ストレス
まりあの日常は劇的に変化した。
家でも、
学校でも、
公園でトレーニングに励んでいる時も、
背中に視線を感じて振り返ることが多くなった。
そこには必ず鏡があって、鏡面の向こうにかがみんが居て、嫌らしくほくそ笑んでいるのだから堪らない。
大人しく背を向けてその場を走り去るしかできないもどかしさが、多大なストレスとして重くのしかかっていた。
纏わりつくような不信感。常に見張られているという疑心暗鬼を振り払えない。まるで、看守の下で管理される囚人のようだ。
端的に言ってしまえば、まりあは恐れていた。
鈴の持つ圧倒的な魔力にではなく、それに屈してしまうことに対して。無謀に任せて再戦した結果、またしても敗北してしまうかも知れない可能性に対して。
完膚なきまでに叩き潰されたその先で、それでもまりあは己の信念を貫き通せるのか。
不安で堪らなかった。
「うああああああああああああっ!」
委縮する心を無理やり奮い立たせ、まりあはがむしゃらに拳を振るい続けた。
わざわざ遠くまで足を運んで魔女を探し出し、相手が仕掛ける攻撃も罠も力任せに突破して、真っ正面から打ち倒す。
体中に生傷が絶えなくなろうとも、ただひたすらに突撃からの正面突破を敢行し、必死で意地を張り続けた。
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