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囲まれた!!!

作者: せいじ

 公園を散歩していた時です。


 いい天気の日に、緑豊かな公園をてくてく散歩するなんて優雅な時間のようだけど、実際はただ道をショートカットしようとしただけでした。


 まあ、いい気分だったのは事実でした。

 

 芝生で遊ぶ親子連れも居て、中々いい感じの公園です。


「ここでお弁当を広げたら、きっと美味しいかも」


 そんなことを思いながら、ふと屋台かキッチンカーでも来ていないかあたりを見回すも、そんな洒落たモノは来ていませんでした。


 コンビニでおにぎり、いや、ここはサンドイッチだろうと思いながら、てくてくと歩いていたその時でした。


 ふと、前を見たら保育園児か幼稚園児か分かりませんけど、とにかく小さな子供たちがわらわらと集団で歩いていました。


 いやあ、可愛いなあと思いましたが、不審者扱いされたくないのであえて見ないようにしました。


 まあ、小さな子供を見ているだけで、不審者になるかどうか分かりませんけど。


 すると、


「あ~っ!!!!!!!」


 突然、大きな声が聞こえました。

 

 何が起きたのか、驚いて声の出た方を見ると、先ほどのちびっ子集団の中のひとりの子供が、手を伸ばしてある方向を指差していました。


 何故か、私の方に。


 すると、こういったことは連鎖するのか、他のちびっ子まで同じように指を差してきました。


 奇声をあげながら。


 おまけに、私の方に向かって。


 一応、後ろを振り返って確認するも、特に何かあるはずもなく、それでももしかしたら見えないお友達でも居るのかなと思いました。


 林がうっそうとしていて、何か居そうな気もしないでもないからです。


 夜来たら、きっといい雰囲気だろうなあと思いますが。


 そんな感じの場所なので、もしかしたらトトロでも居るのかしらと、そう微笑ましく感じましたが、違いました。


 彼らは、私を見つけたのです。


 そう、見つかってしまったのです。


 何だか分からないけど、とにかく見つかったと、そうなるようです、。


 だから、何が?


 そんな私の気持ちを知ってか知らずか、ちびっ子たちは保育士さんの制止を振り切り、一斉に走り出しました。


 保育士さんはちびっ子を一人捕まえると一人逃げ出し、また一人捕まえると一人逃げ出すという悪循環に陥り、まったく統制が取れていませんでした。


 私はと言うと、ただ茫然としていました。


 走ってきたちびっ子達は、何故か私の周りをスキップしながら回り始め、というかまるで逃がさないという感じできゃっきゃっはしゃいでいました。


 非常に、連携が取れていました。


 隙間なく。


 子供なのに。


 一体、何で?


 私が何かしたか?


 保育士さんにどうにかしてもらおうと思うものの、彼女たちはひとりを捕まえたらもう諦めたらしく、遠巻きで私と私を囲むちびっ子たちを見ていました。何となく、冷たい視線でしたけど。


 私のせいですか?


 いや、どう見ても私のせいじゃないでしょう?


 というか、あなた方の管理責任では?


 そんなに気に入らないんだったらさ、離れて見てないでなんとかしてよと、その時の私は思いました。


 だいたいさ、ちびっ子の君たちは何がしたい?


 私はどうしたらいい?


 まあ、いずれ飽きるだろうと思いましたが、ちびっ子たちは中々私を解放してくれませんでした。


 ちびっ子たちと体力勝負かと思うものの、私にだって用事があるから長居は出来ないんだけどと考えていたら、ちびっ子達は回りながらハイタッチのポーズを取っていることに気が付きました。


 私にリクエストしてるのね。


 よく分からんけどさ。


 私は腰を屈め、ちびっ子ひとりひとりにハイタッチ、私にはとってはロータッチ(?)をしてあげました。


 すると、ハイタッチをされたちびっ子は、ひとりまたひとりと輪から離れていきましたが、時々また輪に戻ってハイタッチをせがむ、そんなちびっ子も居ました。


 おい?


 戻ってくるなよ。


 終わらないだろう?


 保育士のお姉さんが、怖い顔で私を見ているだろう?

 

 とはいっても、徐々に保育士さんの元にちびっ子達が戻り、輪の中の人数は少しずつ減り、最後のひとりにハイタッチをすると、ちびっ子は居なくなっってやっと終わりのようでした。


 やれやれと思ったら、ふと、最初から保育士さんに捕まり、この輪に入れなかったちびっ子が居ることに気が付きました。


 一人は居るだろう、ちょっと間の悪いと言うか、要領の悪い子なんでしょう。


 ちょっと、可哀そうな気がしてきた。


 なんとなく、寂しそうにしているその子を見ていたら、私は自然と腰を屈めて手の平をその子の方に向け、ほら、おいでというポーズを取りました。


 正直、このポーズは腰に悪いんですけどね。


 その子は嬉しそうにしながら、私の手の平を思いっきり叩き、スキップしながら保育士さんの元に戻って行きました。

 

 こうして、私は無事に解放されました。


 ちびっ子たちはもう、私には関心が無くなったようで、何か違う遊びをしていましたが、最後のちびっ子だけは、私に手を振りました。


 バイバイと。


 すると、他のちびっ子も私に向かってバイバイをし始め、また賑やかになりました。


 またこっちに来たら、どうしようかと思いましたが、ちびっ子たちは保育士さんに促され、別の方向に歩き出してくれました。


 これでようやく、終わったようです。


 気になったのは、保育士さんの冷た~い目でしたけど。


 私のせいですか?


 そう言いたいけど、私が居なけれなこういうことは起きなかったでしょう。


 これは、私が自意識過剰なのではありません。

 ここまでではありませんが、私は何故かちびっ子たちに人気があるのです。

 こうやってちびっ子たちに囲まれるのは稀ですが、彼らが集団をなしている時は、要注意です。


 そのエピソードも、いつか紹介しようかと思います。


 というか、ちびっ子たちには、私が何に見えたのだろうか?


 

 でも、楽しそうにしていたので、別にいっかと思います。



 私はと言うと、ちょっと疲れました。



 ほんの少し手が痛いのと、少々腰が痛いのと、あとほんのちょっと癒されましたけど。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] タイトルからしてウルトラQの「あけてくれ!」並みに奇妙なお話かとワクワクしながら読み…………とても奇妙な出来事だったんですね。 有名人に似ているんでしょうか? それはそうと……保育士さん…
[良い点] 不思議な現象ですね。 ほっこりしました。(^ー^)
[良い点] 面白く、そして不思議なお話ですね。子供たちの目に作者様がどう映っていたのか…大いに気になるところです。 [一言] 僕は作者様の前世はメリーゴーランドだったのではと予想しています。
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