Vsシズク2 再び
「なんであなたが生きてるの? 」
シズクの声が聴こえてくる。また、スピーカーみたいなのをつけたのだろうか。
「あの程度で死ねるほど、僕の命は安くない」
「オウカアアアアアアアア!! 」
怒らせるようなこと、してないと思うけど。
城のエネルギーが、1ヵ所に集中していく。
あたり一体を跡形もなく消し去る、例の極太ビームだ。
けど、種さえわかればなんてことない。
作り出した大きな結界が、光線の行く手を阻む。
「そんな結界で! 」
「ただの結界じゃない、魔力反射のおまけ付きだ。直撃は避けてやるから、死なないでくれよ? 」
ほんの少し、ほんの少し斜めになるように、光線が跳ね返る。
自身が放った光線によって、削れた城からは、キラキラとしたものが漏れ始める。
さっきまでの、有象無象。消える時の光、あれから魔力を感じた。つまり、あの城も魔力でできている。
僕はさきほどそう確信した。
だからあの光線を跳ね返せると思ったのだ。
糸が解れたように、城は少しずつ消えていく。
「まずい、このままじゃ城が消えちゃう! そうなる前に、全部返して! 」
突然城が、息を吹き掛けられた蝋燭の炎のように、ヒュッと消えた。
そこから、ゆっくりと降りてくる者が一人。たぶんシズクだ。
あ、そうだ。えっと、たしか……。
あたりをキョロキョロ見渡すと、死にかけの男を発見。
あーいたいたと、そっちの方へと飛んでいく。
そいつの目の前に降り、顔を覗き込むと、とんでもないものをみたような顔をしている。
「なんだコイツ」
死にかけてる人間がするような顔じゃないだろ。さっさと回復魔法をかける。
「……はっ! ここはいったい!? さっきのトンデモはなんだ! 」
はっとして、やっと気づいたのか、イサムはあたりをブンブン見渡しながら、そんなことを言う。
「それはもう終わったわそれ。っていうか、さっさと立て。もう動けるだろ」
「立ち上がれと……魔王にそんなことを言われるとは」
「一応、勇者でもあるんだけどな」
イサムはゆっくりと立ち上がる。
「それで、無様に敗北した私に何をしろと? 」
「お前はまだ、戦えるか? 」
「……。お前とは。二人称は君ではなかったのかね? 」
「お前って言うより、君って言った方が優しそうに聞こえるだろ? 悪い魔王って思われたくないから変えたんだ。ただ余裕が無くなってくると、お前に戻る。そんな事は今はどうでもいい。戦えるかって聞いてるんだ」
「戦ったって勝てないんだぞ? 銀色の腹に一度突き刺せたくらいで、お前とは違う」
「お前はまだ、その力を知らない」
「使ったこともないお前に何がわかる」
「わかるさ。戦った僕だからね」
「ならなんだっていうんだ」
「その剣の本質は、お前が負けた銀色とかと同じだ。形にとらわれるな。僕が言えるのはここまで。そこからは、進化の先で自ずとわかる」
「進化……? 」
「お前はまだ発展段階だ。そうじゃなくても、心のそこじゃ諦めなんてしてないだろ? 」
「なぜそう思う!」
「お前が、世界を救った勇者だからだ」
勇者だから。彼が異世界でどんな経験をしたのかはわからない。しかし、その過程で彼は成長し、合体させるという技を身につけ、そして魔王を倒した。
ならば出来るはずだ。少なくとも僕はそう思った。
そもそも、簡単に諦めるやつが、二度負けた相手に挑もうとなんてしないはずだし。
「それと、ありがとな。関係ないのに、アイツ止めるの手伝ってくれて。それじゃ、先に行ってるよ」
僕は勇者を置いて、一人シズクのもとへ向かった。
「関係ないだと? 救えずして、勇者など名乗れるものか! 」
そんな勇者の叫びが聴こえてきた。
ぎゃあああ眠いのじゃ!眠いのじゃ! ぎゃあああ!




