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第100.5話:回想、魔剣回収ダイジェストのひとつ前

(アイラ視点)

 結婚式も、その後のパーティも終わった後。

 クラウディア城の中でも特に大きなその部屋の中でボクたちは思い思いに騒いでいた。

 部屋の中には関係者の中でも、入浴を済ませた年若い女の子ばかりが集まっている。


 本当ならば今夜は新婚初夜ということで、3人嫁のいるウチはともかく、ヒース、ラピス夫妻、リント、クレア夫妻は熱い夜を過ごしても良いはずなのだけれど、合同婚儀だったことで人が集まっていたし、同じ城の中にいるのに見知った顔がいちゃついているということを想像したくなかったのだ。


 そういうわけで、アニス以下のチビっ娘たちと、それ以上の娘たちとに部屋を別れて今は談笑中。

 わざわざ低年齢組と分かれた以上は、話の内容には夫婦生活に関する内容を多分に含んでいて、その刺激は結構強い。

 なにせ部屋にいる女の子は結構な割合で既婚者だ。

 今日結婚したばかりの新人花嫁が先輩方に助言をいただくのは当然のことだろう。


 アニスたちの部屋には、アニス、ユディ、シシィ、ソフィ、シトリンとそのおつきメイドたちが集まっていて、きっと姦しく小鳥の囀る夜会が開かれているだろう。

 こちらの部屋は今日愛でたく花嫁となったボク、アイリス、アイビス、ラピス、クレア、それに既婚の先輩としてキャロル、オルセー、ジル先輩、とがそれぞれ肌が透けて見えるかの様なネグリジェにその身を包んでそれぞれ思い思いの格好で、ベッドの上やソファの上に座っている。

 本当はサークラやサリィ、エミィにサフィ様、ユミナ先輩なんかも年齢的にこちらの部屋でいいかなと思ったのだけれど、人数が多くなりすぎるからとこの割り当てになった。


 部屋は広めだといってもメイドもボクたちに仕える全員を連れ込むとさすがに窮屈なので、メイドも特に小柄なエッラとソル、エイラとが近侍してくれている。

 神楽はルクセンティアに居たときにお世話になったというリスタやカーラといったルクセンティア出身のメイドたちと、フィサリスはナタリィやダリーがきているので彼女たちと・・・といった具合に、それぞれ縁のある人たちと同部屋にしている。


 ラピスはベッドの上、義姉のジル先輩に後ろから抱きすくめられながら何事かの閨の体験談を教え込まれている。

 ジル先輩はヒースと仲がよく、かつ(中身が元女の子なので)幼い頃から女の子らしい性格をしていたヒースのことを妹の様にかわいがっていたので、軍官学校に通っていた時期もたまにヒースと一緒に入浴していたらしい、だからもしかすると自分の体験のほうではなく、自分がヒースをかわいがっていた頃の体験で閨のアドバイスをしている可能性もある。

 ラピスは顔を真っ赤にして、目を瞑ってたまにコクコクとうなずいているけれど、それがジル先輩のスキンシップによるものなのか、それとも話の内容に因るものかは現状では判断できない。

 ラピスもまた、ヒースと同じく転生者で、彼とは逆、ボクと同様に生前男の子であったので、あまりグラマラスではないといってもジル先輩という、自分の現在愛する人と顔貌の似た女の子の胸が背中に押し当てられているのはかなり刺激が強いはずだ。


 一方クレアの方は、テーブルを挟んで向き合う様にキャロルと向かい合って、ただお茶を飲んで談笑している。

 風景はいつもとあまり変わらないけれど、キャロルが少し照れながらハルベルトとの些細なケンカや仲直りの経緯、その後の反動の様なキャロルへの執着を語って聞かせ、恋愛経験の乏しい男の子の愛情表現がいかに稚拙であるかを語り、しかし同時にそこがたまらなくかわいく思えるのだと教えていた。


 そしてオルセーウチは・・・

「だからねアイラ、アイリス、アイビスちゃん、近いうちユーリ様に痛いことされるかもしれないけれど、それはアイラたちのことが大好きだからなんだからね?絶対、絶対、ユーリ様のこと嫌いになっちゃだめだよ?」

 床にクッションを敷いてぺたんと座り込んでパジャマパーティ

 オルセーはどうやら初めての時相当に痛い思いをしたみたいで、翌日は歩くこともできず一日中寝込んでいたのだ。

 でもわざわざ痛いことなんて言って伏せなくとも、ボクたちだって閨のことは貴族教育として教えられていることは知っているはずなのだけれど。

 彼女にとってボクはいつまでもかわいいアイラ扱いなのかもしれない。


 さすがのアイリスも13歳になって、今生では結婚前に正しく詳しい性知識を学習済みだし、アイビスも同じく・・・っていうかアイビスには神楽がそういう知識の詳しいことを落とし込んでいた。

 耳年増なところがあった神楽だけれど、それは半ば実態を伴わないものだった、と勘違いしていた。

 行為の内容や意義を知っていて、それを暁に求めていたけれど、十分な性成熟を伴わない彼女のそれを当時のボクは、少女の背伸びに感じてしまったのだ。

 実際には、十分な性成熟を待たずとも、恋焦がれる想いがあれば想い人とのスキンシップを求めてしまう焼け付く様な衝動をを、今のボクは身をもって知っている。


 たぶん自分が暁にやりたかった、やれなかった様なことを、仲良しだった此花ちゃんの生まれ変わりであるアイビスに仮託しているのだろう。

 時々二人で寝泊りしてはなんらかの手練手管をアイビスに落とし込んでいる。

 そこでボクにはその手管を教えてこないあたり、彼女自身が嫉妬する様なことはしないと名言しているボクとユーリの関係に対してやはり思うところがあるのだろうと、多少自惚れている。

 そもそも、あの・・神楽が、前周の様に10年以上の時を空けて再会したわけではないというのに、わずか3ヶ月ほどでボクが生まれ代わり、アイラボクとして現れたことだけではなく、ユーリという婚約者の存在すら受け入れていることがきっと無理があることなのだ。


「ねぇーアイラ?聞いてる?」

 と、考え事をしていたボクの顔をのぞきこむオルセー

「うん、聞いてたよ、あの時はベス先生が借りられてよかったよねー。」

 ボクは耳だけで聞いていた情報を、オルセーが結婚した直後の情報と照合しあわてて処理する。


 オルセーはトーレスとの結婚の翌日は歩くこともできず一日中寝込んでいたのだけれど、翌日以降には何とか起きてきた・・・ただ歩き方はしばらくおかしいままで、さらに4日経った後で、どうにも痛がるので母が確認したところ、炎症を起こしかけているらしいことが発覚した。

 あいにくの黒曜日で一般のお医者さんはほとんどお休みで、あいているところも近場では男性のお医者ばかりだった。

 どうしたものかとお城の医官が誰か診られないかと尋ねに行ったところ、ちょうど夜勤明けの引継ぎを終えていた宮廷医官のエリザベス先生と出会うことができたのだ。


 夜勤明け、といっても兵士のやる様な見張りがあるわけではなく、彼女は彼女の休みである黒と白曜日以外城で寝泊りしているだけという話で、引継ぎというのも非常時の呼び出しに備えて、休みの間どう過ごす予定かということを報告しているに過ぎない。

 彼女が引き継ぎを行っているということは、現在王族には病気の者はいないということだろう。

 ベス先生はそもそもキャロルがソフィを妊娠していたころに抜擢された医官で、もともと産婦人科的な分野の専門家だけれど、年若い女性のほうが王族女性たちも相談しやすいことがあるだろうと、そのまま王族を主に診る役職に納まっている方である。

 基本住み込みで、家へもほとんど帰らせて差し上げられない先生の貴重な休みだというのに先生は

「こうやって女性医を探す姫殿下とお会いできたのもなにかご縁です。実際今日は女性医もあと1人しか出仕しておりませんから、彼女を探すよりこのまま私がお付き合いしますよ、」

 と言って、オルセーの診察のためにホーリーウッド屋敷へと来てくださったのだ。


「その節はアイラとベス先生にお世話になりました!」

 話半分に聞いていたと思っていた(事実話し半分に聞いていたけれど)ボクに自身の取り乱していた時のことを掘り返されて顔を赤くして、半ばやけくそ気味に礼を言うオルセー、事情を知らないアイビスだけはキョトンとしているけれど、どうやらオルセーにとって恥ずかしいことなのだと察してか追求はしなかった。


「あーあー、せっかく久しぶりにアイラと会えたのに、またすぐに別々になっちゃうねー?」

 しばらく笑い転げた後、不意に寂しそうな声でオルセーがしみじみと呟いた。

「仕方がないよ、ボクはホーリーウッド侯爵家、オルセー義姉さんはウェリントン男爵家だもの、でもホーリーウッドに住んでるんだし、それなりにちょこちょこは会えるよ。」

「そーだよオルセーおねえちゃん、私もアイラも、オルセーおねえちゃんの義妹なんだよ?遠慮なく遊びにきていいんだからね!」

 オルセーは、トーレスの軍官学校卒業後に王都で一度結婚式を挙げて、それから10日後、年明けをウェリントンのオルセーの家で過ごすためにクラウディアを発った。

 そしてそのままトーレスが父と交代でホーリーウッドに住みオルセーはホーリーウッドに用意されたウェリントン家用屋敷に二人で住んでいるらしい、父が年始の挨拶にこちらに来た後帰らなかったのでたずねたところ、すでにトーレスに家督を譲ってきたと言って「はぁ!?」と淑女らしからぬ声を上げてしまったなぁと思い出す。


「でもそーだね、オルセー義姉さんと会うの2年ぶりだったんだもんね。」

 そういって声に出すと実にしみじみと感傷的な気持ちを感じる。

 なんとなく甘えてみようという気持ちになってその二の腕の辺りに頭を預けると

「そうだよー、4年あえなかった後1年半くらい一緒に暮らしたと思ったらまた2年もお別れだったから一層寂しかったよ・・・」

 ほほを赤くしながら涙を拭う仕草をするオルセー、涙は出ていないし、そう寂しがっている様にも見えない。

 いや、寂しいというのは本音なんだろうけれど、ちょっとニヤケている様に見える。


「でも屋敷では兄さんと一緒だから平気ですよね」

 なんとなく気になってきいてみるとオルセーはこちらの尋ねていないことまで答え始めた。

「うん、昼間はみんな忙しくしてたりするとちょっと寂しいけれど、でもトーレスやほかの皆がお休みの時は仲良くしてるよ?」

 他の皆というのはオルセー以外のトーレスの嫁たちのことであろう。

 オルセーと結婚後トーレスはホーリーウッドに戻ったわけだけれど、家臣として、マガレ先輩、ラフィネ先輩、ロリィ先輩、エリィ先輩、それから西シュバリエール所属だった男子で同学年同い年のアレックス・ガーディニアと1学年下(ロリィエリィと同じ学年)で2歳年下の男子のシャ族獣人、イーサン・フォーシジアの6名を採用し、うちアレックスのみ同伴して帰った。

 1学年下の3名は卒業待ちで、マガレ先輩とラフィネ先輩は一度故郷に顔を出したいというのと、マガレ先輩は魔剣回収のお手伝いをお願いすることになったためだ。

 それで二人は夏までにホーリーウッドにいるトーレスの元に向かうことになった。

 ボクたちはナタリィやマガレ先輩を伴って紅砂の砂漠と、水晶谷の魔剣回収を行った。


  その後無事回収を終えてクラウディアに帰ると、いよいよマガレ先輩ラフィネ先輩も実家を経由してホーリーウッドに向かうことになった。

 この時にトーレスへの思慕を捨て切れなかったエミィが合流、最後の勇気を振り絞って、トーレスの側室にしてもらう為に自ら王族らを説得しマガレ先輩たちと同道していくことを認めさせた。

 そこにキアラとシャンタルも加わり、彼女たちは女の子五人で王都を旅立ったのだ。


 後から聞いた話では一度はエミィを娶ることを断ったトーレスだけれど、オルセーからの説得によって側室を取ることを了承し、さらに恋心をオルセーに看破されていたマガレ先輩、ラフィネ先輩も一緒に側室にすることになり、翌年にはエリィ先輩も迎えることになった。

 さらに年末にはエリィ先輩の惚気に当てられたロリィ先輩もトーレスに告白し、彼女のことも憎からず思っていたトーレスは半ば恒例となりつつあったオルセーからの説得を受け入れて6人目の妻を迎えた。


 余談であるが、昨年ユーリを残して先にホーリーウッドへ送り返されたイサミとモーリスはそれぞれ、主と認めたエミィの為に、実家を飛び出してきたキアラとシャンタルの忠義に感じ入り、イサミはキアラと、モーリスはシャンタルに結婚を申し込んでおり、現在は結婚を前提に交際中だとか・・・。


「それにしても、オルセー義姉さんが自分からトーレスに側室を取る様に言うなんて思わなかった。側室を取りすぎる夫に苦言をいう正室がいても、自分のために側室は取らないといってくれている夫に、側室を取る様に提案する正室はなかなかいないと思う。」

「え?でもお城のお勉強では、貴族は普通側室を取るものだし、最初の代ならなおさらだって教えてもらったよ?私が産む子が丈夫じゃない可能性だってあるし、同じ側室を取るなら、知らない人より知ってる皆だったら楽しいなって思ったんだけど・・・変かな?」

 オルセーは、トーレスの婚約者となって以来伸ばしている髪を耳の横でくるくると弄びながら、照れ笑いを浮かべる。


「ううん、オルセーの言うとおり、気心の知れた関係ならそういうのもいいかなって思うよ・・・っていうかうちがそうだし。」

 そういいながらかわいいアイリスと・・・なんだろう、精神的には前周のこともあるし妹分って呼びたいところだけれど、生まれたのはあちらが先だからなぁ・・・アイビスはアイビスでいいか、かわいいアイビスを抱き寄せて「ねー♪」と笑いあう。

「アイラたちは本当仲良いよね、ケンカとかしないの?」

 と、オルセーはボクとアイリスの頭を一瞬撫でようと手を伸ばして、でもボクたちの年齢を思い出してか思いとどまった。

 そのまま誤魔化すみたいに両手でカップを持って口に運ぶ。

「義姉さんたちにはかなわないかも、そっちこそ仲良いよね。」

 逆にこちらは義姉に対して遠慮入らないとばかりに正面のオルセーの膝の上に手を乗せて懐く

 するとオルセーは片方の手を膝の上に置かれたボクの手に重ねた。


 今回王都へ来たトーレスの付き添いは、オルセーとエミィだけだけれど、別に仲が悪いとか、扱いに差があるとかではなくて、他の4名はホーリーウッドでの結婚式の準備の手伝いに邁進してくれているそうだ、

 彼女たちの仲の良さは、貴族家の側室同士としてはかなり例外的な良好さで、トーレスとお嫁さんの誰も同衾しない日はあっても、彼女たちがパジャマパーティを催さない日はないのだとか・・・。

 主催はお友達という存在にまだまだ飢えているエミィだそうだ。

 楽しそうで何よりだよね。


「うへへ・・・、みんないい子たちだしね、リルルやケイトともお友達になったんだよ?それで、結婚できてないピピンがちょっといじけたりしてたけど・・・」

 ピピンはそこそこ賢いし、外見もまぁ美形とはいえないけれど、むしろサルボウなんかよりは整っている。

 そのサルボウが並以上の美人であるキスカを射止めたのだから、ピピンにだってチャンスはありそうなものだけれど、彼は外見やスペック以前の問題として、むっつりだ。

 むっつりというか、セクハラを好むというか・・・。

 ボクたちがウェリントンを発った後も、子どもの年齢であることをいいことに、当時駐屯していた女性兵士に対して覗きや私服時にスカートめくりなどの狼藉を働き、それが彼の評判として定着してしまったそうで、最近はそうでもない(ただ目線は女の子の足や胸をよく見ている)らしいけれど、新しい移民がきても彼はどうなのか?あるいは独り身の女性が数名いるのに彼はどうして独り身なのか?などと尋ねられて、古参の女性陣のほとんどが、彼にセクハラを受けたことがある人間なのでそういうことも含めて語るので彼の評判は地を這っているらしい・・・かわいそうだけれど、これももともと彼の素行が招いた結果だから、ボクからしてやれることもないし、なによりウェリントン領はボクの実家でもあるけれど、結婚も済んだ今となっては他家の領地、ボクには口だしはできないだろう。


「あれからまた森がだいぶ拓けてきて、畑も居住地も広がったし、もうウェリントンだけでも1800人を超えてるんだよ?」

 この10年で4倍ほどまで人口を増やしたウェリントン劇的な変化にもかかわらず、食糧生産は一応足りているが、現在はホーリーウッドへの年貢としての麦やイルタマは収めていないらしい。

 毛皮やソペ、ソル、干し肉は収めているみたいだけれど、急激な人口増加のために生産が間に合うか怪しい主食類は免除されているそうだ。


 以前は森を拓いても、少し奥まで行くとエントやセラファントが密生していて危険だったけれど、魔剣を回収してからその数が減っていて順調に開拓が進んでいる。

 その甲斐あってか、ウェリントン村はその規模を町へと成長させ、区画整理も大きく進み、現状の町の設備で、人口3000人分ほどまでの住居があるらしい。

 ホーリーウッド系や旧ルクス帝国領の領民たちを中心に今も移民を募っており、伸び代のあるウェリントンへ続々と移民が集まっているそうだ。

 ウェリントンは南西へ開拓が進むと海まで到達するため、ホーリーウッド地域への距離が近い塩の供給源となることが期待されている。

 ゆえに少なくともそこまでは開発が進むと目され、将来は有力な都市へと発展することがほぼ間違いない、おそらくは海沿いにもうひとつ村を作ることになるだろうが、ウェリントン領の中心地となるのはウェリントンであるはずなので、先見の明のあるものであれば将来のために、ウェリントンへの移民を希望するのだ。


 同じ様に、ボクたちが魔剣を回収した紅砂の砂漠、水晶谷、古代樹の森、ヘルワールの周辺地域は現在開拓が進められる状態になりつつある。

 ボクたちが回収を終えた直後から王命により開拓の推進が命じられ、これまでと違い開拓した場所が数日で元に戻ってしまうという様なことがなく、魔物の異様な数の発生もなくなった。

 そのため現在各地で急ピッチで開発が進んでおり、その資金は王家が出資している。

 これは、各領主がこれまでと同様に徒労になることを恐れて資金の投入を渋ったためであるけれど、おかげで開拓地における王家の発言力が強くなった。

 ボクがやったことは言葉にしてしまえば魔剣回収だけれど、実際にはそんな単純なものではなく、それなりの労苦を強いられた。

 それでもナタリィたちの持つ情報と、前周の記憶という二つの優位性からずいぶんと楽をさせてもらったはずなのだけれど・・・。


 トーレスたちが卒業した年の夏本番の少し前

 ナタリィから事前に連絡があって、その年ナタリィが滞在している間にどこか2箇所の鍵を回収しに行くことになっていた。

 龍の島からの情報開示により、魔剣のダンジョンを攻略するには裏道が存在し、ダンジョンに対応する精霊の加護を持っていることでその仕掛けなどを解除することができるとわかっていて、火の精霊の加護を持つマガレ先輩がもうクラウディアを去るのを先延ばしにしてもらっていた。

 そのためこの年は、紅砂の砂漠と、水晶谷を攻略することにした。

 紅砂の砂漠は火、そして水晶谷は光の精霊の加護が必要で今回はマガレ先輩が火の、そしてナタリィ自身が光の精霊の加護を担当することができるということだった。


 それでその日ボクは、ユーリ、神楽、ナタリィ、マガレ先輩、エッラ、フィサリスと7名でダンジョン攻略に出かけたのだ。

 


トーレスにハーレムを作らせるかどうか非常に悩みましたが、エミィの初恋も成就させたかったので、なし崩し的に一夫多妻になりました。

トーレスはオルセー一人で十分だと思っていましたが、オルセーに独占欲はなく、トーレスを本当に好きな女の子なら彼と結ばれるべきだと考えました。

そんな彼女に説得されて、トーレスも憎からず思っていた5人を側室に迎えました。

聖母教徒のトーレスにとって、もともとタブーではないことなので、奥さんであるオルセーが認めてくれた以上断る必要もありませんでした。

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