シュウの過去。それぞれの道へ。
第3話で新登場するキャラクター
担任・・・トウイン中の社会科教師であり、シュウとハルの3年時の担任。
シュウはトウイン中の正門を出て、自宅に向かっていた。
やがてどこからか、よく聞き馴れた声が聞こえてきた。
ハル「待ってくれ!シュウ!」
シュウが後ろを振り向くと、そこには練習着を着たままのハルが立っていた。
ハル「シュウ、もう一度考え直そうよ。今、ササキが監督に直談判しに行っているんだ。きっと監督もシュウをレギュラーに戻してくれるよ。だから、お願い。戻ってきてくれよ!」
ハルはいつものクールな感じには見えないほど涙を浮かべ、シュウを見つめていた。
シュウ「ハルの気持ちはよくわかったよ。でもね、あの監督は絶対に戻さないよ。だってあの監督はそういうやつだもん。そんなこと、ハルでも知っているだろ?」
ハル「・・・・・・」
シュウの言っていることは紛れもない事実で、ハルは何も言い返すことができなかった。
シュウ「もう俺は我慢の限界なんだよ。2年の夏の大会、スタメンを外された日、すごく悔しくて誰よりも練習をしたのに。あの監督はいったい何を考えているのかわからない。もう、あの監督とはかかわりたくないんだよ。」
シュウはすごく意気消沈したほどの低い声で話した。
ハルは何も返してあげることができなかった。そしてシュウは走って行ってしまった。ハルはシュウを追うことができなかった。ただただ、走る姿を見つめていた。
ー----トウイン中・校内ー----
ササキは大きな足音を立て、ぶつぶつ言いながら監督室に向かっていた。その表情には焦りと、怒りが混じっていた。そして、監督室のドアを力強く開くと、
ササキ「監督!!!」
ササキは声を荒らげ、監督に詰め寄る。
ササキ「さっきの理由は全く理にかなっていません。きちんとした理由を話にもらいに来ましたよ!」
するとササキを見た監督は、
監督「お前たちと話すことは何もない。出ていけ。」
監督は冷たく言い放つと、その場から立ち去ろうとする。すると、
ササキ「あなたは、僕たちのチームを壊したいんですか?今チームが勝てないこと。チームの雰囲気が最悪なこと。この状況を引き起こしたのは間違いなく監督がシュウを外したからです。あなたはいったいシュウの何が気に食わないんですか?あれだけ人一倍努力をしているシュウのどこが悪いんですか?あなたの目的はいったい何なんですか?」
ササキの声は監督室を抜け廊下に響くほどすさまじい声だった。
監督「・・・・・・」
監督は何も言わずにその場から去っていった。
納得のいかないササキは監督室にシュウを外した理由がこの監督室にあると考えて、監督室にある書類をくまなく探し始めた。
ササキ「くそ!何かヒントになるものは残っていないのか......。ん?これは!」
ササキは書類を読み漁っていると気になる1枚の紙を見つけた。
ササキ「なんだこれは!?。まさか!!!!!」
ササキはその紙を見て、驚愕の事実を知った。
ー----翌日ー----
翌日ハルが学校に登校すると、いつも自分より早く来ているシュウの姿がなかった。
そして教室に担任が入ってくる。
担任「ホームルームを始めるぞ!席に就け!」
担任の声が聞こえると、生徒は席に就きだす。ハルも荷物を片付け、席に座った。そして担任から驚愕の一言が飛び出した。
担任「とても残念なお知らせだが、昨日をもってシュウはトウイン中を退学した。」
担任のその言葉でクラス中がどよめいた。シュウはクラスの精神的な支柱であり、クラス中のだれもがシュウに絶大な信頼を置いていたのだ。ハルは絶句した。
担任「わたしも理由を聞こうと思ったのだが、シュウは何も言わずに「退学する」としか言わなかったんだ。その後も何とか説得しようとしたんだが、全く話がまとまらなかった。おい!ハル!どこにいくんだ!」
担任の話を聞き、ハルは立ち上がり教室をすごい速さで出て、ABB部棟へ向かっていた。ハルがABB部棟につくと、そこにはササキがいた。
ハル「ササキ!お前も来てたのか!」
ハルの声にササキが反応する。
ササキ「ハルか。シュウはどうした?」
ササキはまだ何も知らされていないようだったので、ハルがササキに説明すると、
ササキ「一足遅かったか...。監督がシュウを外した理由が少しだけわかったんだ。」
ササキはハルに説明する。
ハル「まさか、、、そんなことって!!」
ササキから詳細を聞いたハルは驚愕した。
ササキ「シュウの家は知っているのか?」
ハルに尋ねると、
ハル「それが、シュウの家には誰もいなかったんだ。多分引越しをしてしまっているんだ。でも俺はシュウにそれを伝えたい!もう一度シュウとABBをやりたいんだ。」
ハルの眼はとても潤んでいた。
ササキ「俺も同じ気持ちだ。そこでだな、いい方法を思いついたんだ!」
「俺たちはそれぞれの目標を目指そう!そしていつか、俺たちのそんな姿をシュウにわかってもらえる時が絶対にまた来る!俺たちはこんなところで足踏みをしている場合じゃないんだ!」
ハルはササキの言葉にうなずき、二人はシュウとまたABBをやるため、それぞれの目標へと進んでいった。
第3話をご朗読していただきありがとうございます。
今回はあえて監督の意図を書かずにはぐらかしましたが、こうすることで次回からの話につなげやすくすることができます。なのでもう少々お待ちください。
今回の最大のポイントは何といっても、シュウ君の転校ですね。
そしてこの話がきっかけで、シュウ、ハル、ササキの3人がそれぞれ別の道を歩んでいきます。さらに監督は今後かなり重要な人物になっていきます。今後の展開にもこうご期待!!!
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次回はまた3日後になります。ではごきげんよう。
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ちょっとだけ馴れてきた小説家 Hayato