ep.0
改稿しました。話の大筋は変わってません。追加はしてます。
どうぞ、こちらもよろしくお願いします。
(略称名:里帰りたい!)
ちなみに、七色アンサンブルも投稿中です。七色アンサンブルはしばらくストップして、こちらに集中しますが、七色アンサンブルもどうぞよろしくお願いします。
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シャラン、シャラン……。
まるで静謐な空間に、澄んだ鈴の音が鳴り響く。そこに舞い踊るは、黒い影。静かに静かに、ただ舞うのみ。その手に在る小さな小さな鈴が、綺麗に鳴り響く。その姿は、まるで郷愁を誘うような、美しい舞であった。
ただ、その影が舞うのは、鈴の音を掻き消すような恐ろしい竜巻。その竜巻にそぐわないような、碧を中心とした美しい色合いの、どこか寒々とした光を放っていた。轟々と、辺りを鳴り響く恐ろしい竜巻であった。
そして、その影はそんな恐ろしい竜巻を囲むように舞っていた。その影は謳う。迷いなく、祈るような、祝うような、艶々しいその声で謳っていた。心なしか、影が舞い謳い始めてからはその音はどこか遠くに聞こえている。そして、その光は弱弱しいものとなり、ついには竜巻自体が次第に消えていった。
竜巻は、消えた。竜巻の中心から現れたのは、一人の精悍な男。静かに眠るように宙に浮いて居た男は、静かに静かに地へとその身を横たえた。その男は瞳こそ閉じていたが、苦しそうに呼吸をしていた。まるで、悪夢を観ているかのよう。
影は男に近づく。そして、吸い寄せられるように、ゆっくりと、その男に唇を重ねた。そうして、影は放心したようにその場にぺたりと、座りこんだ。しかし、その顔は満足げなようであった。
突如、鳴り響く足音。影はまるで恐ろしいものを見たかのように震え、慌てて立ち上がると足早にその場を後にした。
その後ろでは、女の悲鳴と焦ったような男の怒号が響いていた。
「さあさあ、皆さん、お立会い!」
「これから始まるは、喜劇か!悲劇か!はたまた、別の物語か!」
「最後まで、お付き合いくださいませ。」
「なぜなら、それを決めるのは皆さんに他ならないのだから!」
「そうでしょう?ねぇ、……。」
次は、12時に投稿します。