第15話:早すぎる再会8
前作を読まれた方は平気かと思われますが
やや変態性のある描写が含まれます。
変態が苦手な方は最初の区切りの後、最後の区切りまで飛んでいただければと思います。
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明け方に目を覚ました金の髪の少・・・幼女、は日頃の様にまずは妹たちを起こすことなくベッドから抜け出し子ども部屋を出た。
玄関すぐのスペースに年若い女性の護衛二人がいた。
幼女にそう思われるのは癪であろうがまだどこか少女らしい面影を残した女性二人は毛布をかぶって座ったままで眠っていた。
それを見て彼女らを起こさない様に気配を消した幼女は、彼女らにまったく気づかれることのないまま自身の欲求の赴くままに行動を開始した。
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一方玄関を守っていた女性の護衛、近衛見習いのマイヤ・マイヤネン伍長とブランシュ・フランソワーズ・トランティニャン伍長のうちマイヤ伍長は冬場の玄関先という冷える環境のためか尿意を感じて目を覚ました。
マイヤ伍長は4年前に基礎学校を卒業して、頭はそこまでよくもなかったが、真面目で体力があり、運動神経もよかったためホーリーウッドの正規兵を進路に選び中級兵からの任官となった。(基礎学校卒業者は中級兵からの任官)
その後順調に昇級し現在16歳でお付き合いの経験はゼロ、そろそろ、いい人でもいないかな?と焦りを感じ始める齢である。
しかしながら、基礎学校卒の女性で4年弱で伍長になっていることからも彼女は頭がよいか腕っ節の強い女性であると喧伝している様なものであり、さらには正規兵という職業柄もあり、彼女の出会いはほぼ同業者に限定されてきた。
同業の兵士のほとんどは命を預ける同業の女よりも、討伐任務明けなんかに癒してくれる市井の女性を求めているのだ。
普段一緒にいられないからこそ盛り上がる気持ちというものもある。
結果、年若く多少見目が良いとはいえマイヤに対して抱いてみたいという欲を持つ男性はいても、結婚を前提の交際をしたいというものはいなかった
そしてそういう半端な下心を持った男の視線というのはわかるものである。
そうしてマイヤは同業の男性のほとんどが苦手になっていた。
ほとんどというからには無論好意的に思える男性もいるのだが、その大半はすでに枯れているか、結婚しているか、婚約者がいる男たちで、マイヤのことを良い女友達か同僚としてしか認識していなかった。
それはまぁそれでいいのだと彼女は感じていた。
男女の間にも友情は成立するのである。
(いっそ第二婦人とかでも構わないのだけれど・・・)
夢見が悪かったのか寝起きからそんな考え事をしていたマイヤ伍長は普段ならやらないポカをやった。
まぁ、一応玄関外で男たちが見張りをしているので許可されて寝ていたとはいえ、一応二人して廊下で寝ていたのだ。
誰か通れば気づいているはず、という無意識の慢心が彼女のミスを誘発した。
寝起きの彼女が目的のドアを開けた瞬間に、かわいらしい声が聞こえた。
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(アイラ視点)
もうすぐ5歳という節目になり、なんとか夜中に起きなくても朝まで膀胱が持つ様になってきた。
尿意で目が覚めるというのは体が感覚に慣れるかどうかの問題なので、精神的に成熟しているとはいえ、2歳になるくらいまでは頻繁におねしょをしてしまい、精神的に成熟しているからこそ大変に恥ずかしい思いをした。
というか現在も一緒に寝ているアニスがしょっちゅうおねしょをするので、今日の様にすがすがしく目を覚ますことができるのは貴重な日である。
一応アニスには布オムツをつけているので布団を濡らすわけではないのだが、匂いとむわっとした湿気で目を覚ますことになるのだ。
汚いとはいわないが、すがすがしさはない。
そんなわけで結構ギリギリではあるが何とか朝まで一度も起きずに約8時間ぶりの快楽を味わうべく便座に座ったのだけれどどういうわけか、おなかがキリキリするくらい限界のはずなのにいくら下腹部に意識を集中してもなかなか出てくれない、もう下着も下ろして準備万端なのに、なかなかうまく出すことができないでやきもきしていると廊下に動く気配がある。
この家の中には玄関以外にカギのかかる扉はは両親の部屋の金庫くらいしかない。
村の環境では個室やトイレにまでカギをつけるという文化は発生しなかった。
トイレや個室はノックすればいいのだから。
そして5歳の子どもは普通気配を読めないので、ノックされるまでは入ってますとも言わないのが正しい対応だ。
っと、意識が良い感じに逸れたからなのか、ようやく硬くなっていた筋肉が緩み始めたらしく、勢いはそう強くないもののピシーと水音が聞こえ始めた。
ほぅ・・っと気も緩む、きりきりとした痛みが引いていく。
そしてそのタイミングでトイレのドアは無遠慮に開け放たれた。
(ノックなしで!?)
「ひゃー!入ってますぅ!!」
「え、あれ!?なんで!?」
(こっちが何でだよ!?てか早く閉めなさいよ!)
我が家のトイレはドアが廊下側に開く様になっていたため、ドアが開くのを此方からとめることができず。
まぁそもそも今のアイラの体では座った状態からドアに手がとどかないのだが・・・。
そのせいでこちらからドアを閉めることができない、またようやく始まったばかりのボクの黄金な伝説はまだ終わる気配はなくボクは公開収録を強要される形になった。
そしてそんなモノをボクに強要した女は、ギリアム様とともに夕べここに止まった女性兵士の一人、キスカと同い年くらいの水色っぽい髪色だから、マイヤネン伍長の方だ。
彼女は未だドアを閉めることもせずボヤボヤとしている。
ここが戦場なら君はもう死んでいるよ?
「あの・・・いいから閉めてください!」
「あ!失礼しました!!」
いつまで経っても動き出す気配がないので文句を言うと彼女はドアを閉めた。
わざわざトイレの中に体を入れて・・・。
(なにこの人?もともとトイレに入るつもりだったからトイレに入ってきたの!?)
ボクもすでに錯乱中のため考えがまとまらない。
そして彼女は振り向きながら言った。
「ど、どうしてここにいるの!?」
(こっちの台詞だよ!!)
そして丁度、黄金な伝説の収録が終わった。
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裁判は、秘密裏に、そして一方的な上下関係を伴って開廷された。
すなわち、責めるボクと責められるマイヤネン伍長だ。
場所はまだ誰も起きてきていなかったので食堂を選んだ。
一応持ち場を離れさせてしまうため、相方であるところのトランティニャン伍長には、早く起きたので、彼女とお話をしてみたいといってマイヤネン伍長を借りる許可は得た。
後ほど辻褄合わせのためトランティニャン伍長とも話さねばならないが、実際お話はしてみたいのでよしとしよう。
彼女たちは前世にはいなかった人たちだ。
まぁどこかにはいたのかもしれないが、ちゃんと出会ったことがない。
彼女たちがギリアム様の護衛に含まれるほどのものたちなら、人となりを知っておくのは決して無駄にはならないはずだ。
「それでは話していただけますか?何のためにボクの、その・・・覗いたんですか?」
口に出していうのも憚られる、とんだ辱めを受けてしまった。
「えっと、特にその理由とかはなくって、ただ私とアンとで見張ってたから、トイレには誰も入っていないはずと思いこんでしまって・・・そのあとは寝ぼけて対応を誤ってしまいました。申し訳ありませんでした!」
拍子抜けした。
単に寝ぼけていただけの様だ。
「仮にも次期侯爵閣下の護衛として家の中にお泊めしたのに、玄関を男性が守っているとは言え油断しすぎではないでしょうか?ボクがギリアム様を暗殺しようとしていたら出来たということですよね?何のための護衛なんですか?」
ちょっといじめすぎかなとは思うけれど、ボクは辱めを受けたので責める。
ノックすればそれで問題なかったはずなのに、最近の若いホーリーウッド人はノックも出来ないのか?
アイリスでも出来るというのに。
「返す言葉もございません・・・。」
まぁ実際この二人がウェリントン家に泊まることになったのは護衛のためよりは客人を泊めるのに使う教会の部屋が足りないことと、この二人が一番年若く、年頃の娘と息子がいる家の中に泊めるのに抵抗が少ないからと判断されたからだ。
ウェリントン家の周りには8人の男性兵士がテントで夜を明かしていて常に3人の兵がおきて、一人が玄関、2人が庭側で見張っていた。
広場には残りの男性兵士がテントを張っていたし、見張りの数は十分に足りていたのだ。
しょぼくれるマイヤネン伍長を見ていると怒りが冷めてきた・・・・。
冷静になればボクはまだ表向き5歳前、なら別に男でもなくまじまじと見られたわけでもない、そして彼女は別に少女性愛の人でもないようで、本当に単に寝ぼけていただけなのだろう。
「反省したのなら良いです。今後は慢心せずしっかりマナーは守ってください。」
といって無罪ではないが実刑は5歳児からのでこピン一発となった。
その後辻褄合わせのトランティニャン伍長との対話をして、二人と今回護衛として随行しているほかの6人の女性の簡単なプロフィールを入手したところで、母ハンナが起きてきたため朝食作りの邪魔にならない様に一度部屋に戻ることにした。
戻り際玄関前で待機していたマイヤネン伍長が申し訳なさそうに頭を下げ様とするので、手で制してそのまま部屋に戻った。
せっかくごまかしたのにまた謝られたら、トランティニャン伍長に勘ぐられるかもしれないからね。
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その後いつもの7時半くらいにサークラがボクたちを呼びに来た。
食堂に入ると、うちの家族とギリアム様が部屋の中にいる状態になった。
なおマイヤネン伍長とトランティニャン伍長は玄関前の人たちと合流している。
冬の朝食がやや豪華に卵と塩漬け肉とニンジンの葉をパンに乗せたもの、さらにイルタマをマッシュしたものにゆでたニンジンとが並べられており、アニスを幼児用のイスに座らせたところで、食事を開始した。
まだ食べ物で遊ぶことのあるアニスと同席することになったギリアム様は、決して嫌がるそぶりは見せず。
アニスのことを愛しそうに目を細めて見つめている。
考えればギリアム様にとっては年の離れた従妹となるわけで、それはまぁ多少のことには目をつぶれるかと納得した。
そして、恙無く、アニスがマッシュしたイルタマを握りつぶしたものをテーブルにスタンプしたり、飲んでいたエッラのミルク(エッラが朝もって来てくれるのでアイリスがそう呼ぶ牛乳のこと)が口からあふれて床を汚したり、ニンジンの葉が苦いと口から手で引っ張りだして投げたりといったことを問題ないとするのであれば恙無く食事が終わり。
父とギリアム様が視線を合わせ、頷き合ってから口を開いた。
「みんなちょっと聞いて欲しい。夕べギリアム閣下・・・いやギリアムと話し合ったことなのだが」
このタイミングでギリアム様の呼び方が呼び捨てになったということは出生の秘密を話すということなのだろう。
ハンナ母さんとサークラは片付けをしながら、トーレスは緊張した面持ちで父の言葉を待っている。
アイリスは着替えるために一人で部屋に戻っていて、アニスは母に顔を拭かれているところだ。
「急な話だがな、父さん実は先代ホーリウッド侯爵の隠し子でな?」
「「はぁ!?」」
とボク以外の家族の声がハモるが、父は構わずに続ける
「ここにいるギリアムとは叔父と甥の関係なわけだ。それでな・・・?」
「ここからは私が話しましょう。」
とギリアム様が父に割って入り、父もギリアム様に主導権を譲った。
「これまで叔父上には村長としてこの開拓村をお願いしてきたのですが、これからはホーリーウッド侯爵領の政治に携わり、私の補佐をしていただきと思っておるのです。ですが叔父上が次の村長の育成に時間がいるので、がもう二年はウェリントンの様子を見たいとおっしゃっておりまして、それは構わないのですが、将来のことを見越せば、ほかのご家族は先にホーリーウッドに来ていただけないかなと相談させて頂いた次第です。」
そういってギリアム様は柔和な笑顔を浮かべて軽く頭を下げた。
間に合ったので本日二回目の投稿です。
明日はお休みなので1回か2回の更新を予定しております。




