越しに硬くなった小さな突起が、零の背中を優しく、しかし執拗に擦っていく。
ルリアの細い腰は零の左腕でしっかりと支えられ、右腕は鬼哭丸の柄を握ったまま、いつでも抜けるように構えていた。
「零……ごめんなさい……重い……よね……はぁ……っ」
ルリアの声は零の耳元で甘く震え、熱い吐息が雨の冷たさと混じって零の耳をくすぐった。
痛みで息が乱れ、時折小さな喘ぎのような吐息が漏れる。
零は低く答えた。
「黙ってろ。声を出せば追手に気づかれる。
傷が開くから、できるだけ体を預けていろ」
森は深く、木々が密集して視界をほとんど奪っていた。
足元は泥と落ち葉でぬかるみ、零の黒革旅靴がずぶずぶと沈むたび、冷たい水が靴の中に染み込んでくる。
雨が木の葉を叩く音、遠くで獣の遠吠えが響き、時折木々の間から聞こえる金属の擦れるような音が、零の神経を尖らせていた。
聖騎士団の残党がまだ追ってきている可能性は高かった。
零の黒い旅装束は雨と血で重く、羽織の表面にルリアの血が広がり、冷たい感触が肌にまとわりついていた。
背中のルリアの体温だけが、わずかな温もりとして伝わってくる。
彼女の太ももは零の腰の両側に跨がるように固定され、傷口から流れ落ちる血が零の腰や太ももをぬるぬると伝い落ち、雨に混じって艶やかな筋を作っていた。
歩くリズムに合わせて、ルリアの柔らかな胸が零の背中で揺れ、細い腰が零の腕の中で小刻みに震える。
零の視線は前方を鋭く見据えていたが、意識の片隅では背中の感触が常に気になっていた。
侍として守ると決めた少女。
しかしその身体は、あまりにも無防備で、痛々しくも魅力的すぎた。
透けたドレスは雨に打たれて完全に肌に張り付き、白い胸の丸み、細い腰のくびれ、滑らかな太もものラインをくっきりと晒している。
零は自分の鼓動が少し速くなっていることに気づき、静かに歯を食いしばった。
森を進むことおよそ一時間。
ようやく木々が少し開け、小さな岩壁に開いた洞窟を見つけた。
零はルリアをゆっくりと下ろし、鬼哭丸を傍らに立てかけた。
洞窟の中は比較的乾いており、入り口から少し奥に入れば雨の音が少し遠のいた。
「ここで休む。傷の手当てをしっかりするぞ」
ルリアは洞窟の岩壁に背を預け、浅い息を繰り返していた。
雨に濡れた銀髪が顔や胸に乱れ、紅い瞳がぼんやりと零を見つめている。
ドレスは完全に透け、ほぼ裸同然の状態で白い肌が洞窟の薄暗がりに艶やかに浮かび上がっていた。
柔らかな胸の膨らみが荒い呼吸で上下し、雨滴がまだ谷間を伝って滑り落ちる様子が、痛々しくも淫靡だった。
脇腹の傷は深く、血が止まらずに太ももの内側へと長く流れ続け、細い脚の白い肌を赤く染め、雨の雫と混じって光っていた。
零は刀袋から予備の布と油紙に包んだ砥石を取り出し、水筒の水で布を湿らせた。
「痛いだろうが、我慢しろ。魔族の傷は冷えると悪化しやすい」
ルリアは小さく頷いたが、零が近づくと体をわずかに強張らせた。
零の指がドレスの裂け目をさらに広げ、傷口を露わにする。
白い肌が大きく露出し、柔らかな胸の下部まで視界に入った。
傷の周囲は赤く腫れ、雨と血でぬるぬると光り、熱を帯びている。
零は布を傷口に優しく当て、血を拭い始めた。
ルリアの体がびくりと跳ね、甘く切ない声が漏れた。
「ん……っ! はぁ……痛……でも……零の指……温かい……」
その声は痛みと混じりながら、どこか甘く響き、洞窟の静けさを濃密に彩った。
零の指が白い肌に触れるたび、ルリアの細い腰が震え、柔らかな胸が軽く揺れる。
太ももの内側を伝う血の筋が、零の指先に絡みつき、ぬるりとした感触を残す。
零は自分の息が少し荒くなっていることに気づき、集中力を保とうと歯を食いしばった。
手当ては時間がかかった。
零は傷口を丁寧に洗い、布で圧迫しながら血を止めようとする。
ルリアの息はますます乱れ、痛みで体が小刻みに震えるたび、濡れたドレスが肌に擦れ、胸の形がはっきりと零の視線に映った。
「はぁ……っ、零……少し……優しく……お願い……」
ルリアの紅い瞳が潤み、長い睫毛にまだ雨粒が残っている。
零の指が傷の近くの敏感な肌を撫でるように動くたび、ルリアの太ももが内側に閉じようとして震え、血と雨の混じった雫がさらに流れ落ちる。
零は自分の黒い羽織を脱ぎ、ルリアの肩にかけた。
しかし雨で濡れたドレスはすでにほとんど意味をなさず、羽織の前が少し開くと、白い胸の膨らみと細い腰が露わになった。
零は自分の視線を必死に逸らそうとしたが、ルリアの体が自然と零の方に寄りかかってくる。
「零……なぜ……私を助けるの?
私は魔王の血を引く者……人間にとっては、敵のはずなのに……」
零は傷の手当てを続けながら、低く答えた。
「侍だからだ。
一度守ると決めたら、理由などいらん。
お前はまだ子供だ。こんな雨の中で、こんな姿で死なせるわけにはいかない。
それに……お前を見ていると、昔の俺の知り合いを思い出す」
ルリアの頰がわずかに赤らみ、紅い瞳が熱を帯びた。
彼女はゆっくりと体を寄せ、零の肩に頭を預けた。
濡れた銀髪が零の首筋に触れ、柔らかな胸が零の腕に軽く、しかし確実に押しつけられる。
その感触は柔らかく、熱く、雨の冷たさと対照的だった。
「ありがとう……本当に……零……」
洞窟の中に、二人の荒い息遣いと、外の激しい雨の音だけが響いていた。
零の胸に熱いものが込み上げ、侍の鉄の意志がわずかに揺らぐのを感じた。
守ると決めた少女の、この無防備で妖しい姿。
すべてが、零の心を強く揺さぶっていた。
手当てが一段落した頃、ルリアの体が少し落ち着いた。
しかし傷は深く、完全に塞がるには時間がかかるだろう。
零は洞窟の入り口近くに座り、鬼哭丸を膝に置いて外の気配を警戒した。
ルリアは壁に寄りかかったまま、零の横顔をじっと見つめていた。
「……零、あなたは本当に強い。
あの騎士たちを、あっという間に……
私、怖かった……でも、零の背中を見て、少し安心した……」
零は苦笑した。
「強いわけじゃない。ただ、剣を振るうことしかできないだけだ。
お前を守るためなら、何人でも斬る。
それが、俺の侍としての生き方だ」
ルリアの指が、零の袖を弱々しく掴んだ。
その指はまだ冷たく、しかし確かな熱を宿していた。
外では雨がまだ激しく降り続いている。
遠くで、再び金属の足音のようなものが聞こえた気がした。
零は鬼哭丸の柄に手をかけ、目を細めた。
「休む時間は短い。
すぐにまた動くぞ、ルリア。
お前を安全な場所まで連れて行く」
ルリアは小さく頷き、零の腕に体をより密着させた。
濡れた胸が零の腕に柔らかく押しつけられ、甘い吐息が零の耳元にかかる。
桜の花びらが、洞窟の外で雨に打たれながら、ゆっくりと舞い落ち続けていた。
二人の逃避行は、まだ始まったばかりだった。
そしてこの夜は、零とルリアの間に、静かで熱い何かが生まれ始めていた。




