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ep.3

本日更新4話目です。

本日はここまで。次回は明日。

「ねぇねぇ、聞いた?ヴェルデットロ様が、恩人を探しているそうよ。」

「聞いた聞いた!でも、恩人って誰なのかしら?」

「わからないけど、女性らしいわ。私だったりしないかしら……。」

「なぁに言っているのよ、アンタあの方とお話したことすらないじゃない。」



 違いないわ、なんてコロコロと笑い合う女人たちに苦笑しそうになり笑顔を取り繕った。横目にそっと友人を見遣れば、苛立ちを隠そうともしない苦々しい表情であった。完璧主義であり文句のつけようのない優秀で精悍、ついでに女嫌いの友人である次期公爵ベルナルト・マジカ・ヴェルデットロは確かに女性を探していた。友人はただ銀髪の女性を探している、と言っているだけなのでレディ達が言っているのは間違いなのだが。ただ、好いた女を探しているといった熱量はなさそうなので、恩人というのはいい線いっているかもしれないね、などとつらつらと思っていた。行く先々でこんな調子なのだから、ただでさえ女嫌いがすごいこの友人が更に苛立ちを募らせていても不思議ではないのだ。ついでに言えば、その怒りの矛先は大抵オレに来るので勘弁願いたいところではある。

 事の発端は、つい先日の魔力暴走がおきたらしき事件の日の翌日である。正確には、問題となっているのは事件が起きた日であるのだが、友人が人探しをしていると公言したのが翌日であるため噂自体は事件の起きた翌日からという訳である。そして、魔力暴走が起きたらしいというのは、不可解な点が多々あるからである。

 魔力暴走とは、その名の通り自身の身に宿す魔力が暴走する危険な状態である。魔力暴走がおきたら、初期ならともかく、ほぼ確実に命を落とすほどの恐ろしいものであるのだ。魔力暴走と対になる状態として、魔力枯渇というものもあるが、危険の度合いは断違いだ。問題は、魔力枯渇は気を付けるだけでいいしポーションを飲むだけでいいので対処のしようがあるが、魔力暴走は定期的な健康チェックで確認する他ないということである。そうであるから、友人が魔力暴走を起こすこと自体が不思議でならないこと、魔力暴走を本当に起こしたとしたらこうして歩き話せること自体が不可解であること。


 これらを一気に解決できるのは、ただ一つの方法。



「リュエ、該当する人物は?」

「確認してみたけど、居ないといって過言じゃないよ。だって、ベルだって知っているだろう?銀髪の意味。」

「その上で言っている。」



 友人が探している銀髪の女性。その銀髪は、巫女を意味する。そして、巫女であるのならばこれは色々な意味で問題である。



「念のために聞くけど、本当に銀髪?」

「何度も言うな、誰かに聞かれたら困る。」

「そうだけど、疑っている訳じゃないけどさ。やっぱり、可笑しいよ。」



 巫女は、亡んだ。正確には、滅ぼされたのだ。

 オレ達が生まれる前の話、ちょうど祖父母の世代であるらしいのだが、巫女狩りがあったというのは記憶に新しいことであるらしい。実際、どういう恐ろしい出来事であったのかは祖父母によく聞かされている。オレも一応、伯爵家の人間。それなりに事情は知っておけと叩き込まれたのだ。



「協力者いないと厳しいんじゃないかなぁ、だって次期公爵様や伯爵家でそっと探っても出てこないんだぜ?」

「それであの人に迷惑がかかっても困る。」



 頑固な友人に困ったものだと、オレことリュエ・マジカ・ジエラストロンディは溜息をついたのだった。

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