夢から目覚めるプロローグ
「僕のレベルは……無限大だ」
その一言で静まる世界 驚きおののき動かぬ人々
それを聞いてもなお、恐れずに立ち上がる者がいた
人々から勇者と呼ばれている者である
笑う魔王に怒れる勇者
立ち向かう者から繰り出された一撃は、魔王を切り裂こうとする
魔王は笑う その程度かと言わんばかりにあざ笑う
希望を多い尽くすほどの絶望を 灯された光を吹き消すように一瞬で
倒れる勇者の姿は、誰かの絶望を呼び、そして泣き叫ぶことすら辞めるのだ
その日、魔王と呼ばれた男は世界を掌握した
おかしなことである だが、間違ってはいない 実際に起こったことなのだ どこかの魔王の頭の中で
つまりどういうことかというと、これはただの夢である
望みもしない叶えたくもないただの夢である
ZZZ……ZZZ……。
僕はこの時、自室で気持ちよーく寝ていた。
遊びに出掛けて帰ってきて寝る。お金が無くなってきたら適当に稼いでを繰り返す。半年前からずっとこんな生活だ。
あれから世界を崩壊の危機といえる事件は起きていないし、とにかく暇なのだ。
暇だからお昼まで寝てられるし、暇だから好き放題遊んでられる。
平和とは実に幸せなものだ。
その時だった。ズドーンと言う音が家の外から鳴り響いた。
その大きな音で、僕は目を覚ます。
眠いと叫ぶ体をおこし、布団から出る。
ズドーンとまた大きな音がした。
「うるさいチャイムだなあ……。この世界にチャイムってあったっけ」
ズドーンズドーンズドーンズドーンズドーン。
「……なんか近づいてる気がする。どんどん音大きくなってるし」
ドカーン!という音と共に、自室の扉は木っ端微塵に消し飛んだ。
「……は? 」
煙の中にいた誰かは、開いた口がふさがらない僕を見ながらこういった。
「魔王、今日が貴様の最後だ! 」
初対面である。