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エピソード間話 ソフィアの神託

気軽に書けるので調子に乗ってたら間話だらけになりました。明日からは本編に戻ります。

 ――時は遡り、聖環の儀式の3日前。


 パンドラム王国の南端、ドラム山脈の中腹に居を構えるソフィア=キャンベルは、今日も研究室でアーティファクトの研究室に没頭していた。


 世間は彼女をこう讃える。


 曰く、『聖環』をこの世に復活させた天才魔法技術者である。


 曰く、複数の魔法属性を用いて、強力無比な複合オリジナル魔法を操る『4色の魔法使い』である。


 曰く、歳を取らず、飾り立てずとも美しく、女の全盛期を生き続ける『不老不死の美女』である。


 曰く、箒で空を駆ける『変人』である。


 他にも数々の呼び名はあるが、その実体は好きな事に没頭し、他を犠牲にするズボラなダメ人間、である。


 薄暗い部屋のあちこちに専門書や論文が堆く積まれ、人1人がギリギリ通れるか否かの隙間しかない。

 寝る場所は部屋の隅に追いやられたソファ、服は山積みにされて一部にキノコが生えている。


 彼女自身もいつか機会があれば片付けたいとは思っているらしいが、その機会を作る気がないのは頭の痛い問題だ。


 そんな彼女にも転機が訪れた。


 ソフィアは自分以外誰も居ないはずの部屋に、突然非常に強い魔力の淀みを感じた。


 ついに魔物の温床になったかの?


 訝しげにその発生源に目をやると、空中に空間の亀裂が出来ており、そこから人らしき足が覗いている。


 ソフィアはその様子を呆然と見ていると、ゆっくりと足だけから腰元、そして上半身が露わになり、どうやらそれは男のようである事は辛うじて分かった。


 というのも輪郭がハッキリしないのだ。


 ソフィアと男らしき者との距離は数メートルも離れていないのに『存在する』事はわかっても、その詳細を認識出来ない。

 まるで浮き出た影のようだ。


 何故か屹立する本の山に触れているはずなのに、本が崩壊する様子もない。


「貴様がソフィア=キャンベルか?」


 人らしきものがソフィアに問う。


「そうじゃが……人に名を聞くならまず自分が名乗ったらどうじゃ?」


 ソフィアは自身の部屋で警戒心を全開にして対応する。

 こんなに気を張り詰めたのは、部屋に生えてるキノコを食べてみて、三日三晩腹痛に悶え苦しんだ時以来だろうか。


 ……少し例えが悪かったかの。


「ふむ。人の子の間には、私の姿は伝承されていないのだな……。ちっ、まぁ良い。私の名はオルフェノス。世界を創造せし神なり」


 その言葉にソフィアは蒼ざめると、本が崩れるのもお構い無しに地に伏せ、閉目する。


 オルフェノス様とは世界の創造神。

 唯一無二の絶対神だ。


 そのお姿を拝見すると目が潰れ、圧倒的な神気により正気を失う、とまで超越した存在としてパンドラム王国が建国する以前から伝えられている。


 既に目にしてしまったような気がするが、わしは大丈夫なのじゃろうか。


「先程は分不相応な態度誠に申し訳御座いません。創造神オルフェノス様のお姿を感じ得る事が出来、尋常ならざる心持で御座いますのじゃ」

「よい。それよりも、私は貴様に神託を授けに来たのだ。一度しか言わんからよく聞け」


「はっ!御言葉、謹んで頂戴仕ります……のじゃ」


「今年の聖環の儀式に神の寵愛を受ける1人の少女が現れる。ソフィア=キャンベル、貴様がその人の子を導き育てよ。さすれば貴様の宿願、いつか果たされる事となろう」


 創造神オルフェノス様はそれだけを伝えると、まるで最初からそこに存在してなかったように気配が失せ、後には崩れた本に埋もれるソフィアのみだった。


 ソフィアは創造神オルフェノス様に賜った神託をかみしめるように何度も復唱し、本を払い除け、そのまま部屋を出ていった。


 向かう先は此処から北西にある教会、最も最寄りの聖環の儀式を執り行う場所であった。


お疲れ様でした。

楽しんでもらえたらなら幸いです。

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