昔の記憶。辿る世界
「あなた、ここで何してるのよ」
散歩中、たまたま見つけた花畑でボロクソ言われた現実逃避睡眠してたら、誰かに声をかけられた。
「ここはお前の私有地か? そうなら今すぐ立ち去るよ。悪かった」
「そうは言ってないでしょ。ただ、ここを知ってる人が私以外にいるんだなってことと、そんな人がなに考えてるのか気になっただけ」
何処かへ行こうとする僕を止める。そんな感じがした。
「もしかして寂しいのか? 」
「そりゃあね。じゃなきゃこんな綺麗なところを一人占めしようだなんて思わないわ。でもまさか、嫌われものの魔王様と二人占めすることになるなんて」
意外と素直だこの娘。だが正直、その事実を知ってる人と一緒にはいたくない。
「嫌なら出てくよ」
本音を隠して建前で。
「本気にしないでよね。私はそんなつもりで言ってないから」
まだ止めるのか。
「じゃあ、どんなつもりで? 」
「二人の秘密になるのなら、私達は友達になるべきだと思うの」
僕はそれに感動した。その事実を知ってなお、僕と友達になりたいというのだ。
「嫌われものと友達になんてなりたいものか」
「あのね、回りの意見なんて重要じゃないから。わ・た・し・が!友達になりたいって言ってるの! それに、あーんな目に見えたヘイトスピーチされたって、嫌いなるのは誇りだらけの頑固な人達だけよ」
そんなだった? 結構嫌われる自信あったのに……逆にちょいショック。
「じゃあいいよ。そこまでいうならなってやる」
「上から目線は好きじゃないわ。偉そうなんだもの」
「え、そう? じゃあ、なってください?」
「それも嫌い。下からなんて、ペコペコお辞儀されてるみたいで、あんまりいい気しないもの」
「えっと……それじゃあ……」
僕は少し考えたあと、彼女にこう言うことにした。
「なろう!友達!」
「それでいいのよ。なりましょ、友達」
ちょっと機嫌よさそうな彼女と、僕はこのとき始めて友達になれた。
「そういえば、まだ名前を聞いてなかった。僕はオウカ。お前は……君はなんて言うんだ?」
「君はって……わざわざ言い直さなくてもいいのに」
そう思うだろう。でも僕は、ここから変えていかなくちゃいけないから。君って言う方が、優しい感じがするから。まずはここからって思ったから。
「私はシズク。これからよろしくね、オウカ」
そして、僕らは互いに名前を知った。
これが、魔王になってすぐの出来事。魔王になって、始めての友達ができた日のこと。
僕はこの時のことを、今でもはっきりと覚えている。
そういえばと、入れ忘れていた部分があったので、一瞬戻しての投稿になります。
完結済みのままだと続きとして投稿できないらしく、やむを得ず一度解除しました。すみません。
それもこれも完全に忘れていたのが、悪い。
つまり、僕は悪くありません。
悪くないと信じたい!
この部分追加で本当にラスト! いろいろ片付くまで何もしゃわらにゃい!