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第179話:宮城工房にて

(アイラ視点)

「たーたぁ♪たーたぁー?」

 小さな掌をグッパグッパとしながら、幼女ヒビキは神楽の頬に手を伸ばして上機嫌な笑顔を浮かべている。

 逆さまに空を蹴る後ろ脚のその付け根にヒロちゃん言うところの●●●●ニャーンが丸出しになっているハズだけれどセントール族は中肢以下の体毛が濃いため未熟なその部分はよほど近づかないと見えないし、あまり気にしないことにした。

 よく汗をかく上、自分では調整出来ないので、ズボンの様な物は穿かせない方が良いとのことだし、そもそも考えてみれば日ノ本でだって2歳くらいの幼子おさなごが公園の噴水ではだかんぼで遊んでたって、微笑ましいものとして見ていたものだ。

 ヒロちゃんくらい大きくなれば若い娘としてはしたないとか、初潮前の娘に欲情する危険な輩ヘンタイもいるからとたしなめるところだけれど・・・。


 それにしても神楽にはやはり格別に懐いている。

 ヒビキの認識がどうなっているのかは相変わらずわからないけれど、彼女は3カ月の間人と出会わず。

 ク魔物たちだけを頼りにして生きてきた。

 それが人の暮らしの中に戻っただけでも懐かしかっただろうに、恐らくは彼女の母と同様に黒い艶やかな髪の神楽と出会ったのだから、仮に母が迎えに来たと勘違いしていたとしてもおかしくはないことだ。

「(とはいっても、母ではないと考えてそうな雰囲気があるけれどね、それでもナディアには普通に懐いている程度だし、頭の上に耳があるという点でより母親に輪郭が似ているハズのトリエラよりも、神楽に懐いているんだから、よほど顔が似ているんだろう)」

 手が届く時はあぁやってすぐ神楽の顔に手を伸ばすしね。


 ヒト族でいえば、乳児ではなく幼児扱いの月齢だけれど、3歳~5歳までが授乳期間として一般的という扱いになっているセントール族では彼女くらいの月齢は乳児なのだろうか?幼児なのだろうか?

 どちらにせよ、幼い彼女が幸せそうに神楽に甘えているのは、見ていて頬が緩む光景だ。

「はい、たーたですよー」

 神楽は神楽で、17歳という日ノ本であれば(もちろん出産経験があっても不自然ではないが)まだ学生でもおかしくない年齢でありながら、すっかりお母さんみたいな顔をして、ヒビキをあやしている。

 でも17歳で2歳前の子どもならさほど不自然なことでもないか。

 特に面白いことはしておらずただ優しい顔で返事をしているだけれど、ヒビキは嬉しそうにしている。

 通路を歩きながらそんな二人の様子を眺めていると、隣を歩くユナ先輩が声をかけてきた。


「ところでアイラ様、先ほどの地響きと大きな音はお聞きになりましたか?」

 地響きと音?

「いえ、先ほど地上に戻ってきたばかりですが、そんなものは聴いてないですね」

「そうですか、もう20分ほど前のことなので・・・地下には聴こえなかった様ですね、失礼致しました」

 ただそれだけで彼女は引き下がるけれど、すぐ前でボクたちの会話を聞いていた者が反応を示す。


「口を挟んで申し訳ございません、それでしたらおそらく城内の訓練場でケイコ・チョウビ様がシンチョウ・ヴォーダ様に手解きなさるということでしたので、そちらの音かと思います」

 奏者見習いのノア・ウェイター、リコン(おそらく地球で言う狸のこと)獣人の彼女は、丸々とした耳と尻尾が特徴の女の子で、ボクと同い年。

 特別整っているわけではないけれど愛嬌のある顔立ち、今は緊張しているのか少し強張っているけれど、オルセーやソニアみたいな人懐っこい感じの笑顔が似合いそう。



「あのお二人が、先輩たちに地響きが届くほどって、結構危ない様な?」

 片方新人とは言え二人ともダイミョウという責任ある立場であるのに、地響きさせる様な訓練って、うっかりどちらかがケガをしたら無用な軋轢を生むのではないか?

 と、少し不安になる。

 現在は協調関係にあるとはいえ、この大陸のダイミョウとシュゴは長く領地を奪い合う様な関係性になっているらしいし、訓練でそんな衝撃の伝わる様なことをした時点で騒ぐ家臣とかもいないのだろうか?

 今は家臣たちが遠ざけられているので大丈夫だとしても、こんな話が漏れ伝わればなおさら『手解きにかこつけて当主を亡き者にしようとした』なんて言い出す者がいるかもしれない。

 少なくともダイミョウ家であったサンキの幹部のアレ・・だったら、都合良く、相手だけが悪かった風に考えてしまうだろう。

「大丈夫かと、ケイコ様はセントール最強の手練れですので、あの方が手解きと仰るのであれば手解きの範囲を超える様な危険な技はお使いにならないでしょう」

 と、ノアは言うけれど少しだけ不安材料、覚えておこう。


 その後、通りがかる場所の説明を簡単に受けながら工房へ向かった。


---

 工房に着いた。

 2階分ほどの高さのある天井に奥行きもかなりある。

 工房にはアシガルやホロのグソクらしきものが壁際に並んでおり、さらに奥の方にはひときわ大きなグソク・・・いやダイミョウ鎧だろう、先ほど地下で見た物たちに劣らない威容が佇んでいた。

 またヒビキが怯えてしまうかもしれないと思ったけれど、先ほどと違って寝起きというわけではないからか、それとも単に神楽に夢中だからか反応していない。


 さらにノアが奥に進んでいくのでついていくと、ダイミョウ鎧らしき物の方へと向かっている様だ。

 もうヒビキもダイミョウ鎧の存在に気づいているはずだけれど、おびえた様子はない。

 ただ歩きたがったので途中で下して、今は左右の手に神楽とナディアの手を握り引っ張っている。

 3人とも艶のある黒髪なので、正面からみれば姉妹の様だ。


 さて、ダイミョウ鎧のすぐ近くまでやってくると、その隣にはエッラのセイバー装備、嵐の槍騎士ストームナイトと愛しい良人おっとの姿がある。

「アイラ」

 とだけ呼んで微笑む良人ユーリの姿に安心する。

 ほんの少し離れただけなのに姿が見える様になっただけでなんでか安心する。

 だけど、そこにエッラとフィー、それに先行したエイラとメグの姿はない。

 代わりに見知らぬ女性が一人、ユーリの隣に立っていた。


「ユーリ、エッラとフィーが居ないみたいだけれど・・・こちらの方は?」

 隣に立っているのに、こちらを向かないままで何か設備を操作しているその女性は、ヒト族で名前はフェア・ウェイ、ミカド同様年齢が5桁でバグっていて下二桁は45となっていることと意志力がミカドに匹敵する2800程もある以外はステータスに目立つところはない。

 外見は20代半ばから30台といったところだけれど、ミカドに近い存在なのだろうか?

 つまりある程度の年齢になると巻き戻る様な・・・。


「彼女はこの工房の責任者のフェア・ウェイさん、今はちょっと数値の計算中だから、反応できないってさ」

 彼女の手元を見ると、壁際にある台の上に先ほどエッラに渡された小箱が乗っており、それに向かって指でなにか空をたたいている。

 おそらくマギアギアにも、マジカレイドシステム同様直接視界に映像を投影するシステムが内蔵されているのだろう。

 そして彼女がミカドが言っていた操作する方法を知っている者ということだ。


 ボクには今は彼女が操作している物は見えていないけれど、魔法力の流れを追いかけることはできる。

 今はどうやらストームナイトの方へ何らかの魔法力のパターンが伝わっている。

「それとエッラたちは今表の訓練場で、エイラたちは先にそちらに向かって貰ったよ、僕だけここにいるのはまぁ・・・わかるよね?」

 ユーリはエッラたちの事はもちろん、口には出していないエイラ達のことも伝えてくれた。

 彼がここに残っているのは国の機密扱いであるセイバー装備を他国どころか他大陸の者に触らせることへの責任感だろう。

 たとえミカドの保有する技術の方が優れていようとも、貴族という立場上、セイバー装備を監督下に置くのは当然のことだろう。

 構造を触らせている時点で技術の隠匿的には意味のないことだとしても・・・。

 それくらいはわかっているともさ、エッラとフィサリスはなにか必要があって訓練場の方へ・・・そうか、きっと例の地響きに関係しているんだろう。


「(危険がないか確認しに行ったとかかな?)」

 浴場の詳しい位置はわからないけれど、ボクたちが合流した場所を考えればそれなりに距離があると考えられる。

 それなのに地響きがしたということは、すぐ近くだというここはさぞかし凄まじい地響きがしたに違いない。

 別にやましいことがあるわけじゃないし、聴いてみよう。

「ユーリ、何かさっき地響きの様なものがあったらしいけれど?」

 尋ねるとユーリは頷く。


「うん、ケイコ殿がシンチョウ殿に技の試し撃ちをして見せたらしいよ、すごい音と揺れだったよね。少なくともセメトリィやアクタイオン並みの破壊力はあると見ていいと思う」

 旧帝国、現在のルクセンティア侯爵領と王国軍を代表する勇者の一人名前を挙げて、比較的近くで推し測ったその威力を評した。

 仮に実力もその二人並であるとしたら、龍の島組を除いてこちらで勝ちが濃厚なのはボクとユーリ、エッラ、神楽くらい、そういえばケイコ女史のステータスは魔法力以外はエッラに匹敵するものがあったはずだ。

「(エッラ並・・・とか考えたくもないな・・・)」


 エッラは普通の人間の中ではサテュロス最強の勇者だ。

 今となっては勝てる見込みのあるのはサテュロスの人間ではボクとユーリくらいだろうか?

 おそらくバフォメットさんや、ナタリィも勝てるのだろうけれど、伝説的存在であるので例外だろう。

 ボクとユーリも転生者で周回者であるために持って生まれた物があり、それがなければ今のエッラには手も足も出なかっただろう。

 前述のセメトリィや、それ以上の熟練の勇者である『剣天』や『魔砲将』を含めた3人でエッラの模擬戦相手を務めることがあることからもその異常な強さがうかがい知れるというものだ。


 エッラの強さは恵まれた身体能力もさることながら、臆病ともいえる慎重さと、かと思えば視界の端で隠し武器に手を伸ばした人間を2秒もしないうちに捕縛してしまう咄嗟の判断力、そして非常に戦闘向きで攻守に優れた風系等の高い魔法適性、ついでに胸に視線を誘導し易い上、その矮躯から初見の相手からの油断を誘い易い。

 胸がなければ12~14歳くらいの子どもにしか見えないのだ。

「(ボクたちにとっては頼りになる優しいお姉ちゃんメイドなんだけどね)」


「そっか、まぁこの後エッラたちを迎えにいくからその時に改めて挨拶しよう、これからしばらくはサンキ対策を一緒にするかもしれないしね」

 ほんの数分ユーリと談笑、さらにユーリも改めてヒビキと顔を合わせてお話したりしているとようやくフェア・ウェイが作業を終えたらしくこちらに向き直った。



「お客様をお待たせして申し訳ありませんでした。私はあまりこれの扱いが得意というわけではないので、集中させていただいておりました。工房の責任者を務めさせていただいております。フェア・ウェイと申します」

 こちらを向いたフェア・ウェイさんはおっとりとした雰囲気の女性で、とてもアシガルグソクの整備をする様な人には見えない、実際この工房内には現在ワークマンタイプと思しき禁軍が2体いて、手際良くダイミョウ鎧の脚部の装甲を剥がしているので、実際に動くのはワークマンなのかもしれない。


「アイラ・イシュタルト・フォン・ホーリーウッドです。エレノアの主人で、ユークリッドの正室です」

 神楽とナタリィも無難に挨拶を終え、少し工房についての説明を受けた。

 グソクの研究やシュゴ鎧、ダイミョウ鎧の調整をするための場所で、今近くにあるのも元コンセンのダイミョウ鎧カイドウで、これからシンチョウ氏の戦闘スタイルに合わせて改修するそうだ。

 改修するといっても、動力部以外ほぼすべて取り払い、骨格と外装は例の地下に運ばれるそうだ。

 やっぱりフェアさんは例の地下を知っているらしい。

 

 そして工房の説明をひとしきり終えると、彼女はボクとユーリに向かって真剣な顔で提案を始める。

「まずこちらのエレノア様の鎧と籠手についてですが、ミカドの提案通りに普段から身に着けていらっしゃる籠手の方をマギアギアと連結させて、鎧の方にフラグメントを配置しダイミョウ鎧の代わりといたします。そしてマギアギアの機能を使って鎧と籠手の間に関係をつないでおきますので、瞬間的な装着や生身の時にもリアクターから抽出した魔法力を利用したりできる様になります。これはマギアギアを搭載していないダイミョウ鎧には無い機能です」

 リアクターはフラグメントに内包されている周囲の魔法力を集積・抽出する機構だったか?

 その魔法力を鎧を動かす以外にも利用できるということは、普段から増槽と原動機を付けて戦える様なものということか、継戦能力の向上につながりそうだ。


「そちらは一度ミカドからも伺いましたので、その様にお願いします」

 ダイミョウという名分をもって、サンキの持つダイミョウ鎧を奪うことになることがおそらく濃厚な以上、嵐の槍騎士をダイミョウ鎧替わりにすることは承知済のことだ。

 怪しい設備を取り付けられる様なら中央とも敵対することになるだろうけれど、ミカドの事は信頼できると思っている。

 続いての提案は少し驚かされたけれど・・・。


「それからこちらのカイドウ、いえシンチョウ殿のダイミョウ鎧についてなのですが、よろしければサテュロス大陸の技術を少しでもご提供いただけないでしょうか?」

「鎧の技術はミカドの保有する技術の方が高いと思いますが?」

 と、応えながらカイドウを見上げる。

 7mちょっとくらいだろうか、見事なものだ。

 これだけの大きさのものが自立し、人が操ることで戦場を駆けるのだ。

 サテュロス大陸ではボクが送り出したセイバー鎧でも東方の戦線を一瞬で混乱に陥れた。

 この大きさの鎧の威圧効果はより大きなものになるだろう。


「はい、それは否定致しません、ですがわれわれの保有する技術は、古のモノを再利用しているだけにすぎず。個人向けの調整や現在のセントール人の魔法力的適性などに即すことが難しく、また私もミカドも教育を受けた技術者ではありませんので、持てる技術のすべてを的確に採用していくことが難しいのです」

 とんでもない暴露だ。

 やはりと言っていいのか彼女は技術者ではないと漏らした。

 古の技術を任せられるものが他にいないから彼女が担当している。

 そういうことなのだろう。

 そして、もっとやばい技術を隠していそうなことも分かったけれど、それはまぁあの地下施設をみれば想像できたことだ。


「つまり、こちらの技術でその調整出来ない部分を補うということでしょうか?」

「はい、その通りです。それで出来れば皆さま方にフラグメントとダイミョウ鎧の構造を理解していただき、残りの鎧については皆様自身での改修をお願いしたいのです」

 残りの鎧・・・、それはボクやメイドたちの持っているセイバーもダイミョウ鎧化するということ、ミカドも少し言葉を濁していたことだけれど、ボクが回収しているサテュロス大陸の魔剣たち、今は暴走状態にあるそれをミカドが持っていた小箱で鎮めて、それを鎧に組み込む。

 嵐の槍騎士の説明通りにすべての鎧がうまく適応で来たならば、ダイミョウ化セイバーの性能は、ボクが隠匿したままにしている今の技術では実現不可能な未来のセイバーよりも上のモノになるだろう。


 シンチョウ氏の鎧の改修を手伝うことで、事前にその性能を把握できることも今後の共闘、そしてもしも敵対する様な事態になってしまった時に大きな強みとなる。

 それでこちらから技術を供与することになるが、隠したいものを隠すことは出来るだろう。

 こちらもダイミョウ鎧やミカドの保有する技術を多少なり学ぶ事ができるのは悪い話ではない。

 問題は専門の技術者をボクたちが連れてきていないこと、ボクと神楽、エッラ、エイラ、ソルとが多少はセイバー開発に携わった位だが、出来ることももちろんあるけれど、出来ない事も多い。


 特に魔法陣関連の技術は、既存魔法の図式化、対象物に対する図の最適化、実際の刻印と、魔法操作に細心の注意が必要で、素人にはなかなか難しいのだ。

 床や天井など平面の多い倉庫などに施すものであればまだましなのだけれど、鎧など曲面の必要な位置への刻印には慣れた者が必要だ。

 とはいえ、最悪鎧へ魔法陣を施さずとも、魔法的武装の技術だけでもそれなりに役立ちそうではある。


「なるほど、その話お受けしようかと思います。運用の難しい技術は無理ですが、できる限りのことはさせていただきます」

 ユーリもうなずいてくれたので返事をすると、フェアさんは笑顔で頷いた。

「ありがとうございます。饗応には私も同席させていただきますから、その時またご挨拶させていただければと思います。それではもう少しかかりますので」

 そしてそれだけ告げると再び何か打ち込み始めてしまった。

 失礼な態度だとは思わない、彼女の仕事は鎧やグソクの調整であって、客人のもてなしではない。


 しかし彼女が嵐の槍騎士の調整を続けるのであればだれかこの場に残るべきだろうか?

 チラっとユーリの方を見ると、ユーリは微笑みを浮かべてこちらを見下していて

「それじゃ行こうか?」

 とボクに手を差し出した。

 おや?と思う。

 ユーリはイシュタルト王国貴族としての責任を感じて王国のセイバー技術の流出を警戒してこの場に留まっていたわけではないの?

 

 嵐の槍騎士をこの場に残し、監督下に置かないことで失うものはおそらくないので、問題ないと言えばないのだけれど・・・。

「ねぇユーリ?どうしてエッラと別れて待ってたの?」

 フェアさんの手前ストームナイト、置いて行っていいの?とは言わずに言い換えて尋ねる。

 するとユーリは大きく凛々しくなってもなお可愛らしく感じられる笑顔を浮かべた。


「だってアイラは僕たちが工房に向かったことまでしか知らないじゃない?僕を迎えに来てくれるなら訓練場よりここが先でしょ?」

 えっと、つまり最初からセイバー装備への責任感とかではなくて、単純にボクと早く合流したかったからってこと?

 なんというかそれは・・・いけない、深く考えると照れるヤツだ。

 アイラボクの肌は赤くなると目立つのだからこれ以上考えるのはやめよう。


「そっか、行き違いとかなると面倒だものね・・・」

 だからできる限りそっけなく応えて

「それじゃあエッラたちの方へ向かおうか、ノア、案内は任せても大丈夫?」

 彼の手を握りながらまだユーリに紹介もしていない案内役の娘の方を向く。


「はい、それではご案内いたしますね」

 置物の様にジッとボクたちを待っていた彼女は役目を与えられるとすぐに先導を開始した。


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