「きくち」じゃねー! 彼奴の名前は「きちく」だぁー!
僕には尊敬できる友達がいる。
僕だけじゃ無く此の過疎化が進んでいた村に残っていた人たち皆に尊敬されている、天才科学者「菊池」君。
僕と菊池君との出会いは過疎化が進む前の遥か昔、80年近く前に村に1つだけあった幼稚園に入園した時。
その頃から菊池君は頭が凄く良くて、村の大人たちから天才幼稚園児って言われてた。
幼稚園、小学校、中学校まで僕たちは机を並べて勉学に励む。
励むって言っても天才の菊池君が唱える理論を、僕や一学年1クラスの約50人のクラスメイト全員が口をポカンと開けて聞いているだけだったけどね。
高校はもうクラスメイトの誰も菊池君に付いていけなくて、菊池君だけが県外の東大進学率No.1の私立高校に進学した。
菊池君はその高校から東大に進学し、その後は国の研究機関に就職する。
就職した頃には世界有数の天才って言われるようになってた。
そんな雲の上の人になっても菊池君は生まれ故郷の村を忘れず、休暇が取れると村に帰って来て羽根を伸ばし、僕のように過疎化が始まった村に残っていたクラスメイトと遊び歩いて日々を過ごす。
国の研究機関に就職して30年くらい経った頃からだったかな? 菊池君の理論に他の科学者たちが付いて行けなくなり、マッドサイエンティストって言われるようになったのは。
その頃菊池君は、チェルノブイリや福島の原発事故や核戦争が起こった時に被害を最低限にする為に、万が一事故や戦争で放射能が蔓延した時にその放射能を包む核の風呂敷包みの開発に没頭してた。
でもそんな物を作れる筈が無いと、各国の首脳を含む政府関係者や菊池君以外の科学者は笑い飛ばす。
笑い飛ばした奴等は菊池君を気狂い扱いして、国の研究機関から放逐した。
それでも菊池君はめげず、村に私設の研究所を造り研究を続ける。
そして今から20年程前に核の風呂敷包みを完成させた。
完成させたけど日本の政府関係者や科学者だけで無く、核保有国を含む世界の国々は信用せず笑い飛ばすだけ。
だから菊池君は核の風呂敷包みで村を覆ってから密かに造り上げていた、大陸間弾道核ミサイル搭載の無人潜水艦の核ミサイルのスイッチをポチって押したんだ。
その無人潜水艦の核ミサイルが引き金になって第三次世界大戦が勃発。
その所為でうちの村以外の地球は、放射能に覆われた世界に変わった。
その所為で「きくち」君は、うちの村以外で生き残った人たちに「きちく」野郎って呼ばれてるんだ。