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【共生魔法】の絆紡ぎ。  作者: 山本 ヤマドリ
2章・新たな出会い。
45/285

港町アーサリーに到着。

 ガルボとの戦いを予想外の形で終わりを迎えた私達だったが、今全員の前で襲って来た本人が涙目で土下座をしている……。


 どうやらガルボは本当に全く食料を持っていなかったらしく、空腹に耐えかねた彼が食料を譲って欲しいと懇願して来たのが、ガルボが土下座をしている経緯だった。


「頼むよぉ、このままだと腹が減りすぎて餓死しそうなんだよぉ……。 お前達を襲った事は謝るから食糧を恵んでくれ! この通り!」


 さっきまであれ程強者の雰囲気を出していたガルボが、食料欲しさに土下座を……。


 大きく溜息を吐くオリビアさんが、呆れた様に苦言を呈した。 


「あんたねぇ、旅をするなら食料の消費する計画くらい立てなさいよ……。 まあ良いわ、今から昼飯にするから、あんたも一緒に食べて行きなさいな」

「本当か! 助かるぜ、さすがオリビアだ!」

「全く調子の良い事を……。 誉めても昼飯以外何も出ないわよ……」

「飯が出るだけで十分じゃねえか!」

「はいはい。 じゃあ調理に掛かるから、自前の食器くらいは出しておいてよ?」


 どうせ料理を作る手間は一緒なので、オリビアさんは私達とガルボの分の昼食を作り始めた。 どうやら彼女は、本当に彼と一緒に昼食を取る事を決めた様だ。 


 手を合わせてオリビアさんの作った昼食を、貪るように食べ始めるガルボ。


「ガフガフ! ングング! プハ~~!! お代わり! いや~、ここ最近まともな食事を取って無かったから、飯が美味い美味い。 本当に助かったぜ!!」

「食事に誘った私が言うのもなんだけどさぁ。 ガルボ、あんた命のやり取りをしたばっかりの相手と一緒に飯を食うとか、一体どんな神経してんのよ……。 毒を盛られるとか考え無かった訳?」

「あっはっは! そうなったらそうなっただ! 実際オリビアはそんな回りくどい事をせずに、正々堂々と俺の命を取りに来るタイプだろ?」

「はぁ……。 間違っては無いけど、何で会って数時間の相手に私の性格を理解してる気でいるのよ……」

「アッハッハ! 俺って頭は悪いが、そう言う感覚は鋭いんだわ!」

「それって自慢になるの? ……まぁ良いわ、はい、お代わりが出来たわよ。 街まであと少しだから食材を使い切るつもりで、少し贅沢に塩を多めに使った辛めのスープを作って見たわ。 後、テトラちゃんとジェーンちゃんが海で魚を取って来てくれたから感謝するのね」


 塩がたっぷり振られた焼き魚を受け取ったガルボだったが、何処か浮かない顔を浮かべている。


「どうしたのよガルボ、そんな顔をして」

「俺、2日間あそこで粘っても、1匹も釣れ無かったんだが、2人は本当にあの僅かな時間でこれだけの魚を取って来たのか?」

「はい、入れ食い状態でしたのですぐ釣れましたよ?」

「俺の2日間って一体……」

「……ま、まぁそう言う時もあるわよ。 さあ頂きましょうか」


 先程あれだけの量の昼食を食べたのに、オリビア特製スープと焼き魚から滴る油を見て口の端から涎を垂らすガルボ。


「意外と美味そうだな……」

「一言余計よ! あんたの料理だけ、激辛スープに作り直して上げましょうか!?」

「悪い悪い! これと言った悪気は無かったんだ、そんなに怒らないでくれって」

「次、変な事を言ったらあんたの尻尾を切り落として、料理の1品に加えるわよ?」


 目がマジだ。 こいつ本気で言ってやがる……。


「そ、それじゃ冷めない内に食べようぜ! ああ、そうださっきの戦闘で気になったんだが……」


 焼き魚の串を向けてくるガルボは先程の戦闘で感じた、私達に足りない所、良い所を食べながら指摘して行った。


「与一と言ったか? その弓の性能はかなり高いんだが……お前はそれに頼りすぎだ、この1射で決める! くらいの気迫で撃て! お前はそれくらいで丁度良いはずだ」

「む、気を付ける……」


「ジェーン、お前は剣捌きどうこう言うより、まずは斥候として最も重要な速度を鍛えろ」

「でもガルボさん、速さを鍛えても、実際戦闘する時は接近しないといけない訳で……」

「ふむ、お前の言う事も一理あるな。 なら、その特徴的な剣1本で戦うんじゃ無くて、2刀流を極めて見るのも面白いかもしれねえな」

「2刀流ですか……。 分かりました。 今後の目標としてみます、アドバイスありがとうございます」

「あぁ、頑張れよ!」


「最後に菊流だが……。 あの土壇場で身体強化を覚えた天武の才はすげえと思うが、まだ動きに無駄が多いな」

「それ、オリビアさんにも似たような事を言われたわ……」

「そうなのか?」

「ふふ。 えぇ、昨日の夜に少しね」

「なら俺からこれ以上言うのは野暮かね」

「ガルボさん、私はどうでした!?」

「お前は……テトラだったか?」

「はい!」

「お前はオリビアの弟子なんだろ? お前に関してはどうせ彼女が、この後みっちり教えてくれるだろうから……。 まぁ、頑張れ!」


 恐る恐るオリビアさんの方に視線を向けるテトラは見た。 今も優しく微笑んでいる様に見えるオリビアさんだが、目が笑っていない事を……。


「あ、あの……。 オリビア店長?」

「後でみっちりあなたの何処がいけなかったのか教えて・あ・げ・る♪」

「ひぃ!!」


 後方の馬車に逃げ隠れたテトラは放置して、私達3人は直すべき所、伸ばす所を的確に指摘してくれた2人に礼を言った。


「ありがとうガルボ、私達がまだまだ強くなれるって分かっただけでもかなりの収穫だよ」

「はは! そうかそうか! お前達がまた強くなったら手合わせ願うぜ!」

「また? あんたって本当に戦闘狂なのね……」

「それが俺だからな。 それに、今より強くなれるなら、俺は魔王にだって喧嘩を売るさ! ガッハッハ!」


 心の底から笑うガルボを見て、私は人と魔族に分かれて戦い合うこの世界の人達も、いずれ和解してお互い笑い合う事が出来るのだと確信する事が出来た。


 その来るべき明るい未来に暗い影を落としているのは、魔国と人類の戦争だ。 こんな世界が滅びかねない戦争など早く終わらせて、お互いの手を取り合って笑い合う事が出来る未来が来る事を、私は心の底から願った。


 ==

 

 昼食を終えた私達は新たな仲間を加えて港町アーサリーに向けて馬車を進めていたのだが、港街の外壁が見え始めた所で急にガルボが足を止めた。


「ガルボ?」

「さて、短かったがここでお別れだ。 現在進行形で魔族と戦争しているのに、お前達が魔族である俺と一緒に港町に入るわけにもいかないだろうからな」

「あら、せっかく仲良くなれたのに残念だわ……」

「あはは! 出会いと別れも旅の醍醐味さ! ……そうだな、別れる餞別ついでに教えておいてやるか」

「何を?」

「もし、魔国オートリスと戦う事になった場合、四天王筆頭の【鬼人のシュドルム】、あいつだけには気を付けておけ。 あいつ自体は武人気質で良い奴なんだが……、戦闘中に一度スイッチが入っちまうと周りを見境なく破壊し尽くしちまうから、そいつだと分かったらすぐに逃げろ」


 四天王筆頭の鬼人のシュドルム……。 それってまだ人族に知られて無い情報だよね……。

 実際オリビアさんも目を剥いて驚いている。


「あんた……」

「ハハハ! 俺は気に入った奴らの死を聞きたく無いだけだ!」

「ガルボさん、また会えますか?」

「ああ……。 最終決戦の時には手伝うって言っちまったからな……。 お前ら、死ぬなよ?」

『「「はい……!」」』


 私達が返事をすると、ガルボは背嚢を背負い直すと港町アーサリーとは別方向に歩き出そうとしていた。


「じゃあな皆! また会おう!」

「ええ、また会いましょう!」


 オリビアさんとガルボは別れ際に拳と拳をぶつけ合い、拳闘家同士の別れの挨拶をした。


「そうだガルボ、餞別よ」


 オリビアさんは少し膨らんでいる麻袋をガルボに向けて投げると、それをガルボが受け取った。


「と、何だいこりゃ……」

「菊流ちゃん達のアドバイス代と、鬼人の情報のお礼よ。 保存食とか水が入ってるから旅の途中で腹が減ったら食べなさい」

「おお! ありがてぇ、こりゃお前等にさらに借りが出来ちまったな!!」

「決戦の時に手を貸してくれるんでしょう? 先払いよ」

「そうか、なら遠慮なく貰って行くか。 さて今度こそお別れだ。 お前等、強くなれよ! じゃあな!」


 ガルボ麻袋を背嚢に仕舞い込むと、東に向かって歩いて行き、その後ろ姿もすぐに見えなくなった。


「行っちゃいましたね……」

「ええ…、最初はどうなるかと思ったけど、人類側にはとても大きな情報をガルボから得る事が出来たわ……。 魔国オートリスは1枚岩じゃない上に、一部の魔族はこの戦争に賛成していない……。 この情報は大きいわ」

「シンドリア王都に戻ったら、王様達に報告しないとですね」

「そうね、私達だけが知ってて良い情報じゃないわ。 まあそれも港町アーサリーで用事を済ませてからでも大丈夫でしょう。 さあ、行くわよ皆!!」

「はい!」


 オリビアさんはそう言うと、馬に何度も鞭を入れて港町を目指してスピードを上げた。


「ちょ、ちょっとオリビアさん!! いやーー!!」


 ==


「お、おい。 あんた等大丈夫か?」

「だ、大丈夫です……」

「なら良いが……。 もし冒険者ならカードの提示を。 もし提示出来無いなら、税として銀貨2枚を収めて貰う事になるが……」


 あの後も猛スピードで馬車を走らせ続けたせいで港町アーサリーの入り口に着いた頃には、オリビアさん以外がクタクタになっていた。

 だが、冒険者カードを門兵に提示した事で、あっさりと門を通る事を許可された事に少し感動すら覚えた私達だった。


 そして馬車に乗った私達が門を潜り抜けた先で目にした光景は素晴らしいの一言だった。


 ミャウ、ミャウ。


 空飛ぶカモメの鳴く声、太陽に照らされて光り輝く海、何とも言えない独特の匂いがする潮風、そして凄く活気のある人々の営みが目に入って来たからだ。 


「うわぁ。 シンドリアの王都とは、違った活気がある街ですね、菊流姉」

「えぇ……。 こんなに人が大勢いる中で逸れたら、合流する事も困難だろうから私達から離れたら駄目よ、ジェーンちゃん?」

「大丈夫、私が抱っこして確保しておくから」

「ちょ、ちょっと与一姉!」


 いきなり後ろから抱き締めてる与一から、何とか逃げようとして藻掻き続けるジェーンちゃんだった。


「さあ、目的地の民宿に到着したわよ!」


 小奇麗な宿屋の前で馬車を止めたオリビアさんの言葉に、ここが護衛クエストの目的地だと言う事を理解した。 


「悪いんだけど、馬車に積んである物資を確認して貰う為に店主を呼んで来るから、ちょ~~っと待っててね?」


 そう言うと、オリビアさんはまだ開店していない店の扉を開き中に入って行った。


「ダラン! 頼まれていた商品を持って来たわよ、どこに運べば良いのかしら!?」

「オリビアか? 検品は後でしておくから、宿屋の裏手にある倉庫に運んでおいて貰って良いか? 鍵は掛かってないはずだ」

「分かったわ、馬車ごと運んでおくわね?」

「ああ、それで構わねえ。 悪いな、今ちょっと手が離せないんだ!」


 宿屋の裏手にある倉庫に馬車を乗り入れたオリビアさんは、テトラちゃんと一緒に商品を運び込んで行った。 


 流石に2人だけが働く姿に落ち着かない私達が、『手伝いましょうか?』と打診してみたが、予想外な事にテトラに真っ先に断られた。


「3人の手伝いが嫌なんじゃ無いんです。 これも鍛錬の内だと師匠から聞かされたので、どうかここは手伝わない様にして下さい」


 そう言われてしまっては手伝う訳にもいかないので、しょうがなくここから見える海を眺めて居ると、ここの店主ダランさんが、氷が入って冷たくなったコップを人数分持って来た。


「皆、お疲れさん。 いや~ オリビア、俺が依頼した品だったのに倉庫に搬入するのを手伝えなくて悪かったな。 お前が声を掛けて来た時が、丁度料理の仕込みをしている最中でな……。 てな訳で、詫びもかねて、冷たく冷えた水をもってきたんから飲んでくれ!」

「あら、搬入も仕事の内なんだから、気にしなくても良かったのに……。 でもありがと、じゃあ遠慮なく頂くわね?」

「勿論だ。 その為に持って来たんだからな。 護衛の姉ちゃん達も遠慮なく飲んでくれ!」


 カラン


 魔法を使って氷を生成してるらしく、木で出来たコップの中に注がれている水に浮いている……。


 一気に呷る私達の喉を、キンキンに冷えた水が通っていく。


「美味しい……」

「アッハッハ! そんな物で良ければ、また後でご馳走してやるよ!」

「「「是非!」」」


 久々の『涼』を味わった私達3人は、食い気味にダランさんに返事した。


「お、おう……」

「でさ、ダラン。 今日この宿に泊まりたいんだけど、もちろん私達の部屋はキープしてあるんでしょうね?」

「ああ、お前が何時来るか分からんから、何部屋かキープしておいたよ。 どうせオリビアの事だから護衛達も一緒に泊まらせろって言うと思ってな」

「あら感心。 昔のあんなたらそんな気を回す事なんて出来なかったのにね?」

「うっせえぞ、ゴリラ女!」

「もう一遍言ってみろゴラァ!」


 身長180位の髪を刈り上げて痩せてはいるが、がっしりと引き締まった体をしているダランさんと睨み合うオリビアさんだったが、お互いすぐに吹き出して笑い出した。 


「あはは! お前は何時まで経っても変わらないな、オリビア」

「あんたもね、ダラン」

「泊ると言えば、サーシャは今いないの?」

「少し買い出しに出てるんだ、もう少ししたら帰ってくるはずだよ」

「ならまた夜に3人でお酒を酌み交わせるわね」

「それ良いな! それなら良い酒を用意しておかないと……。 ああ、そこの黒髪のうさ耳、馬車はそのままにしてて良いぞ、どうせ後で検品しないといけないからな」

「了解です」


 テトラちゃんが搬入の手を止めると、ダランさんにもう今日は部屋で休めと言われてしまった。


「お前等……。 ここに来るまで何をしたかは聞かないが……全身痣だらけだぞ。 特にオリビア、お前が一番酷い状態だ……」

「お、女には秘密の1つや2つあるものなのよ!」

「言いたくないならそれで良いが……。 サーシャが心配するから、夜までにその痣を消すか見えない様に隠しておけよ」

「分かったわよ……」


 素直に頷いたオリビアさんに驚くが、やはりガルボに負けた事を気にしているのだろうか?


「分かってるなら、これ以上言わん。 それでお前達の部屋だが、2階の端にある2部屋を使ってくれ。 これが鍵だ。 受け取れ」


 エプロンのポケットから用意していた2つの鍵を取り出すと、私達に投げて寄こしたので慌てて受け取った。


「晩飯の時間になったら1階の食堂に降りて来てくれ、新メニューの美味い魚料理を振舞ってやるよ!」

「新メニューは良いんだけど……、美味しく無かったら暴れるからね!?」

「ごめん、それだけは本気で止めてくれ……」


 そんなやり取りを終えて、私達は2階の指定された部屋へと移動した。


「私とテトラちゃんが持ってる鍵には2号室と書かれているわね。 菊流ちゃん達は1号室って書いてある?」

「はい、書いてあります」

「じゃあ1号室の角部屋はあなた達が使って頂戴。 私とテトラちゃんは2号室に泊るわ」


『1号室』と書かれてある鍵を使い部屋の扉を開けると、部屋の中にある窓が開いているのか塩の香りが鼻腔を擽った。 そして、それを証明するように、部屋の中にあるカーテンが風で揺れていた。


「うわぁ、凄く綺麗な光景ですよ。 菊流姉、与一姉!」


 揺れ動くカーテンをずらし外を覗いてみると、そこには絶景が広がっていた。

 どうやら、この宿屋自体がこの街の上側に位置しているらしく、この部屋から街全体を見渡す事が出来る様で、街の中央に建てられた時計塔や、太陽の光を受けて輝く海が一望出来る。


 そんな光景に見惚れていると、ウミネコの声が私達の耳に聞こえて来た。


 ミャウ、ミャウ。


「こっちの世界に来てから、こんなに晴れやかな気持ちになれたのは初めてかも……。 この護衛クエストを受けて本当に良かった……」

「そうね……。 明日までの滞在だけど、楽しみましょう。 菊流、ジェーンちゃん」

「そうですね。 そう言う菊流姉、与一姉に私からの提案です!」

「ん? 何かな?」

「この街に入った時からずっと気になっていたんですが、この街の屋台にどんな物があるのか見て回りませんか? 要するに食べ歩きです!」

「おぉう、私もずっと気になってた……。 じゅる……」

「ちょ、ちょっと私も気になってたんだ……。 行こうか!」


 嬉しそうに提案してくれたのジェーンちゃんの案に乗っかった私達は、多くは無い物のお金の入った財布を握り締めて部屋を出た。 


「そうだ、オリビアさん達も誘ってみてはどうでしょうか?」

「ん~~。 この後予定があるみたいだったけど、一応一緒に回るか聞いてみよっか」

「はい!」


  2人がいる隣の部屋の扉をノックすると、すでに聞き慣れた野太い声が返って来たので入室すると、オリビアさんとテトラちゃんは王都から持って来ていた荷物を整理している所だった。


「あら、みんな揃ってどうしたの?」

「オリビアさん、私達と一緒に街を探索しませんか?」

「あら、観光のお誘いだったのね、嬉しいわぁ。 でもごめんなさいね、この後ダランと次に持って来る荷物のリストで話し合う予定なのよ……」

「そうなんですね、残念です……」

「そうだテトラちゃん、あなたはこの後予定無いから菊流ちゃん達と一緒に観光してくる?」

「行こうよテトラちゃん!」

「お誘いは嬉しいのですが、私は少し自主練をしたいので今回は遠慮しておきます」

「分かったわ」


 やっぱりテトラは、ガルボに1撃すら与えられ無かった事を気にしているのだろうか? かと言って強引に誘ったとしても、彼女も心から楽しめないだろう。


「では3人で行ってきます。 暗くなる前には帰って来る様に心掛けますね」

「そうして頂戴。 後忠告なんだけど、この宿自慢の魚料理を堪能したければ、あまり屋台で買い食いしない事。 良いわね?」

「「「……はい」」」


 どうやら食べ歩きをしようとしてる事を、オリビアさんにはバレバレの様だ。


 まぁそれはそれとして、街へと繰り出した私達は周囲から漂って来る海産物の匂いに涎が止まらなかった。


「おばちゃん、焼き魚3人分頂戴! あと一緒に、そのハマグリとアワビも!」

「あいよ! お嬢ちゃん達は観光でこの港町に来たのかい?」

「私達冒険者なの、護衛でこの街に来たけど時間が出来たから見て回ってるの!」

「じゃあ、この大きな海老も付けて上げるから楽しんで行きな!」

「わぁ、ありがとう!」

「また来たら是非寄って行っておくれよ!!」


 その後も、様々な屋台を周り海の幸を堪能したりしたが、これ以上食べるとオリビアさんが絶賛するダランさんの魚料理が食べられなくなりそうだったので、3人と相談した上で旅館に戻る事にするのだった。


 やっぱり新鮮な魚介類は、現地で食べるのが一番美味しいよね! 


 嫌な事を一時的にでも忘れる事が出来た私達は、大満足でダランさんの宿屋に戻るのだった。




ここまでお読みいただきありがとうございます。


今回は港町に着いてからの自由行動を少し描いてみました。


もし面白いと思って頂けたなら、評価などをしていただけると幸いです。


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