第43話:6歳から王侯貴族と付き合い始める場合3
イシュタルト王国の新年の祝宴開始から約2時間たった頃、クラウディア城の一室、少し疲れた様子の男女が一人の侍女に連れられて賓客用の上等な部屋に案内されていた。
といっても二人にとってはつい2時間ほど前に待機していた部屋だ。
二人は部屋に着くと長い息を吐いて、気を抜いた。
「ふぁー疲れたー。」
「ふふ、お疲れ様アイラ。」
どうみても1桁の年齢の男女はソファの隣り合った場所に座るとまるでそれが自然なことの様に、すっと少女の方が少年の膝に頭を預けた。
二人は別にお互いに甘えることもあるし、甘やかすこともあるのだが、今日はひさしぶりの社交で疲れたであろう少女のほうが甘える日だった。
その睦まじい様子は、今日たまたま西侯家の世話をする様に言い渡されたメイドから見ても、大変和やかで、頬が緩むのを我慢するのが大変な光景だった。
社交といっても、見た目は4歳の実年齢6歳(ただし頭脳は大人)にダンスを申し込む様なものも居らず。
始終連れ合いのユーリと二人で、興味のある相手の元を訪れては友人になってきただけだったが・・・
しかしそんな二人に近づこう近づこうと様子見していたものが、二人が広間をでていくところを見つめていたことに、二人は気づいていなかった。
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(メイド視点)
私は、クラウディア城のメイドの一人、栄えある近衛メイド隊に所属するもです。
今日のわれわれ近衛メイド第三小隊12名の任務は、控え室付近での賓客の護衛でありますが、私はたまたま小柄で年が若く、ホーリーウッド家の若君らとまだ目線が合うだろうとホーリーウッド家の担当となりました。
祝宴前の待機中には次期ホーリーウッド侯爵閣下や、なぜかオケアノス家の若殿もいらっしゃったため
ユークリッド様や、そのお連れ様であるかわいらしい少女「アイラ様」のお世話や話し相手という役割は回ってまいりませんでした。
今はその祝祭への参加を途中で切り上げてお疲れの様子で部屋に戻っていらしたお二人と3人で狭い室内に同室することになったため、いつ話しかけられるかわからない状態であります。
こんなかわいらしいお二人と、いったいどんな話をすればいいのか、そもそも6歳や7歳がどんなことに興味をお持ちなのか・・・いつ話しかけられるかわからないという状況に戦々恐々としておりましたが、それはまったくの杞憂に終わりました。
「ふぁー疲れたー。」
「ふふ、お疲れ様アイラ。」
お部屋に入られたお二人は、それはまるで長く連れ添った夫婦の様にごく自然に、仲睦まじい様子で膝枕をはじめました。
少しの間愛しげに金髪を弄んでいたユークリッド様はしかしすぐに私のほうを見ておっしゃいました。
「アイラを着替えさせたい、手伝ってくれる?」
「かしこまりました」
それはお客様のおっしゃることは大概はお手伝いします、そもそも貴人の更衣なんてメイドのお仕事の代名詞のひとつですしね。
それもこんなにかわいらしいお嬢様のお着替えとなると少なからず心が躍ります。
私は近衛メイドではありますが、現在王室のサーリア姫様の着替えや湯浴みの手伝いは、ウーリヒールド少佐が勤めているので、私たち第三小隊は賓客がいる場合の身の回りの雑用や、お客様がいらっしゃらないときは他の一般のメイドと同様ハウスキーパーから割り振られて業務を行っています。
かわいらしいお嬢様の着替えを手伝う機会などそうそう無いのです。
常々かわいらしいお嬢様のお世話がしてみたいと思っていました。
さっそくとばかりに許可を得て、ホーリーウッド家が持ち込んでいた荷物容れからアイラ様のものと思われるフリルのついた白いブラウスシャツと淡い緑のキュロットスカートを取り出した私は、念のためアイラ様にこちらのお召し物で宜しいでしょうか?と確認を取った上で御召し替えを手伝わせていただいた。
見た目の幼さに対してもう6歳らしいアイラ様は私の妹の好きそうな(もちろん私だって好きではありますが)、妹に欲しいタイプの女の子です。
柔和な印象を受ける顔と体の輪郭に対して、その目は意思の強そうな鋭い光を宿されています。
眠たそうな様子ではありますがそれに抗おうとされていて、いっそうかわいらしく感じさせられてしまうのはなぜなのでしょうか。
「今寝たらドレスにシワが・・・」
なんて小さなつぶやきが聞こえてきましたが、聞こえないフリをしました。
さてアイラ様の着替えを終えると、次はユークリッド様の番です。
そう思ってユーリ様の部屋着を用意している最中に部屋の扉がノックされました。
メイドは室内に私一人なので私が取り次がねばなりません。
そして、来訪者の正体を知って私は心臓が飛び跳ねるほどの驚愕を味わったのでした。
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(ユーリ視点)
子どもという特権を活かして早々に待機室に引き返した僕とアイラは後は着替えて、両親とサークラ義姉さんの帰りを待つばかりだった。
アイラは6歳という体故か、それとも久しぶりの社交の場だったからか、広間を出る頃にはすっかりくたびれてしまっていて、すごく眠たそうに僕の腕につかまっていたのだけれど、あくびをしない様に口を瞑っていた。
宴の開始前にいた部屋に戻り、アイラは長い息を吐いた。
その様子が年相応に見えてかわいかったのでわざとらしく自分の膝をなで、アイラに目で合図すると、アイラは僕の膝に頭を乗せた。
その髪を撫でていると、本格的にアイラが眠たくなってきたのがわかった。
普段ならドレスや外着のままで寝ることなんてアイラはそうそうしないのだけれど、やはり疲れているのだろう目がうるうるとしてきている。
僕はつけられた城のメイドの方を見てお願いする。
「アイラを着替えさせたい、手伝ってくれる?」
「かしこまりました」
メイドは仕事ができることがうれしいのかそれとも、アイラがかわいいからうれしいのか、表情は微笑のまま、目を輝かせていた。
アイラが着替え終わったあと、後は僕が・・・という段になって部屋に来客があった。
その来客を取り次ぐために僕の着替えを用意してくれていたメイドはドアに向かい、その後僕に来訪者の名前を告げた。
「ユークリッド様、サーリア様がお見えです。いかがなさいますか?」
それはこの城の主人の一人の名前だった。
(サリィってば食事会まで我慢するんじゃなかったのかな・・・?)
僕はソファベッドの上で穏やかな寝息を立て始めたアイラの頭を撫でながら、王位継承権第二位の王族を室内に迎え入れた。
「やぁサリィさっきぶりだね。」
ここにはメイドしかいない、様付けで呼ぶ必要は無い。
それはサリィも同様で、彼女は僕の顔をまっすぐに見つめると
「ユーリ君とアイラちゃんに会いたくて抜けてきちゃいました。」
とサリィはいたずらっぽく笑う。
「ふふ・・・やっぱりサーリア様よりもサリィ様よりも、サリィと呼ばれる方がうれしいですね」
「城の外ならまだしも、祭事の最中に呼び捨ては難しいかな、それよりもよかったの?王族が抜けてきて」
いわば主催者側なのにまだ半ばの時間に抜けてきてしまうなんて、とサリィを顔を見ると少し照れた顔。
「私だってまだ9歳なんですよ?子どもだからという理由で抜けてきました。リントとエミーも抜けて私室に帰ってます。」
それはそうだね、なんだかんだ僕と2歳しか違わない、それが夜のパーティに何時間も出ていられるわけが無い。
そして僕たち以上に一箇所で立ちっぱなしか座っているだけだった彼女はきっと僕よりも疲れているだろう。
それがどうして部屋に戻らずこんなところに来ているのか・・・?
それはまぁ本人も言ったとおり僕とアイラに会いにきたのだろう。
しかし・・・
「アイラちゃんは寝てしまってるんですね・・・。残念です。」
と口をとがらせて少し不満げなサリィ、サリィも美人さんだからこういう表情が見られるのは珍しいし、なんとなくうれしい。
「まだ屋敷に帰らないといけないから、本格的に寝ちゃうと困るんだけどね、でもかわいいから起こしたくなくって・・・。」
アイラの髪を手櫛で梳りながら、サリィのにも触っていいよと目配せする。
「本当、かわいらしいですね。このままずっと撫でてたいです。」
美人具合でいえばサリィの方が美人だと思う、美人顔とかわいい顔というのは少し違うんだ。
どちらも美形であることに変わりは無いのだけれど。
それと同時一つの案を思いつく。
「サリィがそうしたいなら、一晩アイラを泊めるのもいいとおもうよ?実際屋敷まで連れ帰るのも大変そうだし。」
「え!良いのですか?」
とたんにサリィは目を輝かせる。
泊めるのはありだといったけれど、君も寝ないとだめだからね?一晩中撫でていられるわけじゃあないよ?
賢明なサリィらしくない様子に思わずその瞳を見つめる。
前世よりは3年早いアイラとサリィの初顔合わせは、賢くともまだ幼いといえるサリィにとっては、どれほどの刺激になったのかはわからないけれど、アイラという存在は彼女の中で存在感を持つものになった様だ。
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(アイラ視点)
少しの肌寒さの後、じんわりと全身を撫でる様な温かさに体の凝り固まったところが緩むのを感じた。
(ん・・・なんだったかしら?これ・・・あ、また・・・♪)
温もりが通り過ぎたあと、また少しして全身を撫でる様な温もりがもう一度。
同時にボクを呼ぶ声と水の流れる音がする。
「・・・ユーリ?」
重たい瞼をなんとか開けると、うっすらと明るく、妙に温かい部屋の中にいた。
「あ、アイラちゃん、やっと起きましたね。」
耳に届いたのは、懐かしい、血のつながらない心の姉の声
サーリア・イシュタルトが、若々しい姿でボクを見つめていた。
隣にはエイラの母のノイシュが湯浴みの世話をするための薄い生地の服をきて桶に入れた湯をボクにかけていた。
(なんだ、夢か・・・。)
まだ初顔合わせがすんだばかりの上、ユーリと一緒に休憩しているはずのボクが、お風呂場に入っているわけが無い。
こんな夢を見るってことは、アイラはきっと甘え足りなかったのだろう。
普段なら120年にわたる長い生の時間を認識している理性が邪魔をして、なかなか上手には甘えられないけれど、夢の中くらいならいいか・・・と考えてボクはまだ眠気に勝ちきれてないままでボクの肉付きの薄い胸に触れていたサリィの腕をつかむ。
「サリィねーさま・・・」
9歳のサリィの腕は華奢で、ボクの手につかまれてその動きを止めた、止めたことで、その掌がどこでうごめいていたのを理解する。
(!?)
「さ、サリィ姉様!?」
肉付きの薄い肌に走る刺激に一気に目が覚めてサリィの顔を見ると、サリィは緩みきった表情でボクを見つめていた。
「あぁアイラちゃん、もっと、もっと姉様って呼んでください。」
やや陶酔気味の声は、しかしそれ以上の興奮を覚えている様だった。
サリィが再びその手を動かし始めると、ボクは今なにをされているのかを急速に理解する。
「さ、サリィ姉様、ボク自分でできます。」
サリィはよく石鹸を馴染ませて肌理の細かい泡をたくさんたてた手のひらで、泡をボクの体にまぶす様にしては、肌を揉む様にしていた。
「王族の姉様に、体を洗わせるだなんて・・・いけません!メイドさんもなんとか言ってください!」
そういって体を捩りつつ、まだ初対面で名前を知っていてはおかしいノイシュに助けを求める。
「ここには姫様とアイラ様、そして私しかおりません、それに姫様がやりたいことがあり、それが道を外れる様な行いでないなら、私はメイドとして、危険のない様に見守るだけでございます。」
つまり、サリィのやりたい様にやらせるので、暴れない様にということだ。
助けは無い・・・、ていうか何でボクはサリィとお風呂に入っているんだろう?
夜8時頃にユーリと一緒に控え室に戻って服を着替えていたはずだけれど・・・。
「ユーリ君たちならもう屋敷に帰っちゃいましたよ?」
「え!?」
サリィがボクの不思議そうな表情から疑問を読み取って回答する。
ユーリもサークラも帰ったの?ボクを置いて・・・?
別に捨てられたりしたわけではないけれど、家族においていかれたというその言葉がもつ寂しさにすごく心が揺さぶられた気がした。
そしてそんなボクの動揺は声にもでていたのか、サリィはあわてた様子になった。
「ご、ごめんなさいアイラちゃん、ウソです、まだみなさん宴に参加中です。ユーリ君も先ほどまで二人の部屋にいたメイドがお風呂に入れています。私が悪かったですから、そんな泣きそうな顔しないでください。」
サリィの説明によればあれからボクが部屋着のブラウスとキュロットに着替えてから15分ほどしか経っていないらしい。
ボクが熟睡し始めていたので、これはまずいとお風呂に入れてさっぱりさせて、馬車に乗るまではなんとか目を覚ましていてもらおうと、お風呂に入れることにしたらしい。
ユーリからは起きない様ならボクを城に泊めるのも吝かではないと言葉を引き出したが、ボクの帰りを待つ妹2人のためにも今日のところはちゃんと屋敷に返してくれるとのことだ。
今日のところはという不穏な言葉に少し引っかかりを覚えつつもボクはサリィの期待に答えることにした。
「サリィ姉様の背中、ボクが流しますね!」
堂々と告げるとサリィは「まぁ♪」と喜びの声を上げてボクを開放した。
ボクを羽交い絞めにしていたんじゃあボクがサリィの背中を洗ってあげられないからね。
「そういえばアイラちゃんは、おじい様・・・陛下の前ではワタクシと言っていましたが、普段はボクと言うんですね・・・独特でかわいいです。意志の強そうなところが、利発なアイラちゃんにあっていると思います。」
背中を泡を使って優しく擦っていると、サリィが唐突にボクの一人称についてたずねた。
それなりに距離はあったと思うのによく見ている。
さすがは未来の女王様だ。
「さすがに公の場で、陛下に対しては、わたくしと言わないと失礼でしょう?今は公の場ではありませんし、サリィ姉様にはいつものボクとして話してます。」
人称の違いについていいわけをすると、サリィは後ろから見てもわかるくらい、更にうれしそうに頬を綻ばせた。
湯船に浸かるとサリィは後ろからボクを抱きすくめ膝の間に挟みこんだ。
「さっきも言いましたけれど私、アイラちゃんみたいな妹が本当に欲しかったんです。」
ボクの両腕を封じる様に腕が回され肩甲骨の上の辺りに膨らみ始めたばかりの硬さの残る2つの肉が触れたのが分かる。
「サリィ姉様にはエミリー様がいらっしゃるではないですか?」
エミリーは母親こそ違うが、ヴェル様の娘であり、サリィの妹だ。
見た目はなんとなく純朴なイメージを受ける地味な子で、サリィよりもやや色のうすいライトブラウンの髪の毛は癖が強いため、いつも髪をねじねじしたり先端を結んでおもりになる様な髪留めをつけている。
性格はやや気が強く、細身で筋肉質な男性を好む。
「あの子は、もちろん大切な妹なのですが、あの子をおおっぴらにかわいがることはできないんですよ・・・。」
とサリィは悲しそうな目をする。
「アイラちゃんは知ってるかわからないですが私は、男児で長子のハルベルト兄様やリントを差し置いて、父の次の王位継承権を持っています。エミリーの母親それにオルガリオやグレゴリオの母親も子をたくさん作らせるためにと陛下が輿入れさせた方たちですが、私が生まれた途端に父から愛をむけられなくなった方たちですから、もちろん父は3人に対しても子どもたちに対しても最低限の交流は持っていますが、あの方たちも、弟妹もきっと私を恨んでいます。」
ジークはおそらくは、「鑑定」持ちの子どもが自分の子どもにできなかったことを憂いていて、早く孫世代にでも「鑑定」持ちを見出したかったのだろう。
「鑑定」持ちこそが王位継承の最大の条件であり、過去2世代より離れたことはないという条件だ。
孫世代に鑑定持ちが現れるまでは、安心できなかったんだろう。
そして・・・サリィに「鑑定」の能力が継承されたので、ヴェル様にもその内容を明かして、側室を抱けという圧力を緩めたのだろう。
そうなればもともとフローリアン様に対してベタ惚れなヴェル様が義務以上のことはしない・・・か、まったく大切にしていないというわけでもないだろうけれど、サリィが心配になるのもわからないではない。
でも・・・
「サリィ姉様は難しく考えなくてもよいのだと思います。」
「え・・・?」
サリィはボクを抱きしめる腕を緩めて、後ろからボクの顔を覗き込む様にした。
「サリィ姉様は高い王位継承権を持っていますが、ただの9歳の女の子なんですから、妹がかわいくて当然なんです。ましてやボクみたいなまがい物の妹とは違って、エミリー様は血がつながっておいでなのですから、かわいがることに何の不都合があるでしょうか?」
そう告げると、サリィは少し困った顔になった。
「いや、だから私がエミリーをかわいがるとその背後の・・・」
「だからそれが何か関係あるんですか?」
生まれてからずっと王城で暮らしているサリィが、人の顔をうかがって物を言うのはまぁ仕方ないのだろうけれど
「ボクたちは子どもです、サリィ姉様も、エミリー様も子どもです。今日はリントハイム様に手を引かれていらっしゃいましたが、ずっと不服そうな顔でちらりちらりとサリィ姉様の方を見られてましたね、まぁそれ以上に軍務系の貴族家の方をご覧になっていた様な気もしますが・・・どうも筋肉質な殿方がお好きな様ですね」
エミリーがサリィに向けていた視線は、興味だ。
正室の娘のサリィと側室の娘のエミリーは生まれてからずっと別の棟で暮らして、あるいはサリィの言うとおりに周りからはサリィのことを敵だといわれているかもしれない、でも彼女がサリィに向けていた視線はただの興味だ。
敵意も好意も伴っていなかった。
「サリィ姉様がかわいがりたいと思うなら、エミリー様をかわいがることができます。それを表立って非難するとその人が、不敬罪になるくらいですかね。なので、サリィ姉様はエミリー様を表立ってかわいがることができます。あとはエミリー様と仲良くできるかどうか位で、それも一度サリィ姉様が寄っていかないと無理です。ボクにはこんなにグイグイ着てるんです、血のつながった妹くらい軽いですよね?」
右後ろを向いていると疲れるので、言い終えたら前に向き直って目を瞑る。
お風呂であったまるのはいいけれど、そろそろのぼせそうだね。
「アイラちゃんはすごく・・・なんていうか、すごい子ですね。私ずっとエミリーのこと見てたのに、まだ悪意すらもたれてなかったなんて・・・。でも一つだけ間違ってます。アイラちゃんも血の繋がった妹分ですよね?母から聞いています。母の従妹にあたるんですよね?」
あれ・・・?父の出生のことは公にはしないで隠しているのに、サリィにはすでに話がいってるのか・・・、誰に伝わっているか位は情報が欲しかったところだ。
驚く様子もないしノイシュさんは、もっと巨大な秘密事のエイラのこともあるし緘口令を敷くまでも無いんだろうね・・・。
「すでにご存知なんですね。ほかにはどなたが?」
そう言いつつ、浴槽の近くで待機しているメイドを見つめながらたずねると
「はい、そのとおりでございます。メイドの身分で伺っておりますのはわたくしだけでございますね。王城ではほかに陛下、ヴェルガ殿下、フローリアン妃殿下は無論ご存知でございます。」
予定外なのはサリィとノイシュさんだけか・・・。
「なので、アイラちゃんはもっと私に対して甘えるべきだと思います。それからアイラちゃんのお姉様も妹も私に紹介してください。」
首肯するとサリィは先ほどまでよりももっと激しくボクを抱きしめた。
五月病的なやつで、元気が無いです。
目指せ年内の完結!を目標に書き進んで生きたいと思います。




