第60話:王都の生活6
ある秋の日のこと、サテュロス大陸最大の国家イシュタルト王国の王都王城の中央付近の一角にて、幼い声で言い争うものが居た。
片方はこの国の皇太子の三男9歳ともう片方は養子ではあるが三女、2つ下だが誕生日がまだのため6歳であった。
男児のほうは一応は皇太子の実子ではあるが側室の子であり、継承権は高くなかった。
女児のほうは養子ではあるが正室の娘扱いのため彼より身分が高く、また極秘ではあるが継承権も3位として扱われているため王城内でも国王と皇太子とその正室であるフローリアン妃、それからフローリアン妃が生んだ3人の子どもたち以外は彼女に対しての命令をできる立場になかった。
しかし男児はこれまで側室の子とはいえ離宮でちやほやされて育ち、母の実家も周りのメイドたちも彼の言うことをすべてかなえてきたため、かなり傲慢な性格に育ちつつあった。
その二人が出会って発生した口論は、自らの立場を正しく理解した女児と、そうではない男児との認識の相違からなかなかとまる気配がなかった。
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(アイラ視点)
どうしよう、困った。
せめて隣の応接室に使っている予備室の方へ場所を移らせてくれないだろうか?
と何度か頼んでみたけれど、感情的になっていて聞く耳を持ってくれない、「どうして王子である余が遠慮しなければならない、中に入れろ」の一点張りだ。
ここは機密があるといっても、陛下の許可が必要といっても聞く耳を持たない。
あまり強硬だと、警備を呼ぶことになるが、それをしてしまうと彼が国王の示した命令に背いたことになってしまう。
まだ8~9歳とはいえ、国王の命に不服従はそれなりに重罪だ。
しかし、いくら傲慢とはいえそんな年の子が仮にも祖父に当たる人物から手打ちにされたりするのを見たいとは思わない。
よし、ちょっと厳しい言葉でいこう。
「グレゴリオお兄様、貴方がここに無理やり押し入れば、グリゼルダ殿とカリーナは処刑されます。またここにある物の情報を少しでも漏らせばお兄様でも毒杯を頂くことになります!」
命令とか禁止ではなく処刑という言葉はさすがに一桁には重たかったのか、扉を開けようとする力が少し緩んだ、といってももともとたいした力ではないが・・・。
「な、なんだと!?そんなはずはない、余は王子なのだぞ!!」
と、うろたえながらも手は扉から離した。
「グレゴリオお兄様、それが国家機密というものです。それにお兄様は所詮側室の生んだ御子であり王室における重要度はさほど高くありません、それこそ養子に入ったに過ぎないボクに許される本殿暮らしが許されない程度に・・・。あぁそもそもこの区画ってグレゴリオお兄様は入って大丈夫でしたかしら?」
ボクの研究室って王族エリアにあるからね、許可を貰ってないと歩けないんだよね。
告げるとグレゴリオは扉の向こうで拳を握りこんで、しかしそれをカリーナにつかまれていた。
「いけません王子、それをやられては本当に処罰されます。相手は陛下のご寵愛の姫君です。それこそ王子よりも・・・!」
「うるさい!」
グレゴリオはその拳でカリーナの頬を殴り、もう一度半開きの扉の中にいるボクに繰り出そうと振り上げたが・・・
「クソ!余を無視したこと忘れんからな!覚えておけよ!」
と悪態をついて立ち去っていった。
「申し訳ございません姫様」
とカリーナは立ち上がり一礼してからグレゴリオを追いかけていった。
「応接室で話を聞くって何度もいったよねボク?」
と後ろに尋ねると、3人は苦笑いを浮かべていた。
「なんででしょうね?人のお話を聞けない方が多いのでしょうか?」
神楽は先ほどまでは自分より少し年下の男の子の剣幕に圧されていたが、余裕が出てきたのかボクのところまできてボクの頭を抱きかかえて体をよじる。
たぶん「私もあの年頃はそうでしたか?」と少しだけ不安になっている。
神楽も十家という朱鷺見台においては特権階級の様な家柄に育ち、父親は早世、母親はあまり家にいなかったものの不自由なく暮らしてきた。
暁と神楽とが深い縁を結んだのは彼女が6歳のときだけれど、その頃の彼女はすでに十分に聞き分けの良い、育ちの良いお嬢さんといった感じの女の子だった。
だから・・・
「カグラ、ちょっと慰めて?」
そういって神楽の腰に手を回して甘える。
神楽はボクの頭を撫で回すと
「ひゃー、同じ王族でもアイラさんはかわいーですねぇ」
と目を細めてボクを愛で始める。
エイラとエッラもソワソワしているのがわかったので、二人のことも呼ぶ。
少し前から、エイラとエッラも魔法の扱いに慣れてきているので研究室に入れる様になっている。
エッラには火の調整や風系魔力の付与を、エイラには金属の延ばしや休憩のお茶の用意をお願いしている。
あとは先日レイナさんに渡した魔導篭手の試作の際もデザインを手伝ってもらっている。
あの魔導篭手は、誰に渡すことになるかわからなかったためほとんど実践的な機能はついておらず。
物理的な防護と、魔導灯機能、方位磁石、着火機能をつけたお飾りみたいなものだったけれど、結構便利だとレイナさんからお礼の言葉も届いている。
灯りを持つというのが結構負担になるので、準優勝の記念品に魔導灯差しなんてものが選ばれるくらいなのだ。
それなら魔導灯機能自体篭手に内蔵してしまえば少なくとも握って持つ必要はないのだから、それなりに有用だろう、魔力操作も容易で魔力のこめ方しだいでは簡単な目くらましも可能だし磁石は落とさない用に背嚢などの中に入れるのが一般的だけれど、確認に時間がかかるから出しっぱなしでもいいよね?というひどくなまぐさな理由でつけた。
実際にはもう魔力弾、魔力障壁、空間収納機能搭載型は完成しているけれど、徐々に出していかないとおかしなことになりそうなので、ボクとユーリ、ジークの持っているものですべてだ。
同じ様にセイバー装備も、夏の間に3人のペイロード家の子どもたちに作ってもらった魔鉄類から2領のセイバー装備が完成している。
片方は、人に見せるために作った試作型で、名前は試作型セイバー前世で言う量産用のセイバーと同性能の機体で、パーソナル化のために胴体部分に個人識別用の魔石回路が組み込まれている。
この魔石回路を交換すれば別の人もセイバーを装備することが可能だが、その本体ともいうべき魔石回路は現在ボク、エッラ、ジーク用しか存在しない。
さらにもう一領、こちらは特別製、前世の技術と今ボクと神楽が持ちうる魔力偏向機のデータなどをフルに活用し、さらに素材にはガルムの骨格を魔鉄化した素材を使っている。
暁が殺したからなのかボクと魔力の波長が非常に良く合いエッラに使わせてもジークに装着してもらっても動かなかったけれど、ボクには体の延長の様に非常に扱い易かったためボク専用にさらに改良を施した。
アイラ専用セイバー装備、名はジークにより色が闇夜を思わせる黒基調で狼犬型素材であることからナイト・ウルフと名づけられた。
神楽の協力によりボクの「暁天」の魔導鎧衣機構に組み込むことに成功し、1秒で装着することも可能となっているが、これはジークには秘密。
性能は前世の最新型セイバー装備を大きく上回り、魔力的適性から跳躍との相性がよく、戦闘中に相手の後ろをとる手段として跳躍を連発できるほどに魔力の巡りが良い、これはおそらく素材となったガルム自体が転移系の能力を持っていたことに起因すると思われる。
アイラの魔力で連続6時間以上の稼動が可能なのは確認済みだが、幼児の体への健康上の配慮からそれ以上の稼動実験はしていない。
主武装は前世のゼロ・セイバーに装備させていた零式大剣と同程度の高品質の大剣を用意していて、ほかにガルムの牙を素材にしたナイフを4本と用意している。
全高は3m弱、腕がやや肥大したデザインで陸海空全領域で活動が可能な代物で、サイズも内部に余裕を持たせているため生涯使っていける予定。
極秘の装備のため、もしも前世の様に戦争が勃発したときに、正体を隠して戦うことが可能かもしれない。
それにしてもグリゼルダといいグレゴリオといい、人の話を聞きやしない・・・。
さらに翌日のこと。
今日は夕方にはアイリスたちと一緒に邸の方に帰る予定だったのだけれど、フローリアン様が産気づいたため城に残ることになった。
もちろん専門の助産医師もいるし、城には治療魔法を使えるものもそれなりの数いるのだけれど、この頃アイリスの治療魔法の力が並みの治療術士よりも数段上の威力まで上がっており、是非アイリスも出産に立ち会って欲しいとヴェル様に頼まれてしまった。
それに一緒に帰る予定だったボクが城にとどまることになったのでアイリスが一緒に居たがったというのもある。
むしろ逆か、養女のボクが養母の出産時に城にいないわけにはいかず、アイリスが寂しがるけれど、正当な理由無く夜の城にいさせるわけにはいかなかったそれで優しいヴェル様が役目を与えてくれたと考えるべきだろう。
あくまで非常時にしか魔法を使う必要も無いわけだし。
それでボクたちは中央区画にとどまりアイリスと一緒にフローリアン様の出産に立ち会っていた。
フローリアン様の両サイドにはびっしりと女性医官と治療術士が張り付いているのでボクは神楽、アイリス、サリィ、エッラ、エイラと並んで声をおかけしていたのだけれど・・・。
時間は夜8時頃、すでにアイリスは半分眠りかけている時間帯で時々ビクリと体を動かしては
「おたーたまがんばれぇ・・・」
と寝ぼけたままでフローリアン様を応援している。
アイリスはボクの立場をよくまだ理解できていないらしく、エミリア様のことは「かあさま」フローリアン様のことを「おかあさま」と呼ぶことが多い。
単純にボクがそう呼んでいるから自分もそう呼ぶのが正しいと思っているのだろう。
寝ぼけながらもボクの養母を応援してくれる妹を愛しく思いつつ、ボクも眠気との戦いに敗れてていたのだけれど
産声が聞こえてボクは目を覚ました。
「う、生まれました!?」
「え、なになに?」
サリィが飛び跳ねる様にたち、膝枕されていたアイリスも抱き起こされる。
ボクも意識をはっきりとさせて立ち上がり急いでフローリアン様の傍らへ行く。
「妃殿下、おめでとうございます、お元気な姫様です。」
「姫様方、妃殿下の体調も大丈夫な様ですので、ご安心ください」
そういって女医官たちがボクたちにフローリアン様の手を握る様にと促してくる。
「お養母様!」
「お母様!」
「おかーさま!」
一人は呼び方を間違っているが誰も間違いを正さない、実際フローリアン様もアイリスから母と呼ばれるのをうれしそうにしているしね。
フローリアン様は8年ぶりとはいえ4人目の出産だけあって、なれたものなのか憔悴しているものの体調に問題はない様だ。
「あぁかわいい貴方たち、心配かけてごめんなさいね、女の子だって、名前は家族みんなで考えましょうね」
「はいお母様、今日は赤ちゃんを一抱きだけしておやすみになってください。お疲れ様でした。」
サリィがフローリアン様のおでこを拭いて、医官の一人がフローリアン様の乳房を拭う、別の医官が臍の緒を切ったばかりの赤ちゃんに何か魔法をかけながらフローリアン様の胸元に添える。
すると、赤ちゃんは本能に従ってなのかフローリアン様の乳房をちうちうと吸いはじめる。
「姫様方、今日はもう大丈夫ですので、姫様方はお休みになってください、もう夜の11時結構遅いですから」
なんと少しうとうととしただけのつもりだったけれど、もうそんな時間だったらしい。
これは明日起きられないなぁ・・・と思いながら部屋に戻ることにした。
サリィたちと一緒にフローリアン様の部屋をでると、通常メイドが使う部屋にヴェル様とジークとハリーが座っていた。
リントもさっきまでいたらしいが、寝てしまったため部屋に運ばれたそうだ。
さっきの一瞬で燃え尽きすでに眠気がぎりぎりのボクとアイリスはフラフラとしたままで、サリィが一人でジークたちと何事かを話していたがその後ボクの手を引いて部屋を出た。
この際ノイシュも今日の勤務は終わってよくなった様で、一礼したあとややふらついているエイラを横抱きにして夜の廊下に消えていった。
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それから気がつくとすでに朝だった・・・目を覚ましたらすでにカーテンの向こうのお日様が高く上がっていて焦ったね、でも良く考えたら今日は8月12日の黒曜日、本当なら邸にいるはずの日であるので、寝坊とか関係ないんだった。
ちょっと夕べは遅かったから布団が愛おしい、よし二度寝しよう、そうしよう。
今ならまだすぐに夢の世界に戻れるはずだと布団に包まりなおすがすぐに違和感に気付く・・・。
あれ?枕が無いよ?
大体いつも枕を頭にしいて、さらに神楽とお互いを抱き枕にして寝ているのだけれど、今日はそのどちらも無いみたい、なにかないかなと目を瞑ったまま手をわしゃわしゃと動かすとやわらかく温かいものに触れたのでそれに体を寄せてひっついて眠る。
「ん・・・うぅ」
少し艶っぽい声が聞こえる。
この際枕は無くてもいい、この抱き枕があったかくて気持ちいいので、と思ったら後ろにも温かいものが引っ付いてきた?
後ろって言うか、お尻・・・?
「ひゃっ!?」
ってなんか温かくてぬるっとした感覚が足に絡みつく
「あら、アイラちゃん、仕方が無いですねぇ・・・。」
いつの間にかボクが引っ付いていたやわらかいものがこちらを向いていて、それはサリィだった。
サリィの豊満な胸にボクは両手を沈めていて、ボクはさっき見つけた温かいものがサリィだったのだと気がついた。
「さ、サリィ姉様、ごめんなさい、気持ちよくってつい・・・。」
とっさに謝る。
「アイラちゃんってばぁ、気持ちいいからって・・・こんなに」
「うふふ・・・アイラさんかわいい・・・。」
突然背後からも声が聞こえてボクは振り返る。
するとボクのお尻と足を神楽が撫で回していた。
いつの間にか正面に回りこんだ神楽は、ベッドのふちに座ったボクの温かく湿った太ももを開きながら撫で回す。
「アイラさんがあんまりかわいいからこのまま・・・しちゃいますね?」
し、しちゃうって!?何を・・神楽!?
「ま、まってカグラ!ボクはまだ・・・っ」
6歳で・・・子どもで・・・
「6歳でこんなにしちゃうなんて・・・でも、アイラさんなら何でも許せちゃいます。」
「普段まじめでしっかりしてるかと思えばこんな一面もあるだなんて・・・」
今度はサリィがボクの後ろから耳に息がかかるくらいの距離にいて・・・
「あ、これ違いますね、アイラ様じゃなくってアイリス様です。」
と急にエッラがベッドサイドから現れて衝撃的なことを告げる。
「ちょっとまって間違ってないよ、ボクだよ!アイラだよ!?」
あまりといえばあまりな一言にボクは焦る。
正常な判断力を失う。
ベッドで神楽とサリィとエッラとに囲まれていて、下半身は熱く湿っていて、エッラはボクじゃなくてアイリスだという・・・。
すごく不安になる。
「うふふ・・アイラさん」
「アイリスちゃん、アイリスちゃん♪」
「アイラ様?アイリス様?一緒に参りましょう?」
参るってどこに行くのさ!
一気に服を脱がされて体が朝の外気に晒される・・・しかしそれ以上に体が火照っていて・・・。
「うひゃう!」
まぶしい朝の日差しが、目に飛び込んでくる。
「あ、やっと目があきましたね、アイラさん。おはようございます。」
目の前にいつもの神楽がいた。
しかし同時に気付く、ボク何も着てない!!
「か、カグラ!?ボクどうして裸で?」
目の前にはやっぱり神楽がいて、どうしてボクは服を脱がされて?やっぱりこのまま・・・?
「ごめんなさいアイラさんこのままガウンを羽織って朝からお風呂に行きますよ?アイラさんは私が抱っこしますからもう少し眠ったままでもいいんですよ?」
お風呂?わざわざ部屋で服を脱いでから・・・?
そこまで思案したところでようやくもわりと漂う匂いに気付き顔が青くなるのがわかった・・・。
「あ、あのさカグラ、これボクが?」
その可能性にたどり着きボクは恐る恐るとカグラに尋ねる。
「いいえ違います、アイリスちゃんのほうです。」
ふぅ・・・よかった・・・そういうことか。
ようやく周囲を見る余裕ができた。
ここはサリィのお部屋。
夕べフローリアン様の赤ちゃんが生まれるところまで見届けたボクはどうもサリィの部屋で寝たらしい、それはアイリスも同じだった様で、二人してか、それともカグラやエッラもこちらでお世話になったのか、室内には今神楽、アイリス、エッラ、サリィがいる。
隣ではエッラがボクと同じ様にアイリスを脱がして下半身を軽く拭いているけれど、アイリスはふにゃんふにゃんでしっかり立っていられないらしく、サリィが名前を呼んで起こそうとしている。
無論サリィはまだ10歳になってしばらくなので豊満ではなく、なだらかな膨らみかけである。
大体察した。
どうもアイリスがひさびさに、よりにもよってサリィの部屋でおねしょをした様で、はじめはボクの可能性も疑ったが、すでに嫌疑は晴れたらしい。
どこから夢だったのかな?っとカーテンの開いている窓を見るとお日様の高さ的にまだ7時半くらいか。
初めから、起きてなかったみたいだ。
それを自覚すると尿意がこみ上げてきた。
「カグラ、ボク起きたから、お手洗い行ってくる。」
「あぁはい、私もまだなので行きましょうそのままお風呂に行くのでガウンだけ着てください」
とカグラはボクにガウンを着せてから手を握る。
よく見るとカグラもガウンを着ている、夕べは水色のワンピース寝間着だったはずなのに・・・。
「あ、あんまりみないでくださいね?私もその、ぬれていたので・・・」
と頬を赤らめる神楽、どうもアイリスのおねしょに巻き込まれていたらしい。
そんなやり取りをしていると、ちょうど隣も終わったらしく
「さぁサリィ様参りましょう、アイリス様は私が抱いてまいりますので」
「えぇそうしましょう、アイラちゃんも、もうすぐ私たちの妹にしっかりとご挨拶できるんですから、綺麗にして会いましょうね」
とサリィも手を伸ばしてくる。
神楽を好きな身としては手を離すことはできない、サリィの妹である身としてもその手を振りほどくことはできない。
二人に挟まれて宇宙人の様にトイレに連行されて、用を足してからお風呂場に向かった。
今度こそ8月12日の気持ちの良い朝、昨日の夜生まれたばかりの新しい妹とボクは約11時間ぶりに再会した。
といっても相手は目も合わせてくれないし、呼びかけても聞こえているんだかいないんだか・・・。
アイリスはアニスの赤ちゃんの時のことは覚えているのかどうかわからないけれど
「ユディちゃんより小さいねぇ?」
とその手に人指し指をつかませて上機嫌に笑っている。
サリィや連絡を受けてあわててやってきたエミィが赤ちゃんと戯れるアイリスの図にキャーキャーと悲鳴を上げている。
「アイラ、ちょっと・・・」
まだ体力の回復しきっていないはずの養母のお願いで、アイリスの逆側の手にボクも人指し指を握らせると、目も開いていない、籠の中の赤ちゃんの両手にボクとアイリスがそれぞれ自分の指を握らせている図となる。
そうなるともう大変、サリィもエミィも、カグラもエッラも、エイラやノイシュ、部屋の中で待機していたメイドさんたちも、みんなでほほえましい双子と赤ちゃんの図をその目に焼き付けていた。
赤ちゃんはその翌日、セシリアと名づけられた。
この回でグレゴリオを退場させようかとも考えていましたが、まだ9歳になったばかりで不憫なのでやめました。
彼が今後どう生きるのか私にもまだちょっとわかりません




