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第50話:寝耳に水、6リットル

 カーテンを引かれてうっすらと暗い一室、貴方たちも話相手を勤めなさい?と王子の婚約者に強く言われて、席に着いたメイド二人と、西安侯爵領から連れてこられたメイドとが和やかに小声で談笑を続けていた。

「・・・それでですね、アイラ様はとても賢い上に、とても子どもとは思えない様な、武芸や魔法もお達者で、農業や食品加工の知識なども幅広く身に着けていらっしゃる方なのです」

 そういって元は近所の妹分か友達であった、現在は仕える主人となった少女のことをほめ続けているのは紫がかった青髪を肩口で切りそろえたメイドの、今日のところはゲストの少女。


 8歳の頃に140cmもあった身長はその後13歳直前で148cmに到達したもののその後約1年鳴かず飛ばずの横ばいでほぼ伸びていない。

 今は金属製の板の入った靴で上げ底して身長をぼやかしているが、いつかはかわいい主人にもばれるだろうけれど、いましばらくはおねえちゃん的メイドポジションで居たいと思っている。

 当の主人アイラからすればその強固な胸部装甲だけでも十分に尊敬の対象となっているのだが、少女は気づいていない。


 そして今一緒にテーブルを囲んでいる3人は全員が彼女よりも高い身長であり、彼女は敗北感をおぼえているが、

 逆に3人全員が彼女のある部位をみて強烈な敗北感を味わっていることも気づいてはいなかったのだ。


------

(アイラ視点)

 ふと、名前を呼ばれた気がして意識が浮上した。

(なんかすごく甘い匂いがする・・・なんだっけ?)

 目はまだ開けられないまま、本能だけは確かに覚醒へと近づきつつあり周囲の情報を仕入れ始めた。

 少し離れたところから声が聞こえていて、鼻先には硬さと柔らかさの両方を感じさせる温かい何かが押し付けられている。


 聞こえている声はキャロルのものだとわかる、次いで自分がアイリスのやらかしたことをうやむやにするためにサリィたちとともにお昼寝タイムに入ったのを思い出した。

「ふぁぁぁ・・・」

 いざ起きようとすると無意識に長い息が漏れた。

 同時に、体が何かで固定されていてうまく起き上がれないことに気づく・・・。

(なんだ?)

 体の回りにあるものを手で探ると、それは顔面を覆っているものとつながっているのがわかる。

(これはエミィの・・・)

 下方向に体を動かして腕から逃れたボクは体を起こして周りをみた。

 昼寝した組は今もまだみんな眠っている様だ・・・と思いきやエイラは無表情でボクの顔を見ている。


「こんな体勢で失礼致します。おはようございますアイラ様、エイラめのことはお気になさらず、エッラ様やキャロル様のお話相手をお願い致します。」

 そういって、達観した様な表情で挨拶するエイラは、昼寝を始めたときと変わらずサリィの胸元に羽交い絞めされて抱き枕になっている。

「エイラ、もしかしてずっとその体勢?おしっことか大丈夫?」

 起きたのに抜け出せないなら、手を貸した方がいいかもしれない。


「い、いいえ大丈夫です、あと20分くらいなら我慢できます。わたくしは・・・ハ、母の様に立派にメイドの役目を果たして見せます。」

 君まだ見習いでしょ!?ノイシュさんレベルは求められてないし、何よりもトイレもう結構危ないじゃない、それたぶん実際は5分くらいで限界来るやつだよ?

 しかもエイラは無表情なままでその銀髪の前髪を口からの息でフゥっと吹きながら呼吸を整えてまで尿意を我慢している様だ。

 サリィが起きる気配はまだない・・・。


「エイラ、ボクがサリィ姉様の手をエミィ姉様の手とつながせてごまかすから、エイラは体をしたから抜いて・・・君はトイレに行く必要がある。」

 エイラはサリィの抱き枕になれという命令と、ボクからのトイレに行くようにという命令の間で逡巡し、頷いた。

「かしこまりました。確かにわたくしエイラめは・・・トイレに行く必要があると認めます。」

 エイラの返事を聞いたボクはさっきまでボクを羽交い絞めにしていたエミィの腕にサリィの手が届く様にまずはエミィの体を動かした。

 もともと団子状態だったこともあり、幼いアイラボクの腕でも十分に動かせる位の距離でよかった。


 次にサリィの手をつかんでエミィの二の腕の辺りに誘導すると、サリィは無意識のままでエミィを抱き寄せようとしてエイラを抱きしめていた腕が緩んでエミィのほうへと伸びる。

 その隙を突いて、エイラは先ほどのボクの様にスっと体を抜いた。

「ありがとうございます。」

「ううん、困ったときはお互い様だから。」

 とこそこそやり取りしているとベッドにつけられ、閉められていた天蓋が開いて、エッラが顔をのぞかせた。

「アイラ様、エイラちゃんお目覚めですか。アイラ様はおトイレ行きましょうねぇ」

 とエッラはにこやかに告げるとボクの両脇の下に手を入れて持ち上げた。

 エッラは身長は低いけれど、すでに身体強化もできるし、素の体力も並外れている。

 ホーリーウッド黒騎兵団長のメロウドさんが10万人に一人いるかいないかの才能があると太鼓判を押して、碧騎兵団長のアビーさんとともに武術魔術の訓練を直々につけてくれているほど期待されている。

 そんな彼女からすればボク程度の重量は抱え上げるのに何の苦も無い様だった。


 そしてボクのほうもなすがままになる。

 ボクは実際のところ今エミィを動かすのに筋肉を使ったせいか、さっきまでやや危険程度だったのが大分危ない状態になっている。

 エッラは優秀なので、ボクの表情からおしっこを我慢していることを読み取って気を利かせてくれたのだ。

 しかしすぐにエッラは、エイラも危険な状態であることに気がついた。

「アイラ様にカーディガン着せて、靴を履いていただいてください。」

 そういってエッラはボクをベッドの横の絨毯の上に下ろし、後ろにいるメイドさんたちにボクの着衣を依頼する、トイレに行くにしても下着姿でははしたない。

 次にエイラの脇の下に手を入れて同じ様に抱え上げた。

「アイラ様、エイラちゃんの方が危うそうなので、アイラ様はご自身で歩いていただけますか?」

「うん、エイラを運んであげて」

 実際ボクは6歳だしエイラは7歳、本当なら寝起きだからってトイレくらい自分でいけるんだけれど、エイラはどうやらおきてからしばらくおとなしく抱き枕に徹していたみたいで、かなりぎりぎりな様子・・・運んであげたほうが事故の発生は防げるだろう。

「アイラ様、エレノア様・・・私は・・・・」

 大丈夫と、あるいは『お客様』であるエッラにそんなことをさせるだなんてと言いたげなエイラにボクはやや強めに言う。

「エイラ、エッラも妹が欲しい子なので、おとなしくかわいがられてくれると喜びます、良いですか?これは運んでもらうのではなくって、運ばせてあげてるんですよ?」

 そう告げると、エイラはおとなしく唇を引き結んでおとなしくなった。


---


 さすがに帰り道は危険も無いのでボクもエイラも徒歩で元の部屋まで戻る。

 エイラは持ち前の切り替えの早さですでに普段の唇を引き結んだ表情で、ボクとエッラの前を先導して歩いている。

 エイラはトイレが終わった後からエッラのことをちらちらと見ている。

 エッラというかエッラのその胸にある暴力的な装置を見ている。

 エッラは体格は小柄で、少し恥ずかしがり屋なところがあるためか前髪をすこし長く伸ばしていて、ほとんどの人からはその表情は見えない。

 この場合のほとんどの人というのはエッラよりも身長が高い人を指す。


 エッラは現在148cm程度で、前世の基準で言うなら、あと1cmで身長の成長の限界を迎えるのだけれど、彼女の暴力装置おっぱいの成長はまだしばらく続く予定で、身長の高い人からの視線はそこに吸い寄せられる。

 逆に身長の低い人からの視線は普通前髪で隠されたかわいい顔にひきつけられる、せっかくこんなにかわいいのに何で顔隠してるんだろう?ってみんな思うのだ。

 実際先ほどまでエイラもエッラの顔のほうを見ていた。

 しかし、おそらく先ほどトイレまで、エッラに抱きかかえられて移動したことで、その胸部装甲の暴力によって何らかの不都合が発生したのだろう。

 今のエイラはエッラの胸部にばかり目をやっている。

 それにエッラも気づいているのか、ちょっとだけ気まずそうだ。


 部屋に戻る前に・・・ちょっとこの空気のままであの部屋に戻るのはよろしくないと判断したボクは適当な場所で足を止めた。

 そこはボクにとって前世でトラウマを作らされた塔の真下に当たる場所。

 階段の入り口ではなくってその更に一つ下のフロアだね、ボクは前世でこの城には何度も入っているから、寝ぼけてでもいない限り防災MAPは頭の中に入っている。


 ここには少しだけ広い窓があって、中庭が一望できる様になっているのだ。

「わぁ・・・お庭が綺麗に見えますね・・・」

 そういってボクが足を止め窓に近寄ると、今日はゲストとはいえ「ボクのメイド」であるエッラはもちろん、「王城のメイド見習い」のエイラも足を止めざるを得ない。

「アイラ様、そのように窓から身を乗り出すのはおやめください、危のうございます。」

 そういってエッラはボクの後ろから脇の下に手を差し入れると持ち上げ、その後お姫様抱っこにしてからボクに窓の外を見せてくれる。


 お姫様だっこっていうかこれ・・・暴力装置おっぱいに向かって押し上げてるね・・・ボクの腰の辺りと左の太ももに柔らかくとも確かな重さと柔らかさと熱量を感じさせる柔らかいものが押し付けられている。

 エッラの身長で胸が大きいとボクを抱えようとすると腕を伸ばした状態で脇の下から抱えるか、胸に押し当てるか、胸に座らせるしかないのだけれど、窓近くでは危ないと判断してのことだろう。

 ただボクは胸のほうに意識が行ってしまい窓の外の景色なんて見えていなかった・・・。

 エッラまだ13歳なのに、すでに強度CからDの大きさがある。

 今はフィサリスとほぼ同じで、少し小さい位の胸の大きさだけれど、おそらく成長をしないフィサリスと比べてエッラは、前世同様これからも大きくなる見込みなので怖いような楽しみな様な、ただそんな彼女の若い果実に体を押し当てられて、ボクは神楽以外に対しては久しく忘れていた男としての(さが)を思い出してしまった様だった。


「エ、エッラ?」

「・・・?えっと、どうかなさいましたか?アイラ様」

 たぶん顔を赤くしているであろうボクをエッラはきょとんとしてみている。

 6歳の女の子が自分のおっぱいをみて顔を赤くしているとは考えていない様で、エッラはややあって「あぁ」と気付いた様にボクを床に戻した。

「失礼いたしました。エイラちゃんの前で子ども扱いをしてしまい申し訳ございませんでした。」

 とボクの身長にあわせて腰を曲げて耳打ちしながら。


 この世界ではまだ胸全体を覆うブラジャーはほとんど普及していない。

 コルセットと一緒に胸を支持する補正具なんかは存在するけれど、上側を補正するものは出回っていない、何が言いたいかというと、今ボクの目の前のワンピースドレスの下にはほとんど生の状態のエッラの上・・・。

「あの、アイラ様、エレノア様」

「ひゃい!?」

 何か気になったらしいエイラが、ボクたちに声をかける。


「エレノア様は普段はメイドなのですよね?お二人はいつもそんな風に、仲良しなのですか・・・?」

 そういって尋ねるエイラの目にあるのは戸惑いの感情か?

「えぇっと、そうですね、私はアイラ様とはその、幼馴染といいますか・・・長い付き合いですので」

「エッラは去年まで、近所の優しくて親しいお姉ちゃんだったので、今でもメイドという気はあまりしないんだ。」

 そういって理由を告げるとエイラは少しまたエッラの胸の辺りを見てから

「あの、昨日母、いえ近衛メイドのノイシュから、ユークリッド様がアイラ様のメイドに私を迎えたいとおっしゃってくださったというのですが、その、割って入るみたいで、ご迷惑じゃないかなと思ってしまって・・・」

 っていうかユーリはノイシュさんに伝えてくれたんだ?

 確かにボクは今生でもエイラと長い時間一緒にいられればいいなと思っている。


「それはとてもうれしいかも、エイラは優しいし気遣いのできるいい子だし・・・」

 そういいながら距離をつめ、そのほっぺを両手で挟む。

 プニプニの触感はウチの妹たちにも引けをとらない。

「ファ、ファイファふぁふぁ!?」

 混乱してボクの名前を呼ぶエイラに満面の笑顔を浮かべて応える。

「ほら、こんなにかわいい、身長もボクとそんなに変わらないし、いい話相手になってくれそう。ねぇエッラもそう思うでしょ?」

 そういってエイラが興味を持っていたらしいエッラに水を向ける。

 エッラもこちらに歩いてきながら。

「そうですね、私メイドになったので、アイラ様のこと妹の様にかわいがることもあまりできなくなってしまったので、エイラちゃんみたいな子が一緒にアイラ様に仕えてくれるなら、妹みたいになってくれそうですよね?」


 さすが空気を読むエッラは、エイラが自分の胸をちらちら見ていたのは、甘えたいからだと気付いた様だ。

 的確にそこを攻めていく、一人っ子かつ片親のエイラは母ノイシュにしか甘えられないが、ノイシュとは普段メイドと幼年のメイド見習いという身分で付き合うことが多いため、泣き言もいえない、一応部屋は同じになっているので本当に甘えたい時には夜ベッドの中で精一杯ノイシュに甘える様だが、普段隠しているもののエイラは甘えん坊なところがあるのでここぞというときにしか甘えられない母だけでは足りず姉や兄の様なポジションの人が欲しいのだろう。


 といってもボクについてきてしまえば母ノイシュとは離れることになってしまうので、今の幼く、まだボクたちと家族だといえるほど慣れていないエイラは、ボクについてくることは無いだろう。

 ただ今この場で、エッラとエイラの間でかわいがりかわいがられる関係が生まれるのも、将来のことを考えればプラスなので、甘え易い状況を整えてみる。

「エイラ、こっちにきて」

 とボクが呼べばエイラは抗うことなく近寄ってくる。

 そしてボクの前に立ったエイラをまずはハグ、するとエイラはほほを少し赤く染めて、ボクの背中に回した手にキュッと力が入る。

 次にボクはエイラを右腕で抱きしめたまま左手でエッラを呼び、エイラもろともその胸の中に飛び込んだ。


 エッラは身長は低いけれど、素の状態でも体力はすでにその辺の騎士を上回るほどで、さらに魔法による強化も可能と、大変力強いので、6歳と7歳の体重くらい簡単に支えてしまった。

 周囲に誰もいないことを確認してからエッラは自分のその年の割りに豊かな胸にエイラの頭を抱きこんで愛しげに撫で回し、エイラはエイラでエッラの乳房にほっぺたを押し付け片腕はボクの背中に回したまま、もう片方の手はエッラの乳房に重ねて甘え始めた。

「今日はね・・・本当ならママもお仕事休みで、一緒にお部屋で甘えさせてくれる日だったの・・・、でもお客様がくるからってお休みじゃなくなって、明後日まで先延ばしになったの・・・。」

 ノイシュのことがママ呼びになった甘えん坊状態のエイラ、は目をつぶってエッラのおっぱいを存分に堪能しながら少し照れながら呟く。

 それを聞いて、甘えるエイラに目を細めながら

「そっかーごめんねー、今私に甘えていいから、明後日までがんばろうねー。」

 と、エッラはヨシヨシと頭をなで続けて

 その後もエイラが甘え続け我に返った時には4分ほど経過していた。


「失礼しました。お客様に甘えてしまうだなんて、メイドとして恥ずかしいことをしました。」

 と、頭を下げて恥じるエイラを二人でなだめ、最終的には

「またお会いできた時にはエレノアお姉ちゃんに甘えてもいいですか?」

 と言う程度には態度が軟化していた。


「もちろんです、私もかわいくて真面目な妹分ができてとても光栄です。エイラに恥じない立派な近衛メイドになりますから、次に会うときにはまたたくさんお話しましょうね?」

 と、エッラが応えると幸せそうにハグしあっていた。


---

「お帰りなさいアイラちゃん、エレノアさん、エイラちゃん」

 部屋に戻るとニコニコ顔のキャロルがボクたちを迎えた。

「ただいま戻りました、キャロル様。」

「お待たせして申し訳ございませんでした。」

 ボクたちがいない間、キャロルはメイド二人と3人で待っていたことになる。

 エッラもいたときはともかくこの15分ほどは、メイド二人も主人に遠慮してしまいあまり話せなかっただろう。

 さぞや退屈だったに違いない。


「アイラちゃんはもうお昼寝はいいの?」

 ベッドのほうの気配を探れば、まだ穏やかな寝息がスゥスゥと聞こえてくる。

 正直あの人肌の誘惑に魅力を感じないわけではないけれど、また長い時間彼女たちだけでお話させて置くのもさすがに話題が尽きそうだしね?

「はい、みんなが起きるのを待っていようと思います。」

 ベッドのカーテンはアニスとユディの様子が見える様に隙間が空けられていて、二人の幸せそうな寝顔を見ていると、こちらも幸せを感じる。

 ふと視線を感じて振り返ると、キャロルももともとその隙間から二人が見える位置に座っていたらしくニコニコとボクを見ていた。

「あぁごめんなさい、二人が見えなくなりましたか?」

「いいえ?むしろ二人から三人に増えて、眼福度が増しました。ぜひそこでパイでも召し上がりながら、妹自慢を聞かせてください。」


 そういってさらに満面の笑顔を浮かべたキャロルの声に応える様に二人のメイドがお茶とお菓子をボクの前に用意した。

 寂しい思いをさせたキャロルに少しでも楽しんでもらえればと、ボクは子どもの様に満面の笑顔を浮かべてパイを口にした。


 エッラもエイラもキャロルも、その後ろのメイドたちもボクのことを見つめていて、少し恥ずかしかったけれど、甘さ控えめなアップルパイのシャリシャリ感に舌鼓を打ったボクは、演技ではない満面の笑顔を浮かべていたに違いない。


 その後ユディ、ナディア、エミィと順に起きてくるまでボクたちは小さな声で談笑を続けた。

 最後は途中で神楽が起きたことで一人寝になったアイリスと、エミィが起きたことで一人寝になったあとそのアイリスを抱いていたサリィがほとんど同時に目を覚まし。

「あら?」

「あれれ?」

 と、驚いた声を上げて眼を覚まして。


 寝る前にやらかしたことをすっかり忘れているアイリスは寝ている間にサリィの匂いを嗅ぎ慣れたためか起きた後はサリィと一緒にトイレに行き仲良くお手手をつないで戻ってきた。

 アイリスになつかれたサリィは大変にご満悦でボクのことも呼ぶと二人を並べて座らせ、交互にキスの雨を降らすというお姫様らしくない戯れをして、メイドたちをあわてさせ、アイリスを喜ばせた。

 気をよくしたサリィはその後、アニスとユディ、エイラとエミィにも同じことをして。

 アニスとユディはやる度に大爆笑、大歓喜であったが、エイラは照れた様にしながらで

「サーリア姫様、お止めください、この様なことを姫様からしていただく様な身分にはございません」

 と内心かなりうれしそうにしていた。

 またエミィの方も

「うぇぁ、お姉様!お止めください、わたくしはその様なことで喜ぶ様な齢ではございませんの!」

 と口では言いながらも、ものすごくうれしそうな顔と声があふれていた。


 この日を境にサリィは公務でも取り繕った様な笑顔ではなく自然な笑顔を浮かべる様になり、部屋には、かわいらしい小物も置く様になった。

 また公私共に一つ下の異母妹であるエミィと一緒に連れ歩くことが多くなり、はじめ難色を示すものも居たが、異母姉妹でありながら仲が良いことが、とても素晴らしいことだと、二人の人気は徐々に上がっていくことになる。


 しかしそれはまだ先のことで、このあとの夕食会の席でとんでもない報せを受けることになることすらも、ボクはまだ知らなかった。

あとたぶん1リットルですかね・・・?


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