ある日の朝。スネークなルーティーン
「にぃさん。行ってきます」
「行ってらっしゃい」
手を振って、僕は彼女を見送った……。
……よし。
ーーーーー
僕の妹は、一月前から学校に通っている。
今、前の方の席で授業を受けている可愛い女の子が僕の妹だ。
あの頭から生えている2本の角で分かるように、彼女は魔族だ。
学校に行ってみたいとお願いされ、入学させたはいいものの、ちゃんと馴染めるかどうか心配で心配で……。
「それで、ここから覗くのが癖になってしまったと」
そして今、僕はお叱りを受けている。
「はい……。ちなみにどう見えてますかね……?」
「不審者……ですかね」
そうですよね。そう見えちゃいますよね。
「カイさんの登校初日、入口に魔王がいるって生徒に言われた時、最初は心配よねって、あえて何も言わなかったんです。ですが……毎日ですよ毎日! 過保護すぎるんですよ! 」
「でもお……」
「でもじゃありません! にぃさん怖いって、カイさん恥ずかしそうにして言ってましたよ? 」
最近冷たいと思ったらこれが原因か! ばれないようにしていたつもりなのに……。流石だぞ妹よ!
「とにかく毎日こないでください! 授業参観とか、そういう日がありますから! そういう時に来てください! 」
「はーい」
「なんで不服そうなんですか。あなたがいると、授業がまともに進まないんです。帰ってください」
ええ……! でも、もし妹が、いじめられてたりなんてしたら大変だし……。
「ん? 魔王じゃないか」
ゲゲッ! めんどくさいのに見つかってしまった!
「こんなところで何をしているんだ? 」
女教師、学校、授業を受ける児童。考えた末に勇者が出した答えは……!?
「まさかお前、ロリコンか? 」
「違うわ! 妹が心配で覗きにきたの! 」
「なんだ不審者か」
「君にだけは言われたくない」
不審者に不審者呼ばわりされる筋合いはない。
「今の私にそれを言うか。いいんだぞ? ここで決着をつけても」
「戦う必要も意味もないね。だってもう勝ってるし」
「あのー、喧嘩するなら他所でやっていただけますか? とても邪魔ですので……」
一声一声から感じるこのオーラ、なかなかに圧のあるにこやかな顔! 間違いない、この人怒ってる!
「私は勇者だ。邪魔呼ばわりとは気にくわないな」
「僕は魔王だ。空気を読んでスタコラサッサー」
スタコラサッサ、スタコラサッサ。
「おい魔王、どこへ行く! この女性に言われっぱなしでいいのか!? 」
「勇者さん……でしたっけ? 今から三つ数えます。それまでに、いなくならないのであれば……」
「どうなるというのだ! 」
「実力行使に移ります」
その後、大きな悲鳴が一つ聞こえてきた。明らかに男の声だった。きっと彼女の奥義が炸裂したのだろう。
「やっぱり空気を読むって大切だな! 」
スタコラサッサ、スタコラサッサ。
眠い。メリークリスマス。プレゼントくれ