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速攻発見、すぐさま挑戦、戦いの舞台は城の中!?

「みつけたぞ魔王! 」

もう見つかってしまった。なかなかタフだな。

「一人で逃げるだなんて……さては彼女が強いことを知っていたな! 」

「空気読んで離れただけだし。余裕ぶってた君が悪い」

「まあいい。そんなことより、この私と勝負しろ魔王!」

「だから嫌だって」

「魔王討伐を経て、強くなった私の力を試したいのだ! 一勝負付き合ってくれ! 」

「だから嫌だって」

「なぜだ! 」

話きいてないのかな。

「昨日もそうだ。お前はなぜそこまで勝負を拒む」

「死にたくないのに理由が必要か? 」

「それもそうか。ならかの有名な天下一武闘会のようなルールで戦ってみるのはどうだ? 」

「天下一……?」

なんだろう。まったくきき馴染みのないワードだ。戦国時代にでも、そんな大会があったのだろうか……?

「おいおい。まさか知らないのか? 殺しは無しの真剣勝負。相手を気絶させるか、リングの外に出せば勝ちってルールだ。これなら問題ないだろう? 」

「まあそれなら……一回だけだぞ?」

「なら決まりだ。正直、日本男児であろうものがあの漫画を知らないのには驚きだが……」

漫画だったのか。天下一……天下一……。だめだ。僕の知ってる漫画にそんなワードがでてくる作品はない。お手上げだ。

「悪かったね知らなくて」

「別に悪い訳じゃないが……場所はどうするか」

「広さはどれくらい必要? 」

「ある程度広くて動き回れればいいと思うが」

「なら、いい場所知ってる。とれるかは分かんないけど、聞いてみる? 」

「聞いてみるって誰に?」

「ここの王様」

「ここの……ここの!? 」

なにを隠そうこの僕、この国の王とは仲良しと言っても過言ではないほどの仲である。そんな僕にかかれば、場所の一つや二つちょちょいのちょいで借りれるに決まってる!


ーーーーー


「だめだ」

「え? 」

「だめだ」

えぇ……。だめなのお……?

「おい魔王。王様とは仲良しなのではなかったのか」

「仲良しなんだけどなあ。そのはずなんだけどなあ。現にここまで入ってこれてるし」

「不法侵入……だがな? 」

おかしいなあ。門番には顔パスで行けたんだけどなあ。

「あの、お二人はどのような関係で」

「そりゃもちろん大親友」

「娘をたぶらかす大悪党と親友になった覚えはない」

そんな、ひどい! どっちかっていうと、世界を救った英雄だぞ!

「おい魔王。本当に貸して貰えるのか? というかなんでここにきたんだ」

「ちょうど今日に会う約束してたからそのついで」

「会う約束? 誰と? 」

「あ、オーカこんなところにいた! 」

後ろから聞こえてくるこの声は!

「あ、お嬢様! おじょーさまー! 」

振り向きそのままお嬢様の元へと走って向かう。

「こんなところに居るなんて、いったい何やらかしたの? 」

「そんなことより久しぶりー! 元気してましたか、お嬢様!」

「たった一週間ぶりよ。元気に決まってるじゃない」

彼女の手を握りぶんぶんと振る僕と、優しい声で話してくれるこの子は、僕のお嬢様である。

「お嬢様! お嬢様! 」

「オウカ。そろそろ、お嬢様呼びは卒業しない? 」

とつぜん告げられた寂しい一言が、僕の心を氷漬けにした。

「えぇ!? そんな!? これからお嬢様のことなんて呼べば……」

僕はお嬢様の名前を知らない。知ろうとしても、教えてくれないのだ。

「た、例えばだけど……レ」

言葉が詰まっているのだろうか。レから先が出てこないようだった。なんだか、顔が赤いような……?

「レ? 」

「レ……じゃあなくて! 無難に姫様とか! 」

姫様……姫様……うん、いい!

「いいですねその呼び方! さすが姫様!」

「えっ……そうかな?」

照れてるところもかわいい! さすが姫様!

「あの少女、魔王を手なずけているのか……!? いったい何者なんだ……? 」

「我輩の娘だ。はぁ……。魔王のあの姿、いつみても王としての威厳を欠片も感じられない」

「娘?……王様の……てことは王女様ぁ!? 」

「そういえばオウカ。あの人は? 」

姫様はイサムの方を向いて僕にきく。

「あー、簡単に説明するとね、城を壊した犯人」

「ああ、あの人が……」

「そうだな。私が城を壊した犯人だ」

おや? 素直にあっさり認めたな。言い訳とかするのかと思ったんだけど。

「否定したりしないんだな」

「それがなければ今の私はいない。ゆえに否定はしない」

「では、女神と赤ちゃんプレイすることを夢みる変態というのも……! 」

「違うわ! 魔王、お前はなにを吹き込んだ! 」

「僕に喧嘩を売った人間は、社会的に殺すって決めてるの」

本当に死ぬわけじゃないし、平和的っちゃ平和的な仕返しだ。問題はない……はず。

「なんて概念的物騒な! 」

「そんなことよりさ、姫様にお願いなんだけど修練場貸してくれない? 」

「修練場? なにに使うか聞いてもよろしいですか? 」

「ああ、あそこの戦闘狂いと戦うことになってさ」

「誰が戦闘狂いだ。私は勇者だ」

別に間違いじゃないでしょ。なんで、わざわざ反応するのさ。

「なるほど。あそこの壊し屋と戦うための場所を借りたいと」

「誰が壊し屋だ。私は勇者だ」

だから間違いじゃないでしょ。どんだけ勇者って呼ばれたいんだあいつ。無視して話を進めよう。

「お願い! 結界張って被害が出ないようにするから! 」

「決着の仕方は? 」

「気絶か場外」

「殺さないならよし! 」

「本当に! やったあ! 」

正直、勇者の戦い方がどんな風に変わったのか気にならないって言われたら嘘になる。

久しぶりの戦いで気分が高揚してきた。

「おい、城の主は我輩だ! 我輩の許可なくして借りれるとでも……」

魔王が人前で戦うなんて……ライフライブ以来じゃないか?

あの究極平和主義の魔王が戦う!?

あの勇者を名乗る男……果たしてどこまで魔王の本気を引き出せるか……

「兵士の士気をあげるためだ。ありがたく思え」

兵士達の声を聞いた王様はうーんっと悩んだあと、使用許可を出す。

しかし、僕たちはとっくに修練場に向かっていた。その場にいたのは王様だけだった。

「……ぐぐっ……ぐぬぬ……我輩もみる!」

疲れた。眠い。そういえばプロローグのタイトルが、ある音声作品のプロローグのタイトルとめっちゃ被って興奮した。

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