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8・旅に出ることになっちゃいました!?

…翌朝…


「旅に出る!?」

「そう!私ここに来てから、あまり自由にできてないなって思って!」

「まあ、確かにそう考えてみればそうかもしれないけど・・・召喚者たちのことはどうするの?」

「そこらへんはどうにかしといて!じゃ、行ってくる!」

「え、ちょっとミクナー!?」


翌朝私はフィンセルに旅に出ることを伝え、フィンセルの部屋の窓から飛び出していった。


「さてと、とりあえず今から向かうのは、隣国のエルカムゼってところだから、だいたい3日位でつくかな」


バルバスト王国自体とでも大きいから、移動には結構時間がかかる。

流石に練らずに3日間はきついから、多分森の中で野宿することになる。

それと、森の中で必要な素材を作って、髪の色を変える薬も作っておきたいし。

王国に来た時みたいになったらいやだから・・・


…3日後、エルカムゼ国…


 森の中をのんびり歩きながらようやくエルカムゼ国についた。

今から入国するところだ。


「嬢ちゃんはこの国に何をしに来たんだい?」


 入国管理局の人が私に問いかけてきた。


「少しの間だけ冒険者をしようかなと」


 この世界に来てから冒険者ギルドとか行ってみたかったけど、結局学園に行ったから、まだ行ったことはない。


「冒険者登録はしてるのかい?」

「いいえ、まだしていないので、ここで登録しようと思います」

「そうか、ここで登録するのはあまりよくない」


 管理局の人の表情が険しくなった。


「どうしてですか?」

「それは・・・すまない、私の口から言うことはできないが、絶対にやめておいたほうがいい」

「分かりました」


 あの人多分口止めされてるな。

忠告されたけど、とりあえず今はここしかないので無視しておこう。


…エルカムゼ冒険者ギルド…


 私がギルドに入った瞬間気づいたのだが、周りを見渡してみると、妙なほどに初心者っぽい人が全くいない。

強そうなベテラン冒険者ばっかりがいる。

 なんか妙な気もするけど、とりあえず冒険者登録済ませるか・・・


「すみません、冒険者登録をおお願いしたいんですけど」


 私はカウンターにいた若い男性に話しかける。


「あいよ、とりあえずこの紙にいろいろ書いておくれ」


 と言い渡された紙には、

・名前

・性別

・種族

・職業

の3つの項目を書く欄があった。

 名前か、ステータスに書いてある私の名前はミクナ・フォーシュラットになってるけど、さすがにそのまま書いたらまずいし、そもそも貴族とかじゃないと名字みたいなやつは持ってないらしい。性別は女、種族は人間、職業は・・・学生でいっか。

バルバスト王国では学園に通いながら冒険者としてお金を稼いでる人もいたし。


「これでお願いします」

「はい、確かに受け取りました。では、こちらでレベルの測定をするのでついて来てください」


 え、レベルって図らないといけないの?!

てか、私のレベルなんて気にしたことないけど、今どのくらいなんだろ。


「こちらの魔晶版に手を置いてください」


 私はドキドキしながら手を置いた。

すると・・・


「レベルは・・・1ですね・・・」


 あれ?私ってレベル1なの?

私が使う魔法の威力とか半端ないからレベルも普通じゃないと思ってたけど。

まあ、逆に目立たなくてよくなったからよかったかも。


「では明日、登録試験がありますのでまたギルドにお越しください」


 特に何もなかったけどな・・・

管理局の人はなんであんなに言ってたんだろう?

 とりあえず街を見ようとしてギルドを出ようとしたら、周りの冒険者達が私のことを残念そうな目で見ていた。

 このギルド絶対なにかあるな・・・

 そう思いつつも、今はそんな事を忘れてとりあえず冒険に出るための道具を揃えることにした。

 

…武器屋…


「いらっしゃい!」


 なかなか元気の良い店員さんが迎えてくれた。


「嬢ちゃん、何を探しに来たんだい?」

「冒険に出るための道具をと思って」

「もしかしてここのギルドで冒険者登録したのかい?」

「はい、そうですけど・・・」

「あちゃ〜」


 店員さんが額に手を当て下を向く。


「何か駄目でしたか?」

「いや、駄目ってことはないんだが・・・」


 やっぱりなにかあるんだあそこのギルド。


「嬢ちゃん、明日登録試験があるだろ?」

「はい、それがどうかしましたか?」

「本当はこれを話したらまずいんだが、俺は奴からの賄賂は受け取ってないから話しておく」


 奴!?賄賂!?


「あその子ギルドの登録試験は実技試験で、本来なら教官との1対1の模擬戦で試験が行われるんだが、この国の王子様が気持ち悪いくらいの女好きでね、冒険者登録をしに来た女性の新人冒険者とかを自分の女にしてるんだ」

「どうやって?」

「それがその登録試験なんだ。嬢ちゃん、どうして登録試験だけが次の日に行われるか分かるか?」

「いえ全く」

「なんでかっていうと、その日冒険者登録をした人の情報がすべて王子様のところに行くんだ」


 まあ、それはあまり悪くないと思うけど・・・


「問題はここからだ、王子様はその日のうちに自分が好みの女性をマークして、次の日になったらそのマークされた人の登録試験に自分から相手をして、もし自分が勝ったら自分の女になるっていう条件付きの試合を毎回行うんだ」

「だから、管理局の人もやめておいたほうがいいって言ってたのか!でも、なんで理由を説明してくれなかったんだろ・・・」

「そりゃもちろん、口止めされてるからに決まっている。特に、入国管理局とかの国家関連の仕事をしている奴らは王子様が賄賂を撒いている」

「だから、説明できなかったんだ・・・」

「そういうことだ、だから嬢ちゃんも逃げるなら今のうちだぞ、早めに逃げておかないと王子様が管理局に制限を設けるかもしれない」


 まさかギルドじゃなくて国自体がやばいとは・・・

この国も終わってるかもな・・・


「大丈夫です!腕には自身がありますので!」

「本当か?もしかしたら人生終わるかもしれないんだぞ?」


 まあ、私の人生すでに一度人生終わってるし・・・


「大丈夫です。あと、一つ聞きたいんですけど・・・」

「ん?何だ?」

「あそこのギルド初心者の冒険者達の姿が全く見当たらなかったんですけど、女性はともかく男性も全くいませんでした」

「ああそれはな、登録試験に落ちたやつは全員奴隷になってるんだ」

「奴隷!?」

「ああ、嬢ちゃんもここに来るまでに何度か見かけてるはずだ」


 確かに貴族っぽい人の周りに何人か、ボロボロの人がいたけど、あの人達って奴隷だったのか。

やっぱりこの国終わってるな・・・


「だから最近この国の人口も減ってきてるんだ、多分そう遠くないうちにこの国は滅ぶよ」

「そういうのって昔からなんですか?」

「いや、今の王子になってからだな。だから・・・6年前くらいだと思う」


 結構最近なんだ・・・


「どうするんだ嬢ちゃん、多分嬢ちゃんならマークされるぞ」

「色々教えてくれてありがとうございます。とりあえずきめました」

「決めた?」

「はい、とりあえず明日・・・

その王子、潰しに行ってきます」

「ガハハハ!気に入ったぜ嬢ちゃん!」


 なんか話聞いてるだけでその王子がうざくなってきたから潰すことにした。


「じゃあ、これを持っていきな!」


 そう言うと店員は私に短剣を渡してきた。


「これは・・・?」

「うち一番の短剣だ!実は俺たちもあの王子には色々気に入らないところがあってな、ぜひそれでぶっ潰してきてくれ!」


 ちょっと指が当たってだけで切れるのにとても軽い、これは相当高級なものだろう。


「これって一体いくらするんですか・・・」

「お代はいらねえよ、その代わり必ずあいつを潰してきてくれ!」


 これは絶対期待に答えないとね!


「分かりました!」


 そして私は店を出る。


「まさかこんなに立派な短剣をタダで手に入れることができるとは思ってなかった」


 とりあえず今日の宿を探すか・・・


「前みたいにアレに注意されないように周りを見ながら探そ」


 そして武器屋の隣を見ると宿屋があった。

 ラッキー近くにあったー!


…宿屋…


「すみません、2泊お願いしたいんですけど」

「では、5号室をお使いください。夕食などは当宿でご利用になられますか?」

「いえ、持参してるので大丈夫です」

「分かりました、それでは銀貨2枚です」


 結構高いな、私の店だったら超級ポーション2個も買えちゃうよ。


「はい」

「ではこちらが部屋の鍵となります」


 バルバスト王国とは違って無茶苦茶すんなり入れたな。

やっぱり黒髪って嫌われてるのか・・・

薬作っててよかった。


「とりあえず夕食作るか」


 森で色々採れたから、それを使って夕食を作ることにした。


「まずは・・・」


 森で偶然出会ったくまの肉を、途中で拾ったハーブと一緒に紙で包んで、

そしたらそれを、自分で作った鍋の中に入れてしばらく蒸す。

 蒸してる間にソースを作る。

ラモの実は、レモンみたいに酸っぱい感じの木のみだから、それを細かく切った野菜と混ぜる。

そしたらソースの完成。

 40分くらい蒸したら、鍋から肉を出して、ソースをかけると・・・


「出来た!さっぱりステーキ!」


 ハーブと一緒に蒸した、中が少し赤い肉が、酸っぱいソースと絡んでいい感じになってる!


「やっぱり自分で作るのと学園食は違うな!」


 学園食も美味しかったけど、野菜中心であまり肉が出なかったからな・・・


「とりあえず、これ食べ終わったら寝るか・・・」


…翌日、ギルドにて…


「さてと、武器屋からもらった短剣も持ったし、潰しに行きますか!」


 おそらくミクナは本来の 試験に合格して冒険者になる という目的を忘れている。


「おっ早速別の人の試験が始まってる」


 試験に望んでるのは、魔法師らしき男の人と、ものすごく体の大きい剣士の人がいた。


「あれどっちが、試験官だ?」


 多分魔法使いの人が受験者だと思うけど・・・

魔法師の人はなぜかあまり魔法を使っていない。ずっと一方的に攻撃を受けている。


「そこまで!」


 別の試験官の合図が上がった。

 やっぱり何かおかしい・・・


「次!」


 私の番だ!


「僕が相手をしよう!」


 来たか、この国の王子・・・


「ミクナか・・・」


 さっそく呼び捨てで呼んできた!


「ミクナ、冒険者などやめて、僕の女にならないか?」

「は?」


 もうダイレクトに言ってきたし・・・


「僕の女になれば不自由はなくなるぞ」

「そういうのはいいので早く開始してもらっていいですか」

「では、もしミクナがこの試験に落ちで冒険者になれなかったら私の女になる。その代わりもし受かったら私が一つ言うことを聞こう!」


 自信満々で言ってきた・・・


「分かりました。ではさっさと始めましょう」

「それでは両者、始め!」


 まず、王子がどのくらいのレベルなのか見てから攻撃しよう。


「おや、来ないのかい?なら僕から行かせてもらおう!」


 正面から来た!?馬鹿なのか?

なら、普通に魔法壁で防げるから・・・!?


「っぶな!」


 魔法壁が発動しなくて、危うく右腕持ってかれるところだった・・・


「フフフ、気が付いたか。今このフィールドは魔道具で魔法が使えないようにしてある!」


 それ自分で言うの!?


「じゃあ、まじめに剣で戦うしかないってことね」


 まあ、長引くのも面倒なので早く終わらせるか・・・


「隙だらけだぞ!」


 そう言って、大きく剣を上に振りかぶると・・・


ーパリンッー


 王子の顔で何かが割れて液体が飛び散った。


「なっなんだこれは!」


 動揺する王子、しばらくすると・・・


「・・・!体がっ」


 すると王子が膝から崩れている。


「さすが私特製の麻痺毒。効くのが早いわね」

「麻痺毒だと、貴様!卑怯だぞ!」

「卑怯も何も、ルール上にもないのに勝手に魔法を使えなくさせているあなたたちのほうが卑怯と思うけど?」

「クソがっ」


 いやー一応持ってきてた麻痺毒の小瓶が役に立ってよかったー


「とにかく、あなたは動けませんし、これで私の勝ちですね」

「そこまで!勝者ミクナ!」


 つぶすって言ったけど、やりすぎたら恨まれそうだからね・・・

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