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プロローグ 再び出会い。嫌いは嫌いと言える勇気を

「魔王さんぐらいになると奴隷の一つや二つ、持ってないと威厳の欠片もありませんぜ! 」

ああ……ほんっとうに嫌いだ。僕は奴隷が嫌いだ。

別に、奴隷になった人間が嫌いなんじゃない。ただ、自分と同じ存在を物にしようっていうのが気に入らない。

「それで? わざわざ僕を引き込んだ理由は? 」

ニヒニヒとにやけ続ける商人。はっきり言って不気味で気持ち悪い。

「あなたは暇さえあればここのような場所を探すと聞きました。それはズバリ、奴隷を買ってみたいと思ったからでしょう? 」

勝手な推測でそういう人間だって、決めつけられた事にただ黙る。もともと、半ば無理矢理入らされた時点で、店は見て回ることにしている。

「沈黙は了承ということですね? 言うまでもないとそういうことですね? 」

今すぐにここを吹き飛ばしたい衝動を抑え、奥へと進む。

角が折れた魔族の奴隷とか、痩せ細った人間の奴隷とか、そんなん見せられて気分がいい人などいるのだろうか。なんてそんなことを思う。

しばらく進んだあと、赤い布を被せられた檻の前で止まる。

「お待たせいたしました。魔王さんにおすすめしたい商品はこちらとなっております! 」

赤い布をとった瞬間、僕は懐かしさの風に吹かれた。まるで、捕らわれている彼女を知っているかのように。

思い出が彼女が彼女だと教えてくれる。気づけば頬に涙が伝う。

あの日、二度と会えないって思っていた彼女は、今、目の前にいる。

「貴族の生まれで溢れんばかりの魔法使いの素質を持つ女! 側近にでもいかがです? ……って、どうかされました? 」

「いや、あまりの出来事に感動しちゃってさ! もらっていくよ。いくらなんだい? 」

「ありがとうございます! 本来なら50万ほどいただきたいところですが、魔王さんにだけ! 特別に40万ほどでお取引させていただきたいと! 」

早口にぺらぺらと、嬉しそうにしながら勝手に話を進め始める。

「そうなんだ。まあ、そんなの関係ないけどね」

「どういうことで?」

僕は商人の方へ振り向き、笑顔で店を吹き飛ばした。

強力な風に内側から吹かれ、耐えきれずに空を舞い何処かへと飛んでいく大きなテントは、僕たちをおいて空の旅を楽しんでいる。

「僕は、彼女に合わせてくれたことに感謝している。けどこれとそれとは話が別。僕はお前みたいなクソ野郎、だいっ嫌いなんだよ」

ブレブの兵士が商人を取り囲む。

姫様に会いに行く予定を邪魔された挙げ句、犯罪に巻き込もうとしたんだ。ムカついたんでこっそりついてこさせてた。

「そ、そんな……」

つれていかれる商人をみて、心がスッキリした。

しかし、そう簡単にハッピーエンドにはならなかった。

「この人数、うちじゃ面倒見切れん。5人は他を当たるか魔王城で頼む」

後に王様から告げられた一言により、僕は魔族と人間いりまじる9人と生活を余儀なくされた。

いや、正確にはもう一人。奴隷たちが証拠としてつれてかれる中、僕は無理を言って一人だけ魔王城につれていっていた。

そう。彼女こそが、つれさられてしまい、会えなくなってしまった僕の友人である。


眠いけどこの時間だし腹へった。飯食おっかな

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