残尿残沫
いつからか・・・。
旦那ちゃんはソファに寝転び、夕寝にいそしんでいた。
「むにゃ~仕事あがりの夕寝、最強最高~」
「こらっ、旦那ちゃん」
旦那ちゃんの至福の時を壊す嫁ちゃんの声、
「う~ん、何よ」
涅槃像の姿勢で、睡眠を妨げられた旦那ちゃんは抗議を声をあげる。
「あ~また機嫌が悪い。なんで寝ている時ってこうなのよ」
「だって、眠いから、三大欲求のひとつが阻止・・・」
「そんなことはどうでもいいの」
「どうでもいいってことないだろ。寝た子を起こしといて」
「おっさんじゃろうがっ!」
「否っ!永遠の美少年」
「嘘つき。ハゲおやぢ」
「ハゲてないもん。やや薄い、やや薄なだけ」
「・・・いいんや、ちゃう」
嫁ちゃんは大きく首を左右に振って、全否定を示した。
「・・・君には見えないのか?このワシのふさふさヘアーの姿を」
「どこが?」
「さぁ、心の目で想像してみて」
「アホか・・・それはそうと旦那ちゃん」
「それはそうとで本題に入るのか嫁ちゃん」
「然り」
「わかった。然り」
嫁ちゃんは、旦那ちゃんを押しのけソファに腰かけた。
「ちょ、ちょ、待てよ」
場所を浸食された旦那ちゃんは半身を起こして、横へとずれる。
「旦那ちゃん」
ギロリ睨む嫁ちゃん。
「はい」
「おしっこ」
「?」
「おしっこは、ちゃんと切ってね。って、言ってるでしょ」
「はあ」
「トイレ、おしっこ臭かったわよ」
「そんなバナナ」
「漏らしたんじゃなあいの?吐けよ・・・オラっ!」
「ボクじゃない・・・きっと嫁ちゃんが・・・」
「あたしな訳ないでしょ。座ってやってるのに」
「オラだって・・・」
「アンタはしまりが悪いから、雫を落としているでしょ。トイレットペーパーでおち〇こ拭きなさい」
「・・・昔はキレッキレっだった」
「はいはい。分かったら、今度からちゃんとしましょうね」
「・・・証拠は、証拠はあんのか?」
「・・・証拠ねぇ。ないけど、旦那ちゃんのおパンツたまにおしっこ臭いわよね」
「・・・・・・」
「たまにこっそりトイレで床拭いているし」
「はうっ・・・どうしてそれを」
「拭き残しってこともあるよね」
2人はじっと見つめ合う。
やがてうな垂れる旦那ちゃん。
「敗訴」
大きく頷く嫁ちゃん、
「勝訴」
こうして2人の戦いは幕を閉じた。
今回もごくわずかな差で、嫁ちゃんに勝利を奪い取られた旦那ちゃんだが、果たして彼が勝利する未来は来るのであろうか。
いやくる・・・キットクル。
その日を信じて。
あいうぃるびーばっく。
だだんだんだだん、だだんだんだだん・・・(イメージ楽器は和太鼓で)。
♪残尿~♪