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第83話:東方事変5

 街道を封鎖する賊徒おそらくは東国ドライセンのいずこかの兵を討ち果たすために、イシュタルト王国王室の養女アイラ・イシュタルトは、彼女を護衛する影の者「ナイト・ウルフ」として身分を隠し、姉の護衛である近衛メイドのエイプリル・スティングレイとともに道案内の村人を一人連れて村東部にある賊徒の野営地を目指して出発した。

 森は魔物も棲む危険な場所で、土地勘の無い者が2名では無事に通り抜けることも難しいため、普段村で樵と猟師をやっているというガウデンツィオという中年男性を道案内に立ててのわずか3名での行軍は、3m近い巨体のナイト・ウルフの威容もあるため目立つかと思われたが、大方の村人の予想に反して森の中の魔物や動物たちからも発見されることなく森を直進していた。


 先頭を歩くエイプリルは苛立っていた。

 彼女の脳裏に浮かぶのはつい先日まで城で同じ侍女部屋に住み、簒奪侯ではない正統なるオケアノス侯爵と認められたアクアの身の回りの世話のために苦慮しているサークラを共に支えてきた先輩ことハイデマリー・ローゼマリー・リープクネヒトの姿だ。

 アクアは、幼少時の悲劇的な出来事に心を閉ざし、しかし母となり子を胸に抱いた時から徐々に心も体も成長をはじめ、年齢の割には幼いものの、外見も15~6歳に見える程度には成長し、精神もやや平衡は欠いているものの、子を心配する母としてそれなりに育っていた。

 とはいうものの実年齢が36で子どもは20になっていると聞けば、何も知らない人は顔を顰めるか、若さの秘訣を聞きたがるだろう、聞いたところで実際に実践できる人はいないだろうが・・・。


 そんなアクア(被軟禁暦約32年)の世話を共にしてきたサークラ、エイプリル、ハイデマリーの3人はいわば戦友であった。

 彼女たちは主従ではあったが、同時に年の近い乙女同士で気質も合い、短い期間とはいえ一日のそれなりに長い時間をアクアの世話に心を砕き合い顔を向き合わせてきたので、お互いが信頼できる仲間だった。

 国王ジークハルトから直々に、今後もエイプリル、ハイデマリーともにオケアノスであるアクアと次代のオケアノスの母となるサークラに仕えないか?と問われた時、二人は迷うことなく是と答えたのだ。

 それが・・・街道を封鎖する少なくとも60人程度の規模の賊、盗賊野盗の類が20人を超える大所帯となることはほぼないため、賊がこのあたりの村出身というのでなければ、アイラ姫からもたらされた国境侵犯の報もあわせて考えて十中八九ドライセンの兵であると、エイプリルは確信した。


 そんな卑怯な戦い方を仕掛けてきた連中のために、彼女はかけがえのない同士を失ったのだと、喪失感と怒りの狭間で葛藤していたのだ。


------

(エイプリル視点)

 村を出て3分ほど経った。

 私が戦闘を歩き、地元民のガウデンツィオ氏が進路を示し、姫殿下の護衛ナイト・ウルフさん(階級は存在しないらしい)が殿を務めてくれている。

 彼女、ナイト・ウルフさんは姫殿下の護衛を勤めるだけあって女性らしいが、私のものよりも遥かに巨大なセイバー装備に包まれた彼女の声はくぐもっていて、性別がわからない。

 女性といわれれば女性に聞こえるし、若い男性といわれればそれを信じられる程度だ。


 とにかく彼女、が言うには現在私たちには隠密性を高める魔法を発動させているらしく、その効果なのか私も量産型セイバー装備を着ているし、彼女も大型の専用鎧を装備しているのに、魔物も肉食の動物も寄ってこない。

 移動については私と彼女は魔力が尽きない限り疲れを知らないに等しい状態なので余裕があるが、ガウデンツィオ氏の体力がわれわれの移動速度を左右するくらいで、アクア様のお世話を始めてしばらく経った頃にアイラ姫殿下に呼び出されて、面談と何かの測定をしたと思ったら、翌週にはセイバー装備が用意されていた。

 セイバー装備はアイラ姫様らが主導となって開発した新型の鎧で、かなりの重量を誇る全身鎧だ。

 私が着込んでいるものも私の身長よりもはるかに大きいし、鎧ではあるが体の表面を包み込み守る様なものではなく、鎧同士が完全に接続されていて外骨格で体を支えた様な状態になる。

 私たち装着者は、まるで鎧の重量を感じることもなく馬にでも乗っているみたいに、体の延長の様に鎧を動かすことができる。

 しかし実際には厚さ4cmを超える魔鉄の装甲に覆われ、さらに内部には最新の魔法陣技術が施されており魔力を流すだけで対魔法、物理防御を高めることができる。

 専用の大剣も生身の時なら持ち上げることもできない様な超重量級の一品だが、これも棒切れでも持つみたいに軽く感じる様になる。


 私が軍官学校を卒業した頃にも数名の成績優秀かつ、人柄にも優れているとされる同級生たちが数名城に呼び出されてから、卒業後この鎧を拝領していて、とてもうらやましく思ったものだったが、まさかサークラ様の護衛となるために拝領できるとは思っていなかったので先日セイバーを拝領したときには、小躍りしたくなるのを抑えるのに必死だった。

 先輩も一緒になって喜んでくれて・・・。


 先輩の顔を思い浮かべた途端に胸を締め付ける様な痛みを感じる。

(だめだ・・・今その感情を思い出しては・・・。)

 姫殿下はおっしゃったのだ。

 憎しみでも悲しみでもなく、仇討ちや人憎しでもなく、私はただ己の役割を果たすのだと

 そうでなくては、国のため、役目という大儀名分がなければ私がやろうとしたことはただの人殺しだ。

 やつらが使った毒は、痺れと出血を強いるもので治癒術士がいれば死には至らないものだった。

 しかし今回の同行者の中で唯一中級以上の解毒魔法を使えるのが先輩であったことが先輩の不幸だった。


 先輩はアクア様を庇って毒矢を受けた。

 口を動かすこともできず、自分で治癒や解毒を詠唱できないままで、先輩以外にも下級治癒魔法ならば使える者もいたので皆で総出で先輩を延命していたが、先輩からは徐々に血の気が失われていった。

 最後に先輩は周りの、ほかのけが人を震える手で指さしてから目を瞑った。

 まだ生きているのに、自分がきっと一番苦しいはずなのに、回りの助かる人たちから助けろと私たちを突き放したのだ。

 結果的に人数が最低限残っているから、今日まで持ちこたえることができた。

 それでも村の子どもを含む何人かの犠牲が出て・・・悲しみに押しつぶされそうになりながらも、私は先輩の分までアクア様とサークラ様をお守りしなければならなかった。

 そして今日ようやく新たな戦力を得て、連中を斃す機会を得た時私は歓喜した。

 私はセイバー装備を持っている、あんな雑兵など猫の背中でもなでる様に解体してやる、そう思った時に姫殿下はおっしゃったのだ。

 泣かないで、役割を果たしてほしいと。


 つまるところは、私の手が汚れることを厭うて下さったのだ。

 姫殿下も軍官学校に通っているので教わったのだろう。

 聖母教では殺人は禁じられているが、自ら命を守ることのためならばその限りではない。

 しかし仇討ち、復讐の類は認められていない。

 ならば戦争はどうか?

 戦争は国家同士が生き残りをかけて戦うことで、この中では一個人の殺人は勘定されないとされる。

 軍人がその任務において行う限り、それは殺人ではなく任務であるのだ。

 そこには敵憎しの感情は存在してはならず。

 復讐や、私怨のために敵を殺したときそれは戦争ではなく殺人に変わり、その血で汚れた手が必ず将来自分の心を蝕むのだと、だから今先輩のことを思い出すのはいけないことだ。

 私は姫殿下におおせつかった通りに威圧し、戦闘が始まれば後方の確認とガウデンツィオ氏の安全の確保に努める。

 それが正しいことのはずなのだから。


 私は努めて普段の通り、明るく少しお調子者のエイプリルとして


------

(アイラ視点)

 久しぶりのナイト・ウルフ姿で森の中を歩く、ボクの前には道案内の村人ガウデンツィオ氏が、そしてその前にはサークラの近衛メイドをやってくれているエイプリル・スティングレイ少尉がガウデンツィオ氏の指示を仰ぎながら進路を決めている。

 ガウデンツィオ氏は冷静な樵で、猟師らしい。

 頑丈な造りの鉄斧を1つ腰に、右の腿に短弓、左の腿に矢筒をつけている。

 右手には現在枝打ち用の鉈を持っているけれど、先頭を歩く少尉が道を均しているので今は役目を果たしていない。


 現在のところ3人の行軍は順調で、魔物も動物もこちらに気づいていないし、気づいたとしても自分たちよりも体の大きいものをわざわざ狙ったりはそうそうしないだろう。

 理性はなくとも多少の知性はあるのだ。

 そしてガウデンツィオ氏はこの森に慣れており、賊徒が野営するならどのあたりかという目星もすでにつけているらしく、ボクたちはほとんどまっすぐ森の中を進んでいた。


 つい先ほどまで苛立ちや焦りといった。

 落ち着かない感情を見せていた少尉は、まだ少し心を落ち着かせるのに意識を割いている様だが、それでも先ほどまでの様に激情に支配されていないので、その背中を安心して追いかけていられる。

 リープクネヒト少尉のことは残念だったけれど、そのことでスティングレイ少尉にまで罪業を背負わせたいわけではない。

 徐々に自分が殺人それしか機能がない様に思えてくるあの感覚は怖い。

 あれが罪の意識なのか、感覚の麻痺なのかはわからないけれど、それを理解してしまう頃には、もう人とは呼べないものに成り果てているだろう。


 そんなことを考えていた時だ。

 ギェェェェェェウ!

 まだ見えないけれど、森のもう少し奥のほうで、竜の咆哮の様なけたたましい声が聞こえた。

 進路からは少しずれている様だけれど・・・そちらの気配を探ってみる。

 森の中は魔物も動物も数が多いので気配は交じり合って不鮮明であるが、おそらく人と思わしき気迫の様なものが、少なくとも10以上は感じられる。

 進路から少しだけ北方向にずれているが、おそらく賊徒たちが何かと戦っていると見て間違いないだろう。


「少し待って、今の声は聞こえたかな?」

 ボクがなるべく低い声でたずねると、指示を仰ぐ様に、二人がこちらを向く。

「聞こえました。たぶんタイラントフェイスかなにかだと・・・。」

「少尉さんはタイラントフェイスをご存知なのですか?」

 少尉とガウデンツィオ氏がどうも共通の見解に至っている様だ。

「はい、自分はネレース市のやや北の方の出身なので・・・あの辺りにも生息してるんですよ」

 と、ボクにはわからない魔物か動物の名前で盛り上がっている。


「失礼、その、タイラントフェイスというのは?」

 少し申し訳なく思いながらも、任務中なので二人の会話に割ってはいる。

 すると2人でうなずきあった後ガウデンツィオ氏が答える。

「オケアノス領中央部より北の森の中によく生息している鳥の仲間です。魔物ではないかともいわれていましたが何百年も前の王様が魔物ではなく動物だとお決めになられ、いわれてみれば確かにほかの魔物や人間を生殖目的で襲っているところはこれまで見られていないためそうなんだろうと、伝わっています。」

「すごく大きな鳥です。ウルフさんのセイバー装備くらいの高さがありますね。それと大変賢く、肉食で他の動物や魔物を襲いますが、基本的に反撃してくる相手は狙わないのと、子どもをたくさんつれているものを襲う様にする特徴があります。根絶やしにすると未来に困ることがわかってるみたいです。」

 続けてその大きさと賢さを少尉が語る。


 なるほど、それだけ大きくてさらに賢いとなると厄介そうだ。

「後はそうですね、10羽未満の群れで行動していますが、食事の時は群れを半分くらいに分けることが多いです。8匹も獲物をとると餌の群れが全滅しかねないからなんでしょうね、さっきの声は警戒する時の声で、群が集まるための合図です。ただまぁ、連中にケンカを売る生き物なんてそうそうおりませんので聞くことがあるのは子育て中か、今は子育ての時期じゃあないので血縁関係の薄い群れと接触したとかでしょうね、怪我を嫌うやつらなのでよっぽどのことがなければ人にも危害は加えませんよ。」

 とガウデンツィオ氏は自慢げに語った。


「ですがどうやら賊徒どもが、その鳥にケンカを仕掛けた様です。声のしたほうに10人からの人の気配があります、あちらに1km以内で村はありますかね」

 そういって声と気配の方角を大剣で指し示すと、ガウデンツィオ氏は少し考えた上で首を横に振る。

 どうやらそんな近くに村はないらしい。


「その方向だと、歩いて2日くらいかかるところにしか村はないですね。道もないので直接いったことはありませんが・・・」

「おそらく決まりですね。勝手に自滅したということでしょうか?」

 賊徒たちの勝利はないとばかりに少尉が落胆した声で意見を述べる。

「それでも連中がドライラントの人間という証拠がほしいので、回収には行かないといけないね。」

 ボクがそう告げると、二人はそちらに進路を取った。

 そしてさらに5分ほど経って・・・。


「ウルフさん、見えました。」

「こちらも確認した。」

 森の中で、少し背の高い樹木が群生していて、薄暗いものの視界は比較的開けている場所に、その光景はあった。


 そこには気配の通り、10人以上の賊徒がいた。

 格好は一見統一性がなく、ひげが生え、不衛生にしている賊徒そのものだが、よくよく見ればそのレザー製の鎧は同一の装備を色を変えたり、アクセサリを追加したりしたものだとわかる。

 問題は・・・

「しかしほとんど生き残っていませんね?」

 そう、ガウデンツィオ氏の言うとおり、賊徒たちはその場に30人くらいはいるというのに、立っているのはわずかに3名だった。

 短い槍を2本もった男に、皮の盾と幅広い剣を持った男、それに折れた剣を持って大木に背をもたれる様にしておびえている男が一人。

 他はすべて大地に倒れ伏していた。


 鳥の方は2羽が首から血を流して横たわっているものの、まだ息はある様だ。

 全部で7羽居り、3羽が3人と相対する様にしており、2羽は傷ついた2羽を守るために2羽と3羽との間に立って守っている様だ。

 なるほど相当に賢いし、仲間想いの鳥らしい。

 これだけかしこければ傷を癒してやれば敵ではないと思ってくれないだろうか?難しいかな・・・?

「少尉、あの鳥は通常人には害を成さないという話しだったね?私はあの2羽の傷を治したいと思うのだけれど近づかせてもらえると思う?」

 幸いまだどちらもこちらの存在には気づいていない。

 いまならば加速状態で動けば後ろから回り込んで治癒をかけることは可能だろう。

 そこそこ大きなケガの様だけれど、命の別状がない程度に治癒することはできるはずだ。

 ケガをすることを厭う性質ということなので、逃げられる状態にしてやれば逃げるのではないかと思うのだ。


「ウルフさんは治癒魔法もお使いになられるのですか?あぁはい、ウルフさんの隠密魔法なら十分に近寄れるかと、ただ一度興奮しているので、治癒してやっても逃げるかどうかはわかりませんよ?」

 一瞬意外そうに質問で返してきた少尉だけれど、すぐに気を取り直して、ボクの質問に意図まで解釈した上で返答する。

「そのときはかわいそうだけれど、全滅させることになるかな?とりあえず生きている捕虜を取りたい。」

 そういってまだ生きている兵士たちを指差すが、彼らもあの様子ではそう長くは持たないだろう。

 そしてあの鳥はこのあたりの生態系の頂点らしいので、間引きすぎるといろいろ大変なことになりそうだから可能ならば放置したい。

「やってみる分にはかまわないかと、ウルフさんなら、つつかれても死にはしないでしょうし。」

「私も村のものとしては、あの鳥は生き残ってくれていたほうが、猪や鹿の数を抑制してくれるので助かります。」

 二人も一応賛同してくれるらしい。

 それだけあの鳥が信頼できる動物ということだろう。


「ではやってみます、二人はこのあたりで身を守っていてください。」

 そういってボクは加速状態で後ろから回り込む、カバーに入っている2羽も正面の3人の生き残りのほうに集中しているためボクの接近に気づかない。

 傷ついているうちの片方に後ろから手・・・というか鎧の腕部分を当てて下級治癒魔法をかける。

 突然後ろから触られて驚いた様子を見せたが、鳴き声をあげるだけの余裕がない様で少しばたついたものの、治癒魔法をかけ始めると傷が治るのがわかったのかおとなしくなった。

 10秒ほどかけてやると、完全にきれいにとは言わないが出血は止まり幸い剣で切りつけられただけの傷は血管と気道は傷つけていたものの、治癒でふさげる程度のものだった様だ。

 傷をふさいだあとは足りていない血を増やすために増血と呼ばれる新陳代謝を促進する魔法と、サプライを併用して少しでも体力を回復してくれる様にと処置した。

 鳥は傷が治ったことに驚いた様だったが、なにやら放心しているので、もう一羽のほうへ・・・。

 こちらはもっと程度の低いケガであったがおそらく先にケガをしたのだろう、傷は浅いのに憔悴していた。


 治癒魔法をかけながら、そういえばと鑑定を試すが、鳥は鑑定できない。

 二人の話の通り魔物ではなく動物なのだろう。

 それから増血とサプライもかけてやると、次第に元気が出てきたのか嘴を開閉してカタカタと音をさせ始めた。

 喜んでいるのかと思い油断してしまったボクは、しかしすぐに自分の周りの木漏れ日がなくなったことに気付いた。

 後ろを振り替え(ガン!)



「うわ!?」

 ナイト・ウルフ越しにものすごく大きな打撃音と、軽い衝撃が伝わってきてボクはおどろきの声を上げた。

 ちょっと演技の声を出せていなかったかもしれない。

 いや、ダメージはまったくないんだけれど、驚いてしまった。


 せっかく2羽癒したのに、カバーに入っていた2羽から攻撃をもらうなんて・・・。

 最初に放心していた鳥はいつのまにか立ち上がっていて、鳥だけに取り成す様に謎の踊りを踊りながら嘴をカスタネットの様にして音を立てている。

 2羽目のほうも同じ様に嘴を開閉させながら首を上下させている。

 しかしカバーに入っていた2羽は、すでに興奮状態になっているのか、ボク目掛けて嘴を打ちつけてきたり、キックを狙ってくる。

 どうしたものか、今後ろの2羽を治療して、後ろの2羽は心を開くといわないまでもこちらに攻撃はしてこないのだけれど、ここでこのままカバーの2羽を捌いていたらそのうち興奮して攻撃に加わったりするかもしれない、カバーの二匹を斬り捨てるのも論外だ。

 それをするならあちらの3羽もあわせて相手取ることになるだろう。

 殺すのは簡単なのだけれど、折角治したものを殺すのもしのびない。

 ガツン!

 どうしたものかと考えながらカバーの2羽の攻撃を捌いていると、次の衝撃がボクを襲った。


「ちょっまさか!?」

 あわてて振り返ると、2番目に治療してあげた鳥が立ち上がりボクを後ろから蹴りつけていた。

 バランスを崩したボクは3羽の鳥から突かれる。

 正面から顔を見るとなんかちょっと嘴を長くして厳つさを2割増ししたハシビロコウみたいなお顔で、尚且つその体格はナイト・ウルフよりも背が高いのでかなりの圧迫感がある。

 幸いダメージは通らないし、音と圧迫感が怖いくらいだけれど、どうしようか?と悩んでいるとさらに驚きの展開がボクを襲った。

 ガン!ガン!


 後ろ側、音はするのに、ボクの腕鎧にも兜にも衝撃がない。

 そしてすぐに音がしなくなる。

 振り返ると、カバーの二羽がおとなしくなっていて、そこにはボクとの間に立ちふさがる様に、石斧を持った大柄な人影があった。

 

連日暑いですね・・・。

ふへへへへぇぇぇぇぇん、あちゅいーって泣いてる幼子はどこかにいないでしょうか?

子どもって暑いのとか平気で遊んでるのに、気がついたら脱水症状直前だったりしそうで怖いです。

石斧持った???さんの活躍は次回です。

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