第2話 異変
ここはある小さな村。そこにはとても賢い人間の少年テセレスと、運動能力の高い吸血鬼の少女メラが住んでいた。
「テセレスおはよー!」
「おはようメラ」
「テセレスはこんな朝から机に座って何してるの?」
「村の水車を改造した図面を書いてるんだよ」
「へー、よくわかんない。それより外で遊ぼーよ」
「昨日近くの洞窟まで薬草を取りに行ってってお母さん達に頼まれたじゃん」
「あれ?そうだっけ?覚えてないや」
「ちゃんとしてよ」
「ごめんねー」
「まあいいや、行こうか」
こうして2人は洞窟に向かった。
「テセレスつまんないよー、なにか楽しい話ない?」
「僕が考えた魔物の起源の仮説聞く?」
「それは楽しい話じゃないし聞いても意味わかんないと思う」
「じゃあ楽しい話はないね」
そんなたわいもない会話をしていると洞窟に着いた。2人は薬草を探し始める。
「じゃあ薬草を探そうか、スライムとか弱い魔物は出るから気をつけてね」
「大丈夫だよ!私ならスライムくらい一撃だよ!」
「君より僕の方が問題かもね」
「そうだよテセレスは私が守ってあげる!」
「頼もしいよ」
2人が薬草を集めていると
「テセレス来て!これなに?」
そこには光り輝く小さな石があった。
「なんだろうね、見たことない石だね」
メラが石を拾いあげる
「きゃ!!」
黒いモヤが石から吹き出し、周囲に混じるようにしてすぐに消えてしまった。
「メラ大丈夫?」
「、、、、」
テセレスの問いかけにメラは何も答えなかった。
心ここに非ずといった様子だ。
とにかく村に帰って医者に見せなければ。
テセレスはメラの手を引っ張って村に向かった。
村に帰る途中。
「バキッ」
後ろから物音がした。
振り返るとそこには大きな熊の魔物がいた。
テセレスは一瞬頭が真っ白になった。
メラは?そう思い横を見る。
さっきまでいたはずのメラが居ない。
視線を熊の魔物に戻す。
そこには横たわる熊の魔物とその上に立つ魔物の首を片手に持つメラがいた。