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第66話:神話の残骸

 その日突然王都を襲った魔物の噂は瞬く間に広がった。

 ただ、王都内の出来事なのに目撃者が少なかったことや、空から落ちてきた黒い影の目撃証言から、飛行型魔物が落下して迷い込んだのだろうと噂はまとまり、ヒトが化け物になったことや、ソレを黒い鎧が倒したという話は広まらなかった。


 ブリミールによる犠牲者は実質それなりの人数居る。

 この日に新たに出た被害はヤジウマ女が1人とパニックを起こして逃げていた男が1人転倒、その際他のヤジウマに踏みつけられて死亡したがだけだったが公式に魔物の襲来による犠牲者は7名とされた。

 ブリミールにより攫われて殺害された人間のうち損壊が動物に噛まれた様になっていた一部を含めたためだ。


 人々はしばらく空を気にしていたものの、3日もするとまぁたまには魔物が迷い込むこともあるのだろうと、日常の暮らしに戻っていった。


------

(アイラ視点)

 ブリミールを殺した。

 いや、そもそもアレはもうブリミールじゃなかった気もするけれど、ボクがアレを殺した。

 先ほどまで黒い人型獣、ついでキメラ、多数の生物的特徴を示していた化け物が居た場所には、ブリミールと数名の女性の遺体が転がっている。

 おそらくはここのところ行方不明になってしまっていた女性たちなのだろうけれど・・・。


 フィサリスはいつの間にか姿を消していて、ボクも今のままでは取り繕うのが面倒なので姿を消すことにした。

 跳躍を使い上空に退避し、ナイト・ウルフによる武装を解除する。

 そうして、アイラに戻ったボクは上空に待機少しの間、現場の様子を見て、兵士たちが遺体も気を失った女性たちも運び出すのを見届ける。

 見る限りすべての保護対象は無事兵士に保護されて軍施設の夜勤用兵舎に運びこまれている。

 距離が近いからひとまずそこを選んだのだろう。


 っと、フィサリスを探さないと・・・、フィサリスにはまだボクが預けていたマーカー用光弾の残滓が残っているので、大体の場所はわかる。

 今は再び市場に戻っている。

 市場の・・・あぁいた。

 いたけれど何であんなところに・・・?


 ホーリーウッド邸の方面ではない、それにやけに急いでいる?

 何かを追いかけているのだろうか?

 いや違うな、後ろをナガトさんとハンゾウさんらしき例の二人の男がピッタリと追いかけている。

 どうも二人は、ブリミールの顛末を見届けたあと、独断でフィサリスを追うことを決めた様だ。

 どうしようか?アイラとして二人の前に出て行って追跡をやめさせることは・・・できないね、アイラが追跡中の二人のことを知っているのはおかしいし、あの二人は現在変装している。


 っとフィサリスの動きが変わった。

 フィサリスは急に思いついた様に反転すると今度は追跡する二人のほうへ歩き出す。

 距離を開かずに尾行していた二人は急に反転した少女に合わせてすぐに方向転換するわけには行かず。

 わずかに時間を空けて追跡を再開したが、その隙にフィサリスは果物屋の横の路地に入ると人の視線がないことだけ確認したのか屋根の上にジャンプした。

 その視線のない間にボクはフィサリスの元に跳躍し、それから今度はすぐ様ホーリーウッド邸の自室に跳躍する。


「助かりましたアイラさん、あの二人かなりの手練ですね、私が男性の追跡者を撒けないだなんて今日は突発的な追跡だったので視線を切れましたが、私対策を用意されれば難しいかもしれません」

 そういって自身をなくしたとばかりに肩をすくめてフィサリスは笑った。

「フィーお疲れ様、ごめんね、男の人苦手なのに、今日はたくさん視線を浴びさせてしまったね。」

 肩を撫でながらねぎらいの言葉をかけるとフィサリスは意外そうに目をパチクリさせる。


「慣れているのでお気になさらずとも良いんですが、アイラさんご存知だったのですか?私がその、男性が苦手なこと・・・。」

 そういえば本人から直接聞いたことは無かったか?

 ボクが彼女の視線や、他の人間への態度から勝手に軽度の男性嫌悪と判断しているけれど、ソレは前周のアイリスやアンリエットの挙動と似た部分を感じ取ったからだ。

 アイリスは前周での母の死に関わる事件から、アンリエットは男たちに羽交い絞めにされ辱められる直前まで行った経験から知らない男性がダメになっていた。


 戦士としての心構えを持っているフィサリスは露骨に目で追いかけたりはしないけれど、気配を探る糸とでもいうのだろうか、そういう武芸をやっているからこそわかる感覚の部分で、男性を強く警戒しているのがわかった。


「まぁなんとなくね?でもトーレスやユーリのことは平気そうにしてたよね?」

「あのお二人はそれぞれ視線の向き方が私の苦手なそれとは違いますからね。」

 そういいながら自分の胸をなでるフィサリス、その手つきについつい目がそのふくよかな胸に吸い寄せられる・・・。

 ボクも、あんなに大きくとは言わないけれど、今生ではせめて平常時でも強度Cくらいの胸があれば、市井に売られている肖像画の嵩増しされた胸をみて悔しい思いをすることも無いだろうに・・・。

 国母が貧乳というのはイメージと違ったらしい。

 ボクは妊娠、授乳期間でもC程度しかなかったから悔しい思いをすることもたまにはあったよね・・・「アイラ様とアイリス様良くにててわからないよ」「おっぱいのあるほうがアイリス様、ないのがアイラ様だよ」「え?アイラ様って男のひとなの?」「ちがうよ、アイラ様は特別な方だからおっぱいはないけど、女のひとなんだよ!」

 なんてことを市井の子どもが言ってるのを聞いた時のあのいたたまれなさをボクは今生でも忘れていない。


 アイリスと胸の大きさが変わってしまったのはたぶん、ボクがまだ成長期を終えていないのにユーリとの間にリリを授かったからだ。

 一応身長も体重も大きくなり続けはしたけれど、最終的な身長や胸の大きさはアイリスとはだいぶ離れてしまった。

 なので今生ではもう2~3年は辛抱して、最初の子どもは、やっぱり女の子がいいな、1姫2太郎って言うし、先に女の子を授かれば、あとあと子どもの面倒とかも見てくれると思うし、まぁ子どもが見なくても乳母が見てくれはするんだろうけれど、あぁでもでもやっぱりあぁいうのって雰囲気だからそういう空気になったら・・・

「・・・ラさん・・アイラさん・・・?」


「ふぇ!?あぁ・・・ごめんなんだったっけ・・・?」

 穏やかな慈母のまなざしでフィサリスがボクの頭をなでながら呼びかけている。

 そうだ話の途中だった。


「牛の乳を飲むと良いらしいですよ?」

 龍の島にもあるのかその思想・・・


---


 ややあって、今後の方針を話し合うことにした。

「とりあえず、隠密の人たちにはフィーとナイト・ウルフのことは追いかけさせない様にするね、陛下にお願いしてナイト・ウルフは今後ボクについている影の護衛ということにしてもらう、フィーのことは・・どうしようか?あんなのが出てきたから、出来れば陛下にはフィーのことも話す許可が得られたら良いのだけれど・・・っていうかアレなんだったの?」

 魔物に寄生された人や血の濃い亜人が魔王となることがあるのは前周でも確認している。

 しかしアレはどう見てもブリミールが魔物になっていた。

 しかも前半はガルムにも雰囲気が似ていた。

 後半はもっと禍々しい何かのキメラだったけれど・・・。


「そう、ですね・・・アレが悪さをした以上お話するべきなのかもしれませんが、私は一度龍の島に帰ることになると思います。ドラグーンの現存については、ドラゴニュートの私の独断では話すことは出来ないことなので、1週間ほどお待ちいただけると・・・その前に話せる内容をお伝えしますね。」

「話せる内容というのはジークに?」

「いいえ周回者であるアイラさんにお伝えできることです。実物を見られたわけですのでお伝えすることが出来ます。」

 ジークに話せることはほとんど無いらしい、なんといって納得させたものか。


「まず先ほどの現象ですが、人は心の中にいびつな欲望を溜め込んだりすることがあります、そういった人が欲望を満たすために理性的でない行いをすることがあります。そういった行為に走らせるさがを獣性とよびます。」

「獣性・・・」

 単に欲望に忠実で理性的でないということか?それならたまにいるよね?ポピラーとかゲゼルとかセルゲイ、ゲイルズィ、ゲイズシィ、クロト、エイブラハム・・・枚挙に暇が無い。


「そしてそういったものの獣性を高めて完全にケモノにしてしまえるものがこの世界には存在します。それがアイラさんもご覧になったあの羽虫です。」

 急に冷たい目つきになるフィサリス、よっぽどその羽虫のことが嫌いなんだね・・・?

「あのちょっと気持ち悪い人型に近い形をした奴ですね?」

「やはりはっきり見えていたのですね、こちらに殴り返してくださったので、逃がさずにすみました。ありがとうございます。結局私の不手際のせいで、あの様な結末になってしまいました力不足で申し訳ありませんでした。アレはグリーデザイアという神話からも名前を消された種族です。アレの王はもともとわれわれの王である龍王様や、騎士王、処女王と並ぶほど重要な要素を担っていましたが、許されざる造反のため存在自体を隠すことになりました。かといって罪を犯していないものまで絶滅させるのも哀れだと、同じく唆される形で造反したアンヘル族に恩赦代わりに監視の役目を与えて、アンヘル大陸に封じこれまで1万年ほど放置してきました。」

 一万年という期間、ケモノという呼称に引っかかる。

 それってつまり・・・


「アイラさんは察しが良いですね、アイラさんが想像する通りグリーデザイアが犯した造反というのは地平灼く千頭山羊ネクレスコラプス疾く死を運ぶ八脚馬アハトバイン災禍纏う凶鳥カラミティフェーン曇天覆う白蝶オーバーレイ輝きに沈む徒花フォーリングラブ眠りと業の宮ラストガーデン、これらの現在地上のヒトが大陸の獣と呼ぶアシハラを除く6つ・・・・・・・・・の大陸でほぼ同時に連中が引き起こした別々の騒乱のことです。」

「大陸の獣・・・やっぱりそういう魔物が居たわけではなくって、騒乱、事件の類なの・・・?」

 前周でクレアや帝国の研究者たちは、民族蜂起かなにかだと推定していたけれど・・・。


「アイラさん、今日、ブリミールはどう・・なりましたか?」

 ドキリとする、ブリミールは物言わぬ死体となった。

 ボクが殺した・・・、けれどその前に・・・

「ケモノになった・・・?」

 それも一度は起源獣だといわれるガルムの様な姿になってそのあとキメラ状の生物になった。


「そう、連中は他種族の獣性を操り高めることが出来る。最初は唆して獣性を高め、ある程度以上になるとケモノに変化させることが出来る状態になります。ソレが終わると次は同化という手順を踏んで、ケモノ化した者の体を操ることが出来る様になる、彼らはそもそも理性のない生物に寄生する生き物でしたので、理性を失わせたものに取り付けるというわけです。」

「ではすでにブリミールは・・・?」

 寄生されていたということはもう理性をなくした何かに成り下がっていたのか?


「いいえ、今日の時点でブリミールは同化されていませんでした。まだ寄り付かれ唆されている状態ですね、ブリミールが変化した黒いケモノはまだヒトの形を残していましたから、ブリミールは最後には自分の意思で決定して罪を重ねていたということになります。ですから、アイラさんがブリミールのことを気に病む必要はありません。あれは咎人です。」

「じゃあ最後のあのいろいろな動物を合わせた様なものは?」

 ボクがたずねると、ソレまでスムーズに応えてくれていたフィサリスが言葉を詰まらせ、気まずそうな顔をする。


「あれは・・・すみません、私の独断では説明できかねる内容です。ただあれこそがグリーデザイアが神話からすら取り除かれる原因になった力です」

「龍の巣から戻れば答えは教えて貰えるかも知れないんだね?」

 フィサリスが悪いわけじゃない、知っていても教えられないことがある、ソレはしょうがないことだ。


「それじゃあもうひとつ、アシハラは暗黒大陸のことだよね?それ以外の6つって?」

 ボクが知っている範囲では、大陸は6つだといわれている、それはアシハラを合わせて6つだ。

「グリーデザイア族の造反によりその存在の証拠となりうる大陸がひとつ海に沈みました。場所はアンヘル大陸が一番近いです。」

 答えられる情報は淡々とくれる、その表情からは読み取れるものは少ないけれど、一つだけわかる。

 フィサリスは気にしすぎている。

 ブリミールをケモノ化させてしまったことを、その後のあのキメラを発生させてしまったことも・・・、ボクにブリミールを殺させてしまったことも・・・。

 たまらないな・・・女の子にそういう無表情をさせてしまうのは


「フィー、君はボクが周回者だと知っているよね?」

 ボクが声のトーンを変えたのがわかっただろうか、フィサリスは顔を上げてボクの瞳を見た。

「ボクは前の人生でもブリミールを殺している、そのときは彼が目の前で学校の教官の1人を殺害し、ボクにも襲い掛かってきていた。そしてそれは今よりも2年半も未来のことでそれまでの間にもたくさんの被害者を出していた。君が自分の心から沸きあがる怒りのために今回自らの体を囮にブリミールを誘引してくれたことはわかってる。」

 彼女の経験したことが何かはわからないけれど、怒りという言葉に、フィサリスは体をビクリと震わせた。

 でも君を責めたいわけではないんだ、ソレをわかって欲しい。


「君が今日ブリミールをケモノ化させるきっかけになったのかもしれないけれど、おかげで未来2年以上にわたって発生する、行方不明になっておしまいになる女の子数十人は発生しなくなった。今日殺された人も1人居たけれど、君のせいで出た犠牲者なんていない、フィーはボクにブリミールを殺したことを気に病む必要はないといったけれど、君のほうこそだよ、胸を張って、家出扱いでろくに調査もされずに消えたガルガンチュア領の女性たちも、目にとまったというだけでつかまり、陵辱され、救いも無いまま食われて死ぬ女性たちも今日より後の分は発生しなくなった。もし君がいなかったら、あのグリーデザイア?をとり逃してたかもしれない、ソレが今度はいつかボクの家族を殺したかも知れない。ありがとう、フィー、君のおかげでボクは家族を失わなくてすんだ。」

 そういってフィサリスの腰の辺りに腕を回し、トントンと叩くとフィサリスはか細い声で「そっか・・・」とつぶやいた。



 その後ボクの言葉に従ってエヘンと胸を張ったフィサリスは、つかえていたものが取れた様に朗らかな表情をしていた。

 彼女はやはり自分たちの存在をジークに開示してよいかどうかの判断はつかないらしく、龍の島へ一度戻ることになった。


 本当は今すぐにでも行きたい様子だったけれど、周りに心配をかけてしまうので明日の朝一番にすることになった。

 無論家族には心配かけない様に、ボクのお遣いを適当にでっち上げて、王領北東、精霊の森の木材を取ってきてもらうという話になった。


 そしてボクはジークに言い訳するためにいったん王城に向かうことにした。

 保護された人たちやナガトさんたち隠密の報告も気になるところだし・・・

 といっても、親に心配かけたくないので夜寝室に入ったあと、神楽に部屋に居てもらい、エッラのことはフィサリスに頼むことにした。

 今日はアイリスも部屋で一緒に寝ている日なのでその面倒も神楽にお願いした。


---


 夜9時、アイリスが熟睡したのを確認してからボクはベッドを抜け出した。

 行き先はジークの部屋だけれど、部屋で物音を立てるとアイリスを起こすかも知れないからと、ネグリジェのままでまずは城の私室に跳躍、それからさすがに寝巻き姿でうろつくのは王族の区画とはいえちょっといやだった。

 なので久しぶりに魔導鎧衣マギリンクパンツァーを使うことにした。


 暁天に登録されている100を超える鎧衣の中には、必ずしも戦闘用ではないものが多数含まれている。

 たとえば神楽の姉のリアさんが婚約者への夜這い用に作った黒霞の娼婦ナイトメアアサシンなんかが戦闘用じゃないのに大活躍する装備だけれど・・・今回はシステム開発初期に作られたらしい、実験用鎧衣らしいものを使う、単に着替えの手間を惜しむために・・・。

 暁天ぎょうてんを起動させたボクは目的の鎧衣装を選択し変身する。

 体を淡い光が包み元のネグリジェが一時的に異空間に収納される、変わりに魔力偏向機マジカレイドシステム暁天の内部に格納されているデータから魔力により鎧衣が編まれその姿を現す。

 鎧衣名は、夢葉の服プリンセス・ドレス、システム開発初期の鎧衣の再現性を実験するための鎧衣で戦闘用の強化、アシストは一切存在しない。


 デザインを描いた当時8歳の夢葉さんの絵を元にくみ上げた鎧衣で、上半身は多量のフリルと大きなリボンがひとつ胸元についたドレス、下半身はティアードスカートになっているが段ごとにレースがふんだんに使われていてすこし重みがある。

 頭にはティアラかデイジーのヘッドドレス、足元は透明感のある謎の質感ガラスの靴。

 コレが自由に色替え可能という少女の夢とフリルにあふれた衣装だ。


 とりあえず夜の闇に少しでも紛れる様にネイヴィ基調の色を選び、ヘッドドレスと靴、それにスカートを膨らませているパニエを消去する。

 胸元リボンと上半身のフリルもちょっと目立ちすぎるのでほぼなくすと、シンプルで可愛らしいものになった。

 レースは白で正解だね。

 着替えた後はなるべく人に見つからない様にジークのところに行かないと・・・。


 部屋の外の気配を探るすぐ近くには人はいない様だ。

 技術としのて隠形術はもちろん、暁の隠形の異能も発動させて私室から出た。

 コレでよほど隠形対策の訓練をつんだ人か、初めからボクが居ると思って探している人でもなければボクを探すことは難しい。

 あぁでも、そもそも徒歩で行かなくても跳躍で移動すればいいんだ・・・。

 なんでわざわざ歩いてジークを探そうとおもったのか・・・。

 1分ほどこっそり移動して、階段の辺りに差し掛かったところで気付いたボクはため息をつきながらとりあえずジークの私室に跳躍することにした。


 暗転を抜けるとそこは暗い部屋だった。

 どうもハズレの様だ。

 ジークの私室は真っ暗で、もう寝ているのかと思って念のためベッドも探ったけれど人の気配は無かった。


 あとはお風呂に入っているか塔の上の部屋で仕事をしているかだけれど・・・今日あんなことが合ったから塔で仕事中かも・・・王様も大変だねぇ、続け様に跳躍を使い、今度は塔の部屋へ・・・暗転を抜けると灯りはついている。

 しかし人の気配はない・・・つい今さっきまでいた感じ?

 微妙に息遣いというか暖かさというかが残っている。

 これはお風呂に行ったところなのかな?


 ジークの机の上を見ると今日の被害をまとめたと思しき資料がすでに置いてあった。

 事件からまだ4時間経っていないのに働きものだね、内容的には見つかった死体の数が合わないこと、明らかに今日死んだものではない遺体が混ざっていること、保護された女性たちの証言からブリミールに攫われていたらしいということ。

 ブリミールが魔物ケモノ化したことも記載されている、報告者はナガトさんの様だ。

 情報どおりとか書いてあるもの・・・。


 やはりついさっきまで仕事はしてたんだろうね、その上で今はいないとなるとやはり風呂だろう。

 でもさすがにお風呂にまで侵入するのはちょっとアレだし、部屋の明かりがついているってことはここには戻ってくるのだろうから、しばしここで待たせてもらおう・・・・。


---

 と思っていたのだけれど、あれから40分、まだジークは戻ってこない。

 もう10時を過ぎてしまい、ボクも非常に眠たくなってきている。

 息抜きも大切だろうけれど、少女ボクの睡眠時間も大切なので、そろそろお風呂まで探しに行ってもいいだろう。

 まぁボクまだ6歳でジークは仮にも養祖父だし、ほら銭湯も10歳くらいまでは異性の親と一緒に入ってもいいみたいなルールがあるしボクもまだ子どもだから、はしたないとかそういうのの対象外ということで・・・よし行こう。


 ジークの入るお風呂だから王族のところかな?でもこの部屋から一番近い国王専用の小浴室もあるからそっちから行こうか、非常時だし入っても怒られないよね?

 このときボクは跳躍の能力をただジャンプできる能力だということしかジークに伝えていないことを失念していた。

 そして、ボクは再度跳躍を用意すると、国王専用の小浴室に跳躍し、そのことを大変に後悔することになったのだ。

大陸の獣の名前がやっと全部出ましたが、ひとつだけドイツ語風なのが違和感ありありですね・・・

次々回くらいでユーリ出したいとか言っていたのに、そんなに進めませんでした。

書くのに時間がかかっています。

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