エピソード009 私、魔法使いの弟子になりました2
「次はステータスを確認してみるのじゃ。それによっては今後の教育方針も変わるかもしれんからの」
ステータスは前世のゲームによくある、個人の能力を可視化する魔法とのこと。
ステータス魔法を一度でも適用することで、不明瞭だった能力が固定化し、潜在能力が引き出される……らしい。
「では、自分に意識を向け、【ステータス】と唱えるのじゃ。本来は言葉にせんでもええんじゃが、最初は言葉にすることでよりスムーズに能力を確認できるようになるのじゃ」
「はい……【ステータス】」
むむ、ゲームとか見たことあるような表示がイメージに浮かんできた。
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ルシア [農民]
lv: 1
HP: 40/50 MP:25/25 AP: 2/3
STR: 016(-10) DEF: 001(+139)
MAT: 005 (-4) MND: 007(-6)
SPD: 006 (-5) LUK: 005(-4)
[スキル]
・土いじりlv.1
・加護 (聖環・地)lv.1
・加護 (アーシア)lv.1
[魔法]
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「おお、見えました!……んー?」
「どうしたのじゃ?」
「いえ、なぜかステータスの項目にマイナス補正がかかっているようで……。これって師匠が見れたり出来ますか?」
「ふむ。人のステータスを見るのは本来マナー違反なのじゃが……。わしが見えるように可視化してみるのじゃ。ステータスを板などに書き出すようなイメージでできるはずなのじゃ」
私は前世でやったことのあるVRゲームをイメージして、ステータスを他者が見えるようにしてみた。
うまくイメージできたらしく、私の手の上でステータス画面が抽出されて表示された。
「ふむふむ……。な、何じゃこれは!DEFに異常な程の補正がかかっているのじゃ!」
「あ、そっちですか?」
「ステータスが3桁というのは人族にしてはすごいのじゃぞ?!王都の上位騎士でもステータスに3桁の項目がある者は少ないというのに。わしも武具の効果や良質な装備品を使ってギリギリ3桁に届く程度じゃな」
そうなんだ。
私、異世界転生モノの本でありがちの鑑定スキルの類は持ってないっぽいから、他者との比較ができないんだよね。
それに素のステータスじゃなくて補正値による3桁っぽいし、正直実感が湧かない。
「ふむ、たしかにDEF以外にマイナス補正がかかっておるな。そのせいでSTRとDEF以外は軒並み実質ステータス1か……。お主何かに呪われておるのか?」
「ひぃい!?オバケですか?!聖環の儀式の時のオバケが取り憑いてるんですか!!」
「あ、いや。そう言えばお主は霊的なものは苦手じゃったな。推測するに、おそらく何らかのスキルの効果だと思うのじゃ。にしても加護が2つもついておるのじゃな……スキルの詳細を確認するのじゃ」
私は先程と同じようにスキルの各項目をクリックするようなイメージをしてみた。
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【土いじり】
・地属性のスキル効果が向上する
・パッシブスキル
・スキルレベルが上がると補正倍率増加
【加護(聖環・地)】
・地属性の加護により、装備中はDEF+100
・装備中はスキル【鑑定(自然)】、【聖環結界(地属性)】を使用可能
【鑑定(自然)】
・植物や鉱物、地形に関する詳細を鑑定できる
【聖環結界(地属性)】
・物理および魔法耐性のある障壁を出現させ、一定量防御できる
・スキルレベルが上がると防御量増加
【加護 (アーシア)】
・DEF以外の基礎ステータスが1になるまで一定量低下する
・低下したステータス分DEFを増加する
・パッシブスキル
・スキルレベルが上がると低下量増加
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「これアーシアのせいだ?!」
「「えええ?!」」
あ、まさかのバッドステータスが自分のせいだとわかってアーシアが飛び出てきた。守護神だからある意味本当に取り憑かれてた。
ステータスを減少させて一部のステータスを強化するなんて、ピーキーすぎる……。しかも、強化先がDEF一択とか使いにくい。
それに比べて【聖環・地】の加護の良スキルっぷりよ。
詳細を見た限りでは生物には使えないっぽいけど、私も異世界転生特有の鑑定スキル持ってたよ!
「ふむ。DEFに関して言えば苦労せんの。マイナス補正のせいでカッチカチの一般人みたくなっとるが。補正込みの適正職業は重戦士じゃな。魔法には滅法弱いが」
「あ、あー……でもまぁ私のおかげでDEFは万全だし、結果オーライということで……さらば!」
あ、消えた。
別に責めるつもりはないけど……贅沢を言えばもう少し融通の効く加護スキルであって欲しかった。
せめてアクティブスキルにしてほしい。
「なんというか、強いのか弱いのかよくわからんステータスじゃの……。素のステータスを見ると脳筋……んんっ、戦士向きじゃし。わしの弟子やめる?」
「師匠ー!私を見捨てないで!私魔法使いたいですー!」
「いや冗談じゃが。気を取り直して習得している魔法を見てみるかの。おそらく地属性の初級魔法くらいは覚えとるじゃろう」
私は、ステータス画面を操作して、魔法の欄を表示してみた。
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[魔法]
・【ストーン・バレット】lv.1
・【アース・プロテクト】lv.1
・【ジオ・グラビティ・バインド】lv.1
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「えぇ……。めちゃくちゃじゃ」
そんなに悪いの?!
私は慌てて魔法の詳細を表示して確認した。
【ストーン・バレット】
・消費MP5
・バレット系の中級魔法
・掌で持てるくらいの大きさの石に作用し、打ち出す速度を大きく加速させる
【アース・プロテクト】
・消費MP15
・プロテクト系の中級魔法
・対象の体表面全体を物理強耐性膜で覆う
・地面と接しない場合能力半減
【ジオ・グラビティ・バインド】
・消費MP150
・バインド系の最上位魔法
・強力な重力場の檻を対象の空間に発生させ、動きを拘束する
・拘束時間が長いほど、更に魔力を消費する
「すごいです!中級以上の魔法ばかり覚えています!」
「それはそうなのじゃが……最初に覚えるにしては燃費が悪いのじゃ。しかも唯一の攻撃魔法がバレット系とは」
え、だめなの?
中級だよ?1つは最上位魔法とかチート感あるよ?
「だ、だめでしたか……?」
「う、む。いや……とりあえず試してみるのじゃ」
「わかりました!では、最上位魔法から!」
最初に最上位の魔法の威力を知りたいのは常識だよね!
「ま、待つのじゃ!それは……」
「【ジオ・グラビティ・バインド】……アガガガガっ?!頭痛い!!!」
痛い痛い痛い!頭割れた!絶対割れた!
視界が真っ赤に染まって、目がチカチカする。
「馬鹿者!消費MPの欄をちゃんと見るのじゃ!お主のMPでは到底足りんじゃろうが!!」
そうでした。
私のMPは25、対して【ジオ・グラビティ・バインド】の消費MPは150。全然足りませんでした。発動しない魔法なんて宝の持ち腐れもいいところだ。
やっぱチートできなかった……残念。
「うぅ、すみません師匠……」
「まぁいい経験になったじゃろ。MPが足りないと魔法は発動せんし、その差が大きすぎるとさっきみたいに苦しむことになるのじゃ。じゃからちゃんと魔力管理はするようにな?」
「はい……」
「よし、じゃあ他の魔法を試してみるのじゃ。そうじゃな……プロテクト系から試すのじゃ」
「はい!……【アース・プロテクト】」
あ、魔法をかける対象を選択できるのか。とりあえずは私にかけてみよう。
今度はちゃんと魔法が発動した。薄い服を着たような感覚で、DEFが上がった感じはあまり受けない。
私は自分をコンコンと強めに叩いて、痛みがないのを確認した。
「防御力が上がった気もしますが、よくわかりません」
「まぁ、お主はもともとDEFが高いしな。プロテクト系は地属性特有の防御魔法で、同系統のガード系の魔法よりも使い勝手が良いのじゃ……詳しいことは後で講義するのじゃ。最後にバレット系なのじゃ」
「わかりました。【ストーン・バレット】」
……何も起こらない。またか。
「バレット系は対象を打ち出す魔法じゃなく、打ち出した対象を加速させる魔法なのじゃ。そこらへんの石を投げながら魔法を唱えてみよ」
「なるほどです。じゃあこれで……えい!【ストーン・バレット】、おお!」
今度は石を適当に投げながら魔法を唱えると、投げるときにアシストがかかった感じがして石が高速で飛んでいった。時速120kmくらい出たんじゃないのだろうか。
私が5歳と考えると、すごいんじゃないか?リトルリーグには出れない年齢だけど、仮に参加できたら引っ張りだこだ。
「すごい!すごいです!これはすごい攻撃魔法です!」
「お、おお……。中級魔法にしては燃費も悪くないし、まぁ、喜んでもらえて良かったのじゃ(魔法使いの界隈では投石(笑)と揶揄されているんじゃが)」
MP消費5だしね。今でも5回は魔法を撃てる。
「私、これで魔法使いになれますね!」
「そ、そうじゃな。使う魔法はひとそれぞれなのじゃ。せっかく習得した魔法だからしっかり練習するのじゃ」
「はい!」
魔法使うの楽しい!
もし将来仕事に困ったら魔法使いとして身を立てられるようにしっかり練習しよう。
「では、ルシアの魔法も確認したことじゃし、魔法の基礎講義とするかの」
お疲れ様でした。
楽しんでもらえたらなら幸いです。




