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「それで、何を知りたいと? 」

「僕にすすめた女性は、どこで買い取った? 売ったやつの情報も吐けるだけ吐け」

僕は今、奴隷商人と面会中だ。今ある情報だけでは、次どこが襲われるかなんて、検討もつかない。ので、唯一残された情報源から、聞き出そうとしているところだ。

「知りたいといいますが、それは無理ですぜ魔王さん? 客の情報を流すだなんて、信用を失うのと同じこと。それも、この私を罠にはめた、あなたになど……」

勝手に招き入れて自爆した間抜けのくせに。まあいい。こっちにだって考えがある。

「結論から言おう。速いところ教えないと、君はその女性に殺される」

「そんなバカな話があるものか。今、私は牢屋の中にいる。ここのセキュリティを突破していくことなど不可能だと断言しよう」

「もしここごと吹き飛ばされるとしたら? 」

「何を言い出すのかと思えば……。そのようなことできるはずがない」

「現に僕は、城ごと土地を焼き払われた」

「それを今ここで証明できると? 」

「必要ない。早くて明日には信じるだろう。刑務所ごと消し飛ばされればな」

「脅すというのか!? 」

「脅しじゃない。明日から始まる復讐旅行を止めなければ、確実にそうなるってだけ。被害者として、僕が断言しよう」

少し迷い始めた。だがまだ一押し足りない……。こうなったらあれしかないな。不本意だけど、あれが確実だ。

せっかく練習したんだ。出来なくなってはそれこそ堕だ。

「そうか。口実がほしいならばくれてやる。飛びっきりのものを……な」

魔王スイッチON!

説明しよう。魔王スイッチとは、さんざん練習させられたものの、あまり好きではないという理由で全く表に出てこない魔王としてのアレコレを表に出すスイッチである。

要するに仕事モードとプライベートを切り替えるスイッチみたなものである。

「口実なんていりませんよ。お客の情報を吐くことなんてないんですから」

そういうな外道。今、プレゼントをくれてやる。

魔王の特権を使い、情報を渡す方が懸命であると思いさらせてやる。

「!? こ、これは……なんて重く苦しい!? 」

体に圧をかければコイツは死ぬ。だから、心にプレスする。これが魔王の特権の一つ、パワーマインド。自分より弱い相手に、俺に対する恐怖心を与え、これから話すこと全てが、事実であるかのように錯覚させる。

「情報を吐け。そうすれば貴様を生かしてやろう。それともここで、生き地獄でも味わうか? 」

魔王たるもの、何時いかなる時も誰よりも上に居続けろ。

こういう教えは本当に嫌いだ。恐怖って感情を道具だと思ってる。

「……す……少しだけですぞ!」

命はとられないと余裕ぶっていた態度から急変し、惜しいとばかりに教えてくれた。さっさと吐けば余計な圧をかけなくて良かったのに。

でも正直、こういう場面でも対等以上だって勘違いしてるのは気に入らない。

「いつまでそんな気でいるんだ? すでに貴様が思うような関係は破綻している。俺が情報をもらうんじゃない。貴様を俺が生かしてやるんだ。わかったのならさっさとひれ伏せ! 俺の機嫌が変わらぬうちに! 」

「ひっひぃいいいいい! 」

それからしばらく、すっかり役に入りきってしまった。情報は聞き出せたけど、やりすぎたせいで、大の大人が僕の目の前で小便を漏らすことになってしまった。

ま、結果オーライオーライ。反省を次にいかせればそれでいい。

こうして情報を得た僕は、看守にあとを任せて、刑務所を出たのだった。



「どうだった? 」

出た先でイサムが待っていた。

「それはもうベラベラと。けど、分かったのは、くるかもしれない場所だけ」

僕は彼に成果を話す。

「その場所は? 」

「ヤミノって国。売ったやつの出身も、買い取った場所もここらしい」

「何があったのか分からない以上、あくまで可能性か」

ヤミノ。ここから跳んで15分程度。うーん。僕、基本ブレブで全部すませるから、だいたいどの辺にあるかってことしかわからないんだよなあ。それに、魔力もスッカラカンで残ってないし……。王様に、報告するついでに聞いてみるか……。

「それで、我輩の魔法使いを一人借りていきたいと? 」

「無理? 」

「それをきいて、結界を張り直したり、防衛に人員を割かないアホがおるか? 」

「いないですね」

ちっ。情報の対価として借りれば良かった。

「それに、我輩のところから借りる必要などなかろう」

? どういうことだってばよ。

「なんだったか……最近、ギルドで冒険者を始めた五人組が、お前の親衛隊を名乗っとるらしいじゃないか。そいつらに頼め」

五人組……五人組……あ!

そういえばメグが使えるんだっけ、テレポート。

僕より習得するのが早すぎて、現実から目をそらしていたのを忘れてた。

先輩曰く、僕の習得スピードが並以下らしい。まあ実際は、攻撃魔法を一通り覚えた瞬間に、やる気が失くなったのが主な原因な気がするけど、たぶん気のせいだろう。

そうと決まれば、頼んでみよう。





おっすおらゴジータ。ファイターズ楽しすぎっぞ~!


追記

奴隷商人が簡単に吐いてくれたため、大変ストーリーが進みやすかったのですが、口が固そうなこと言っておいて未確定情報だけで教えてくれるか? と、思ったため、どうせ書かないかもしれないしそれなら!っと魔王モードのオウカにスイッチ1つで切り替えることで、ラスボスに脅されて情報を吐く小物の図が完成しました。やったね!

ちなみに、オウカ本人は言われて練習してただけです。

こんな人になりたいと思ってた訳でもないのよ~これが。

ただ、役に飲まれる癖があって、1度なるとしばらくは魔王モードのままなんだよね。

あと魔王の特権っていうのは、魔王の証である、魔王の力についてくる能力で、シズク戦での状態異常無効や、今回のパワーマインドなんかもそれに該当するよ。


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